精神科の看護業務は何が違うの?


精神科の看護師の仕事ってどんな事をするの?と聞かれる事があります。

精神疾患の患者さんを閉じ込めたり、縛ったりするというイメージが強いかもしれません。

そこで今回、精神科で働いている看護師が精神科特有の業務をお話したいと思います。

 

朝は鍵を持つことから始まる


まず朝に出勤すると、病棟のマスターキーを各個人が持ちます

病院によっては個人で持たない所もあるかもしれません。

そして、拘束帯をつけたり外したりする為のマグネットを持ちます。拘束帯をつけている方の排泄処理や車イス移乗の時に使用する為です。

もちろんバイタルも測りますが、介助が必要な方や体調不良の方を看護師が測ります。

ADLが自立している患者さんが多い為、決まった時間に患者さん自身で体温と脈拍を測ってもらいます。

基本的に患者さんの自立の促しと生活訓練の為に、出来ることは自身でやっていただくという生活になります。このようにちょっと他科とは違う朝の感じになりますね。

 

拘束や隔離がある


他科でも、一時的にせん妄がある患者さんや、認知症がひどく安静を保てない患者さんには同意をもらい拘束を行う場面があるかと思います。

精神科も同じく安静が保てない、自傷他害の恐れがある、自殺企図がある場合には拘束を行ったり、隔離を行います

他科では家族の同意がなければ拘束はできないかもしれませんが、精神科では医師の指示(精神指定医)で行う事が可能です。

拘束・隔離に関しては細かい規則があります。

 

服薬は患者さんの口に看護師が入れる場合がある


服薬については精神病院で各々違いがあると思います。

社会復帰の訓練として薬の自己管理と服薬を患者さんが行う場合もあります。

自己管理ができない方は、看護師が管理し時間に薬を出して患者さん自ら取り開封し服薬します。(この間も見守りを看護師が行います。)

服薬も自己管理も難しい方には、並んでいただいて患者さんの口腔内に薬を入れ、きちんと服薬した事を確認します。

これは、飲んでいないのに飲んだふりをして後で吐き出してしまう方や、薬を隠してしまう事のないように確認しながら行います。精神疾患にとって服薬を継続するという事がとても大事だからです。

 

危険物は看護師預かりとなる。


精神科では入院の際に、鋭利な刃物(ハサミや包丁等)、長い紐状の物(ズボンのベルトやフードの枠に通る紐等)、このように自傷・他害に使用された場合に危険なものは看護師が預かり、必要な際にお返しして、使用中は見守りを行いまた預かりとさせてもらいます。

いかがですか?他科と違う代表的な事を書いて見ました。

入院形態の違いなど細かい違いは沢山ありますが、少しでも精神科特有の部分を知っていただけたでしょうか。

精神科の看護師も患者さんに良くなってもらいたいという気持ちを持ち日々業務をしています。少しでも興味も持っていただけたら幸いです。

 

執筆者
福地直彦(看護師/メンタル部)

整形外科から精神科へ勤務中。メンタル系ナースマンとして、地域密着型の医療者コミュニティを形成しつつ、心と身体の予防医療の普及活動中!