2019年10月12日(土)、日本列島をすっぽり覆うほどの巨大な台風19号が関東に上陸。メディッコメンバーの多くは病院に勤務していますが、台風直撃のなか、医療者はどのような対応に追われたのでしょうか…? 実際の体験を聞いてみました!
各職種の対応の違い
看護師
福地(Ns)
僕は職場まで車で1時間なのですが、夜勤の入り時間より早めに行きました。出勤の道中、河川の増水を目の当たりにしました…。来られないようなら連絡くださいと、上司から言われていましたが、車ならどうにでもなりますからね。なかなか夜勤を代わってもらうのって難しい…。これが看護師の宿命です!
私の働くオペ室は、事前に勤務調整がありました。遅番勤務の者は、帰りがちょうど台風上陸の時間帯という危険があったので、日勤のうちに帰り、夜勤者がいつもより早めに勤務を開始する形になりました。あとは、帰れなくなった勤務者のために、病院の近くにある寮を解放していました。寮を解放といっても、テレビとかはないのでほぼ軟禁状態ですね…(笑)。私は幸い休みだったのでお家でゆっくり過ごしました。
かなこ(Ns)
白石(Ns)
私が働いている病院は予定入院がメインなので、火曜日頃から患者さんの退院日を早めたり、週明けに遅らせたりと調整しはじめました。同時に病院の防災セット、非常用電源、避難誘導マニュアルなどの確認を医療安全委員会の主導で行っています。病院の近くに住むスタッフは当日に対応を求められそうなため、遠方に住む人とあらかじめ勤務を変わるなどの調整をしました。幸い、台風上陸が土日で、元々スタッフが休日体制をとっていたため、調整は2日ほどで完了しました。私は遠方に住んでいるので自宅待機ではありましたが、台風が過ぎ去ったあと週明けのフォローにまわる予定です。今回の勤務変更で、多少手当は出たようですね。
私はクリニックでオンコール当番でしたが、対象が施設なので「薬がない」と問い合わせがありました。「それは薬局に言ってくださいね」と伝えたら、薬局が配薬を忘れていたと…。それぐらいでしょうか。あと、クリニック内の台風対策ですかね。雨が侵入しないように戸締まりの確認、パソコン関係はしっかりシャットダウンしてきました。
おぬ(Ns)
作業療法士
坂場(OT)
勤務している精神科デイケアは、昨日の段階で「10時間参加であるデイナイトケア」を中止にしました。自宅からデイケアにくる方も中止にし、近くのグループホームの方だけが対象となりました。土曜日当日になって、天候を見て「6時間参加のデイケア」も中止し、「3時間参加のショートケア」のみになったようです! 僕自身は友達の結婚式のため休みを取っていたのですが、延期になってしまいました…。
当日は土曜日のため、元々14時で終業予定でした。僕は車で通勤しているので、問題なく仕事に行くことができました。電車通勤の人は13時以降は運休予定だったため、当日は休みだったみたいです。病院からは帰れなくなった人に毛布を支給するとのことでしたが、どこで寝るのか不明だったので、みんなで早々に撤退しました!
須藤(OT)
理学療法士
喜多(PT)
僕は大阪なので、あまり台風の影響はありませんでした。土曜日は仕事だったのですが、交通情報を常にチェックしていましたね。電車の運行状況によっては、その場の判断で早めに帰宅する人もいたようです。ただ、僕の勤める病院は車通勤がほとんどのため、多くのスタッフは勤務時間いっぱいまで働いていました。
臨床工学技士
透析は基本週3日はやらないといけないので、いろいろと調整していました。当日は、医師と相談して午前の患者さんは15分ほど短縮するなどし、午後の患者さんに早めに透析に入ってもらいました。また、場合によっては4時間透析を3時間透析にする指示をもらったり、状況をみながら、台風がひどくなる前に患者さんが帰れるように調整しましたね。
タサモ(ME)
さぼ(ME)
僕のところもタサモさんと同じような対応をとっていました。12日土曜日の夕方から本格的に雨が降るとの予報でしたので、午前、午後の透析を早めに開始したり、医師と相談し透析時間を短縮して、患者さん・職員を早めに帰宅させるよう措置をとりました。
薬剤師
僕が働く病院では、家が遠い人と近い人がシフト変更になりました。その中で電車の人は間に合う時間で帰りましたね。あと、土曜日に退院予定だった人たちはさすがに延期。そういえば、小児科の先生から「僕らも帰らなきゃいけないんで、お忙しいとは思いますが、早めに薬を調製いただけるとありがたいです」と朝一に電話をもらいまして…。「全力で混ぜます!」と元気よく答えました(笑)。「早くして!」みたいな感じじゃなかったので頑張れましたね。大変なのはみんな同じなんですよね。ピリピリしないの大事!
イサミ(Ph)
当日夜勤者の声
福地(Ns)
早めに夜勤に行ったら、定時前でも夜勤者に申し送って日勤者は早く帰る! ということが決まっていました。普段より長い夜勤のスタートです。私は精神科で働いていますが、患者さんも台風の様子は気になるようでした。ですが、ニュース番組を見ている人もいれば、精神科特有なのか、いつも通り麻雀をしている患者さんもいました。患者さんが不穏になるということはなかったですが、スタッフの方がいつ来るかわからない停電や不測の事態が頭から離れず、常に緊張感があり、いつもより精神的に疲れましたね。頻繁に鳴るスマホの避難勧告や緊急速報、防災無線は、患者さんよりスタッフの方が不安に感じていました。とにかく何事もなく、日勤に申し送って勤務を終えることができてよかったです。
台風で出勤した医療者へひと言!
自分の環境も心配なのに、患者さんや利用者さんのために頑張った皆さん、お疲れさまです。あなた方がいなければ、困る方がたくさんいました。自分にご褒美を!
おぬ(Ns)
坂場(OT)
皆さんの出勤により、安心した患者さんがいらっしゃると思います。お疲れ様でした!
今までは、どんな台風のときも医療者は病院に出勤するのが当たり前のような風潮がありましたよね。だけど、昨今では前例にないような災害のおそれから電車が事前に運休を発表したり、テーマパークや飲食店がこぞって休業するなど、対応が迅速になってきています。病院などで働く医療者は、自分自身の安全を確保することも必要ですが、個々の医療者の善意に甘えるだけではよくないですよね。組織としてどのような対応ができるのか私も考えていきたいと思いました!
白石(Ns)