「加齢性難聴」に注目!あなたの周りは大丈夫??

STのお仕事というと摂食嚥下分野が大注目ですし、実際に業務の大半を占めています。実は、「言語聴覚士」といいながら、聴覚分野に携わるSTはごくわずか。所属する科も「リハ科」と「耳鼻科」のように分かれることが多いのです。そういう私も学生時代に聴力検査をしたっきり、臨床場面では経験がありません。

そんな中で、最近注目されているのが「加齢性難聴」

加齢性難聴とは?

その名の通り、歳を取る中で耳の細胞が変化し、耳の聞こえが悪くなってくるものです。加齢に伴い誰しも起こり得ることで、ゆっくり悪くなっていくので、なかなか気付きづらいかもしれません。

今のところわかっているのは、
・高い音から聞こえなくなっていく
・生活音の聞きづらさに比べて、言葉を聞き取る能力は衰えが少ない
・男性の方が多い などです。

気を付けるのは50代から!

なんとなく、「おじいちゃん・おばあちゃんは耳が遠い」というイメージを持っていると思うのですが、難聴が始まるのは実は50代からなのです! 思ったよりも早いですよね。

少しずつ悪くなっていくもので、会話には困らないことも多く、最初は気付きづらいかもしれません。最近は静かに走っている車も多いので特に外では注意ですし、家の中ではテレビの音を大きくしていないか?などに注目です。

耳から始まる、認知症

さらに気をつけたいのは、難聴から認知症リスクが高まるということ。難聴になることで周囲の会話が聞き取りづらくなり、聞き返すのも億劫になる。話し手も聞き返されると気分が悪くなるだろうと考えて、だんだんと人との関わりが希薄なる…といった具合に、孤立化していくことで認知症リスクも高まります。(ちなみに、一対一より複数人の会話のほうが苦手傾向があります。)認知症が強まると補聴器を嫌がる方が多いため、一層の悪化ループに入ってしまいます。

しかも残念なのは、耳鼻科に受診をしても「年のせいですよ」で終わってしまう例が多いということ。「補聴器を作りたい」と、こちらから相談するのがキーになりそうです。早期からの補聴器使用が人とのつながりを途絶えさせないポイントです。

目、耳は年を取ると誰しも悪くなる可能性が高いですよね。でも「年のせい」だけにせず、適切に相談して早めに治療をしていきましょう!

執筆者
みややん(ST)

現在は、小児から看取りまでに携わる訪問ST。回復期リハ病院、教員、急性期、ことばの教室もチラッと勤務。摂食嚥下認定STだけど、やっぱりコミュニケーションって1番根っこだよねーと思い返しているところ。

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