圧迫骨折に対する関わり方!理学療法士と薬剤師で話してみた!

患者さんの疾患や病態に合わせて、コメディカルはそれぞれの特徴を生かしながらアプローチしていきます。でも、「他職種が具体的にどんなアプローチをしているのか」は、よくわからないことが多いですよね。

今回は、圧迫骨折をテーマに、理学療法士(PT)、薬剤師(Ph)でそれぞれの具体的な考え方を話し合いました。

 S.O:薬剤師(Ph)
慢性期病院勤務。高齢の患者さんの対応が多い。一応、骨粗しょう症マネージャー。

 大平:理学療法士(PT)
介護施設に勤務する理学療法士。これまで急性期~回復期にかけて多くの整形外科患者さんを経験。圧迫骨折はよく出会う疾患の為、ぜひメディッコメンバーと話し合いたい。

たみお:理学療法士(PT)
訪問リハビリに従事する理学療法士。高齢者のリハビリをすることが多いため、圧迫骨折の患者さんはよく経験している。

腰椎圧迫骨折ってどんなイメージ?

腰椎圧迫骨折は老年期で多い疾患ですが、みなさんはどんなイメージを持っていますか?僕は、尻もちをついたはずみで骨折してしまったおばあちゃん…というイメージがあります。あと骨粗しょう症が既往にあったり、痩せている人が多いというイメージもあります。

大平(PT)

たみお(PT)

骨粗しょう症は、多くの患者さんが併発してますよね。僕は痩せている人も太っている人も同じくらい経験していますね。太っている患者さんでは、ベッドサイドで安静指示が出ているときの体位交換はコツが必要ですよね。

S.O(Ph)

僕は痩せてる女性が多いイメージです。転んだわけじゃないけど、実は骨折していて、腰痛主訴で発見された…みたいな方にも出くわしますね。
はっきりとした受傷機転なく、いつの間にか痛くなって、検査してみると骨折していた…ということは意外と多いように感じます。

大平(PT)

たみお(PT)

たしかに、『いつの間にか骨折』って言うくらいですもんね。農家で腰が曲がっているおばあちゃんたちを見かけたりしますが、あれは圧迫骨折を起こしていたりするのかな? それともただの変形?
検査してみると陳旧性の圧迫骨折があるかもしれませんよね。陳旧性の圧迫骨折が変形してあの形に収まっているといったところかと思います。

大平(PT)

S.O(Ph)

薬剤師からすると、圧迫骨折を受傷されるのはご高齢の方が多いので、腎機能は大丈夫なのか…起床時の薬剤を飲んだあとちゃんと体を起こしてられるのか…注射薬は使えるのか…など薬絡みは悩み事が多くなります。
腎機能と薬剤使える使えないの関係は、痛み止めで使えないものがあるのですか?

大平(PT)

S.O(Ph)

アセトアミノフェンは腎機能が落ちていても比較的安全に使えます。肝機能が悪いと逆に使いづらいですが…。

たみお(PT)

なるほど、薬剤師はそのような視点から考えているのですね。圧迫骨折の患者さんだと、起床時など体を動き始める時の痛みの訴えが強くて、朝なかなか起きられないって人も結構いたなって記憶があります。そうなると、薬を飲んだ後に体を起こしておくのも億劫になる方も多そうですね。
あと、圧迫骨折になって1番痛みを訴えるのは、やっぱり起居動作ですね。それと、夜寝る前に痛くなってきて夜眠れてない人も多かったですね。

大平(PT)

たみお(PT)

夜寝れないって人もいましたねー!睡眠不足でリハビリにも影響出ることもあります!安静期間過ぎた人は徐々に動いていって欲しいけど、痛みと寝不足でうまく進まないは理学療法士が経験するあるあるかも。

圧迫骨折と関わる時のポイント

たみお(PT)

圧迫骨折と関わるとき、ポイントは何かありますか?
圧迫骨折は急性期だとコルセットを着用しているので、常に背骨(脊柱)の動きが制限を受けた状態になりやすいです。そのため、筋硬結(局所に強い血流不全が起こり筋肉のコリがひどくなったような状態)が頻繁に見られます。そこに、入院のストレスも合わさり噛み締めることが多くなって、交感神経優位になり痛みを助長しているなと思うこともありますね。

大平(PT)

S.O(Ph)

うんうん。
僕は痛みに繋がりやすい筋硬結の改善に向けたアプローチを中心に行って、まず患者さん自身に余裕が出来るように関わることを意識しています!

大平(PT)

たみお(PT)

慢性期の方だと、骨折部位の骨癒合は得られているのに痛みが取れなくて、生活に支障が出ていることが多い印象です。痛みの原因は大平さんの言うように骨折部位周辺の筋硬結が原因のことが多いですね。リハビリではその筋硬結をほぐして痛みを緩和させながら、生活動作での困りごとを改善できるようにADL練習を行っています。
理学療法士としては、痛みをまず緩和させて動きやすくするところがポイントですね。薬剤師としてはどうですか?

大平(PT)

S.O(Ph)

薬剤的には圧迫骨折の治療薬というものはないので、疼痛コントロールとその背景の骨粗鬆症に対して関りを持つことになります。安静時の疼痛コントロールはもちろんですが、リハビリの際の疼痛が抑えられる様にリハビリ直前に頓用の鎮痛薬が必要か検討します。また鎮痛薬と骨粗鬆症治療薬に関連しやすい腎機能には注意して見ています。圧迫骨折に限定した話ではないですが、ADL低下のイベントが絡んでいるので一旦使用している薬剤を再評価します。

たみお(PT)

疼痛はリハビリする時にほんと厄介なので、リハビリ前の鎮痛薬を検討してもらえるのはありがたいです。ADL低下のイベントっていうのは薬を飲む事で低下するってことですか?

S.O(Ph)

ADL低下のイベント≒入院、くらいの意味合いです。入院というイベントが発生してしまった時点で薬剤は再評価するべきだと考えています。

たみお(PT)

なるほど、入院した時点で見直した方がいいってことですね!リハビリでも入院中と外来、在宅で目標や問題点は違いますから、再評価は大事ですねー。
僕は寝返りがポイントと思っています。あれは背骨(脊柱)に負担をかけない方法で、急性期にこれを会得すると患者さんの痛みを軽減できるので練習していますね。

大平(PT)

たみお(PT)

寝返り方法は、しっかり指導しておかないと背骨への負担が大きいので大事ですよね!僕が気になるのは食事の場面ですね。圧迫骨折になると円背になることが多いですが、ひどくなると食事場面で背筋が伸ばせなくなります。

S.O(Ph)

ほうほう。

たみお(PT)

そうなると内臓の位置関係も変わってきて、食道の狭窄、胃の圧迫がおこったり、逆流しやすくなったりと次第に患者さんの食事摂取量が落ちてしまうことがあります。「治すためにいっぱい食べましょう!」と言っても本人は食べられないという状態なので、食事場面でのポジショニングやセッティングは大事だなと思っています。
まとめ
今回は圧迫骨折をテーマに、理学療法士と薬剤師で考え方を話し合いました。他職種が考えていることを知っておくことは、自分の役割を発揮するためにも重要です。あなたの役割はどんなものがあるか、この機会に整理してみてはいかがでしょうか!