妊娠・出産にまつわる給付金や各種手当。実際にどれくらいもらえるのか、いつ振り込まれるのか、申請はどれだけ手間なのか――当事者になって初めて直面する疑問は少なくありません。今回、出産を経験した2人が、自分たちが受け取った金額や支給時期、申請プロセスを赤裸々に振り返り、見えてきた「働き方」や「住んでいる地域」などによる差について、本音で語り合いました！
白石（Ns）
看護師。東京都在住、39歳。週2パート×フリーランスライター。緊急帝王切開で出産。出産育児一時金や東京都の給付を受けながら、産後すぐに仕事を再開。
ぽりま（Ph）
薬剤師。横浜市在住、35歳会社員。2024年1月に第一子を出産。1年4ヶ月の育休を取得。出産手当金と育児休業給付金を受給。
誰でももらえる「共通の給付金」
・出産育児一時金：出生児1人につき50万円
出産育児一時金の50万円、ゆみかさんは直接支払制度を使ったんだね。私は使わずに振込で受け取ったら、タイミングが結構遅くて。後から、「これは失敗だったな…」って思ったよ。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
私は面倒な手続きが嫌で、自動的に差し引かれるほうが楽だと思ったんだよね。けど、あとから「クレジットカードのポイント狙いで振込にする人もいる」と聞いて。そんな発想まったくなかったや（笑）。
私は親に言われるがまま、深く考えずカード払いにしたけど、医療機関での支払いって通常の買い物とは違うから、結局大したポイントが付かなかったんだよね。60万超えの出産費用を、50万円戻ってくるとはいえ一度払うのはプレッシャーになるし、申請も自分でやる必要があって大変だった。うちは1月2日に生まれて振り込まれたのが2月26日だったから、引き落としに間に合うかハラハラしたよ。もし次があるなら絶対に直接支払制度を使う。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
直接支払制度を使うために必要だったのは、病院の同意書を書くくらいだったと思う。あれだけで済むのはありがたいよね。出産費用が50万円を超えたから追加の申請もなかったし。
都心部だと絶対に50万円超えるよね…。直接支払制度なら、支払い時に50万円を差し引かれた額で請求されるから、精神的にも楽だと思う。産後1ヶ月って書類の準備ひとつでもしんどい時期だから、手続きは少ないほうがいいよね。
ぽりま（Ph）
・児童手当：３歳未満は月15,000円
児童手当の申請は夫が出生届と同じタイミングでしてくれたんだけど、その場で夫婦それぞれの収入を聞かれて、所得制限に引っかかるか確認されて終わりだったの。「こんな簡単でいいんだ？」と思った。でも、所得制限は2024年10月に撤廃されたみたいだね。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
そんな短期間で変わってるんだね。行政って意外と日々アップデートされてるんだね。
そうそう。振込回数も、前は年3回（2月、6月、10月）だったのが、今は倍の6回（偶数月）になってるしね。ゆみかさんは児童手当を子どものために貯金してるんだよね？うちは普段使いの口座に入ったのがそのまま生活費として使われちゃってるから、えらいなぁ。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
貯金といっても、支給額がそのまま貯金用の口座に入ってるだけだよ。夫のお母さんがそうやって少しずつお金を貯めていてくれて、高校卒業して一人暮らしするタイミングでまとめて100万円くらい渡されたって聞いたから、いいなって思ったの。
私も本当は子ども用の口座に入れたかったんだけど、準備不足だったんだよね……。口座の変更はできそうだけど、自分名義じゃなきゃいけないのは変わらないから、結局そのままになってる。だからその分、お年玉のタイミングとかで貯金していけたらなと思ってる！
ぽりま（Ph）
働き方で変わる「もらえるお金・もらえないお金」
・出産手当金と育児休業給付金
電子申請可能なものも増えたけど、額の大きい給付金は紙の書類が必要なことが多いんだよね。振り込まれて初めて知ったんだけど、出産育児一時金（50万円）と出産手当金は健康保険組合から、育児休業給付金はハローワークからお金が支払われるんだよね。出産手当金は1日1万円ちょっとで一番額が大きくて、予定日近くで生まれていたら余裕で100万円超えていたと思う。残念ながら、予定日より2週間以上も早く生まれたから少し減ってしまったよ。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
そんなにもらえるんだね！私は週2パート×フリーランスで出産手当金がなかったから、そこは覚悟してたな。育休給付金は夫の分は支給されるけど、上限額に引っかかるので、結局ちゃんと育休を取ったのは最初の1ヶ月だけで、あとは有休と夏休みをまとめて3ヶ月近く休む形を取ってたよ。上限は痛いけど、まあないよりは助かったかな。
育休給付金の上限って結構厳しいんだよね。育休開始から半年間は給料の67％、半年を越えたら50％が補填されるといっても、そもそも上限に引っ掛かってるから休む前の給料よりは少ないし、そこから家賃を払い、住民税を払い、さらには生活費を…と考えたらほぼ残らない計算で。私は産休からカウントすると1年5ヶ月も休んだから、後半はかなりしんどくなってしまった。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
振込額だけ見たら、それなりにまとまったお金が入っているように思えるけど、そう上手くはいかないんだね？
これも実際に体験して初めてわかったけど、育児休業給付金は2ヶ月に1回、支給対象期間が過ぎてから振り込まれるから、結局ずっと自分のお金を持ち出す形になってしまうんだよね。振込日も月ごとにバラバラで、生活費として当てにするのが難しいなと痛感したよ。保育園に落ちて育休を延長した時は、延長期間の保留通知書が受理されてからの支給でめっちゃ遅れたし。
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
それは不安になるね。育休給付って仕組み自体はありがたいけど、振込のタイミングが読めないのは困る。私の場合は手当がない分、働いて収入を確保してるけど、育児しながら稼ぐって考えると本当に大変だよね。普通に働いてたら育児休業給付金で20万円ちょっともらえるところ、今はまだフルで稼働できないから10〜15万円くらいなんだよね。でも、そのくらいあれば自分の税金支払い分と少し遊ぶ分くらいにはなるかなって感じ。
フリーランスだと給付金は少ないけど、他に使える制度とかあるの？
ぽりま（Ph）
白石（Ns）
あ、そうそう！フリーランスで国民年金と国民健康保険に加入してる人は、産前産後の保険料免除制度があるんだよね。国民年金は出産予定日の前月から4ヶ月間、国民健康保険も同じくらいの期間が免除になる。マイナポータルから申請できるから、結構簡単だったよ！
それは助かるね！毎月の固定費が減るのは大きいよね。
ぽりま（Ph）
まとめ
かなり突っ込んだ話をしましたが、参考になる情報はありましたでしょうか…！？出産・育児に実際にかかるお金、住んでいる場所による違いは、
後編に続きます！
