格闘家が考える看護師に必要な筋肉3選!?

看護師をはじめ医療の現場で働く職種の方々は、頭脳、体力、精神力が求められます。医療者の多くは勉強熱心な方も多いので今回は見逃されがちな体力面にフォーカスしていきたいと思います。

今回は、移乗や移送、体位変換、歩行介助など関わる機会の多い看護師に必要な筋肉3選について格闘家兼看護師の筆者が紹介していきたいと思います。

己を支え患者も支える屋台骨な筋肉

看護師の仕事はナースコールがあれば患者さんの元へ素早く向かい、術後やリハビリで一緒に支えながら歩いたり、ベッドから車いすへ移乗したりと足腰が非常に重要な仕事です。

そんな仕事の中で大切になるのはやはり大殿筋でしょう。

大殿筋はご存じの通りお尻の筋肉です。腸骨翼の辺りから、大腿骨の殿筋粗面、大殿筋膜の外側部で腸脛靭帯に移る部分まで伸びています。大殿筋などの大きな筋肉をうまく使用するというのは基礎看護におけるボディメカニクスの基本です。

特にヒップヒンジ(股関節を伸展屈曲させる)動作は意識しないと出来るようで意外と難しい動作です。

しかしながら、ヒップヒンジをきちんと習得することができると自身の身体に負担が少なくより体重の重たい患者さんにも対応出来るようになります。ヒップヒンジ動作を行うためには大殿筋は欠かせない筋肉です。是非自宅でスクワットなんかから始めて見てください。

すべては看護に通じます。

背中で語れ、距離を近くに保つことで負担を減らす筋肉

先に述べた、ボディメカニクスの基本として患者さんの重心と看護師の重心を近づけるというものがあります。特に患者さんをベッド上で水平移動する時や、ベッドから車いすへ移乗したりする場面で非常に重要です。しかしながら、患者さんと看護師に体格差があったりするとしばしば、上腕が伸びてしまい互いの重心を近づけることが困難となる場合があります。

そんな時に重要になるのは広背筋です。

広背筋は正中仙骨稜、腸骨稜の後方やT6~L5の棘突起などから始まり、上腕骨まで伸びている大きな筋肉です。役割として肩関節の伸展、内転、内旋に関与する筋肉です。この広背筋を意識して使用することで重心が離れることを防ぎ負担が少なく安全な移乗が可能になります。自宅で肩の付け根と腰部が近づける意識で床から段ボールなどの物を持ち上げるとコツをつかむことができるかも知れません。

すべては看護に通じます。

軸をまっすぐに腰を守るのはこの筋肉

腰痛を持っている看護師の方は多いですよね。移乗や、水平移動など腰が曲がりがちでケアをすることも多くなってしまいます。意識していてもなかなか背中をまっすぐ保つことは難しいものです。

そんな時に重要になる筋肉は腹横筋です。

この筋肉は腹筋の奥にある筋肉でおなかの周りをコルセットのように覆っています。背骨を介助の負荷に負けずにまっすぐに保つには腹圧を高め脊柱を保護することが効果的です。息を吐きながらお腹をへこませたり膨らませたりすることで鍛えることができるので、仕事中や椅子に座りながらでも鍛えることができます。腹直筋も大切ですがそれより内にある筋肉でポッコリお腹にも効果的です。

すべては看護に通じます。

おわりに

今回紹介した筋肉たちは大事ですが、大切なのはその筋肉を適切に使えるようになることです。

そして、意識して使えるようになれば鍛えることも容易になり好循環が生まれます。そうすることで患者さんへのケアの向上、そして看護師の負担減につながります。患者さんをケアするためには自分の体を大切にできるよう筋肉を使えるようになりましょう。

筋肉は裏切りません。筋肉と仲良くなりましょう。

執筆者
中野(看護師)

手術室、急性期病棟、ICUを8年へて大学教員となる。現在は基礎看護学を担当。プロ格闘家としてのみならずコンテスト優勝歴もある格闘看護師として活動中。