理学療法士の職域は、医療機関、介護施設、トレーニングジムなどさまざまです。
筆者は理学療法士5年目で、軽費老人ホーム(以下:ケアハウス)に機能訓練員として転職しました。
今回は、老人ホームで働く機能訓練員の仕事内容について、その一部をご紹介します。
福祉用具・装具の調整
入居者さんは複数の疾患を抱えており、車いすや杖、装具などを必要とする方が多くいらっしゃいます。
機能訓練員は、個人に合わせた福祉用具・装具の調整を行っています。
ケアハウスでは長期入所になる方が多く、加齢とともに装具が合わなくなることもあります。
合わないものを無理に使っていると別の部位を痛めてしまい、機能低下やADL介助量増加につながるため、調整は欠かせない仕事です。
リハビリの計画書の作成
ケアハウスでも、リハビリを実施する患者さんに対して実施計画書を作成します。
算定する加算や、入所者の人数によって作成頻度は異なります。
ちなみに僕の働くケアハウスでは、3か月に一度作成しています。
医療現場と介護現場で作成するものの大きな違いは、機能訓練員のみで作成することと、医師の説明を必要としないことです。
ベッド上のポジショニングや自主トレの実施
入居者さんの中には、褥瘡のリスクが高い方や筋緊張が高い方がいらっしゃいます。
そのような方に対して、クッションやベッドなどを選定し、良好なポジショニングを維持するのも機能訓練員の仕事の一つです。
これをしておかないと、ADLの重度化は防ぐことが出来ないと言っても過言ではないでしょう。
また、一般的にケアハウスは40~100人程度の入居者がいますが、機能訓練員は一人の場合があります。
そうなると、一人一人に毎日リハビリを行うのは難しくなるので、自主トレーニングを指導して毎日運動するように促しています。
カンファレンスで話し合い、現場での多職種連携
患者さん1人につき3ヵ月~半年に一度の頻度で、施設内カンファレンスを行っています。
参加者は、ケアマネジャー・生活相談員・施設長・看護師・介護士・栄養士・機能訓練員です。
話す内容は、各職種から見た入居者の現状・前回のケアプランの達成度・今後のケアプランの再構築についてです。
機能訓練員は主に機能訓練について意見しますが、他職種の意見は自分が気付いていないことに気づくことができ、有意義な話し合いになることが多いです。
病院と違う点は、介護士さんがメインとなり、医療よりも介護的なアプローチに重点をおくというところです。
そこが難しく、奥が深く、しかし非常に面白く感じます。
まとめ
ケアハウスの機能訓練員はどんな仕事内容なのか? と疑問に思う方に向けてご紹介させて頂きました。
一口に機能訓練員といっても、施設によって求められる役割はきっと違いますし、病院よりも多様な働き方ができるフィールドです。
そこには病院と同じように日々多職種連携がありながらも、病院とは違った魅力にあふれています。