ケガや病気によって障害を持つと、普段は当たり前にできていたことが難しくなります。
そんな時、道具を少し工夫することで、自分の力で出来るようになったら嬉しいですよね。
このような自分を助けてくれる道具のことを「自助具」と言います。今回は食事に関する自助具について、病院で働く作業療法士が紹介します。
握る力が弱い方におすすめ「太柄」
食事を介助してしまうのは簡単ですが、「食事くらいは自分の力で食べたい」「何から食べるかは自分の自由にしたい」と考える方も多くいます。
特に、よく使われるスプーンやフォークの持ち手は平たい物が多く、食事で使うには指先の力が必要になります。
このような時は、スプーンの持ち手部分を太柄にしたり、丸い球状にするなどの工夫をすることで、自分で持つことができるようになります。持ち手は持ちやすさのほか、洗いやすさや汚れにくさなどを考えて素材選びをすると良いです。
箸で食べたいを叶える「ばね付き箸」
日本人なら箸で食べたい。そう考える人も少なくはありません。
しかし、二本の箸を自由に扱うには、手指がそれぞれ器用に使えないと難しく、二本の箸先がうまく合わずに持てないことがあります。
このようなとき、「ばね付き箸」をお勧めすることがあります。ばね付き箸は、二本の箸がバネで繋がっていて、軽く握るだけで箸の先端がピタリと合う仕組みになっています。また、バネの力があるので、力を抜くだけで箸先が開いてくれます。
外見はまるで箸を使っているようで、和食を食べる際にはお勧めです。既製品もあるので、検索してみてくださいね。
お皿からのすくいにくさを解決する「食器」
スプーンで食事をする時、お皿の端を使ってすくうつもりが、上手くすくえずにこぼしてしまったことはありませんか?
特に片手しか使えない方は、お皿を傾けることや押さえることに難しさがあります。このような時は、食器そのものを工夫することがあります。既製品では、すくいやすい食器として、お皿の縁の片側が反り返る構造のお皿があります。また、お皿自体が動いてしまうこともあるため、お皿の下に滑り止めがついているものもあります。これは滑り止めマットを使用することや、片側だけ高くして傾けることで代用する方法もあります。
まとめ
今回は、生活の工夫に役立つ自助具について紹介しました。食事が一人でやりたいと困っていたら、道具を変えることも検討してみてください。身近な道具にひと工夫をすることが、生活を広げるきっかけになるかもしれません。
地方の急性期病院で、地域の人たちを陰ながら支えています。真っ当に研究業績を積みながらも、メディアや地域活動を通して作業療法の魅力を伝えるマルチプレイヤー。