新型コロナウイルスの影響で医療従事者の状況が報道されるようになりました。メディッコメンバーには全国各地、さまざまな場所で働いている人が集まっていますが、どのような状況におかれているのか、現状を聞いてまとめてみました。(2020年5月18日現在)
たみお(PT)
普段、午前は医療外来・入院のリハビリ、午後から訪問リハビリをしています。僕の地域ではまだ感染者数は少ない状況ですが、院内のマスクや消毒液は枯渇。医療外来では来院時のマスク着用、手指消毒、検温測定を行い、発熱がある場合リハビリ中止としています。訪問リハビリでは「感染するかもしれない」とリハビリをお休みする人も数人いらっしゃいます。また、同一法人の老人ホームに訪問する際には、複数人の訪問スタッフが同時に施設内に入らないようにしており、訪問日程の調整をしています。
今回の影響でまず手術の件数が大きく減りました。待機できる手術は延期になっています。私の病院では手術予定の患者さんは全症例PCR検査を実施することになっています。急患の場合は結果を待つことができないので、PPEを装着して対応するということになっています。
かなこ(Ns)
須藤(OT)
普段は入院患者、外来患者のリハビリをしています。外来患者は一部制限。心臓リハビリは集団になるので、基本的にテレモニタリング(電話)で状況確認、生活指導を行うようにしました。ただし、骨折後など必要性が高い人たちもいるので3密を考慮しながら実施しています。最近ではリハビリの運動動画を病院ホームページに載せるなどの対応をしています。また、入院患者は面会が制限されているので、短い時間での面会をお願いしたり、お手紙を残してもらうようにしています。
「クリニックに行くのは怖い」「家族から外出を止められている」という患者さんがいるので、電話再診での薬の処方を行っていて、希望する患者さんには郵送で薬を届けてもらえるように地域の薬局と連携しています。現在外来では、ストレスの増加・疲れ・免疫力の低下により帯状疱疹の患者さんも増加しています。
うめやん(RD)
坂場(OT)
連日のメディア報道によって恐怖心を抱いていたり、外出自粛によるストレスによって体調を悪化してしまう恐れがある方もいらっしゃいます。換気や消毒を増やして対応しています。また、集団のプログラムは中止し、一人一人で完結できるようなプログラムにシフトしています。発生時のチャートを作成し、デイケア内で発生した際は迅速に対応が取れるように準備しています。
普段は妊婦健診から産後ケア、母乳外来等、分娩以外の産科業務をしています。面会もパートナーのみで短時間(15分程度)に。病院によっては立ち会い出産やパートナーの面会も禁止されている所もあるようです。普段であれば、夫や家族への育児教育(沐浴指導等)などもやっているのですが、全く出来なくなってしまいました。患者さんも「里帰り出来なくなった」「実母が県外から支援に来てくれるはずが来れなくなった」など、サポート不足についての不安を話す方も増えています。
あみ(Ns)
くー(ME)
外来透析、心臓外科手術、カテーテル治療、その他緊急対応をしています。地域的に感染者数は少なく、重症患者もほとんどいないです。実際、自分の働く施設は陽性患者が0です。私は臨床工学技士ですが、部署の人数が少ないので、スタッフの配置に不安を感じています。ECMOや人工呼吸器の管理に人手が取られると他の現場が回らなくなる可能性があるので、最低限の人員配置で臨む予定です。
患者さんの面会・外出は原則禁止になっています。これによって患者さんのストレス度は上がっていますね。職員も自粛によって心のストレスは増加しているように感じます。マスクや手袋や消毒等の物品不足もあり、不満の声は高まっています。患者さんの気分転換に散歩に同行したりとストレス減の工夫をスタッフで考えて看護を行っています。
福地(Ns)
白石(Ns)
緊急ではない手術や受診は延期、外来も一部制限。病棟のスタッフも普段より2/3程度の人数でまわしています。元々発熱やかぜ症状がある方が来院することはないので、パニックなどにはなっていません。病棟では面会者は一名、手術日に限ると面会制限をもうけています。マスクやアルコールなどの物品もやや制限あり、マスクは1日1回。リハビリは病室内。患者さんが共通して使用する物品の消毒などはこまめに行っています。
普段は透析業務、人工呼吸器、医療機器管理をしています。感染予防物品(マスク、手袋、ガウン、エプロンや手指衛生用品)は在庫が少なく、1日の使用制限が掛けられています。透析に通院している患者さんは常に熱を測定、事前に電話連絡していただくようにし、透析室が3密にならないように気をつけたり、患者さんが触るところは常に消毒しています。患者さん自身も感染すると危ないと理解しているため、協力を得られやすい状況です。ただ感染が疑われた時の隔離や動線に限界があります。
タサモ(ME)
おぬ(Ns)
病棟に関しては他の方が書かれているのと似たような現状ですが、発熱のある患者さんが入院してくると緊張が走りますね。外来を担当している医師からは、状態の安定してる患者さんの外来期間が長くなる傾向になっており、例えばいつもだったら2週間間隔で受診していた患者さんが、期間の長い処方を希望されてるようで、外来患者さんが減ったとのこと。また、デイサービスも休止しており、外部からの患者さんが減り、病院全体での収入の減少が見込まれるとのことでした。
以上、メディッコメンバーが働く現場の状況でした。
メディッコでは、新型コロナウイルスへの感染リスクと戦いながら働いている関係者の方々のご尽力には敬意を表す他ありません。早く事態が収束し、通常通りの生活に戻れるよう切に願います。