医療者として働いていると、無力感でいっぱいになることってありませんか?
自分の技術や知識が足りないがために十分なケアを届けられない…とか、忙しさに負けてしまって届けたい言葉を届けられない…とか、先輩なら当たり前に知っていて自分も同じ資格を持っているのに自分は知らない…とか、スタッフ間の人間関係のせいで満足な仕事が出来ない…とか。
とにかくそういうものに日々向き合いながら患者さんと関わらなければいけない。それってけっこうハードじゃないですかね。そんな日々でも医療者が前向きに働いていくためには、医療者自身がケアされる必要があると思うのです。今回はそんな、医療者ケアに関するコラムです。
医療者ケアが必要な場面
冒頭でも述べたように、医療者にとってなかなかに辛い場面というのは多数あります。僕なりに分類してみると、下記の3つがあるように思います。
①患者さんとの関係性:患者さんから心無い言葉を受けてしまった、患者さんに対して十分な医療行為が出来なかった、患者さんとの相性が合わずに消耗してしまう…仕事なんだから頑張れ自分! と思う反面、やはり自分自身も消耗してしまうものですよね。
②スタッフ(職場)との関係性:スタッフからのハラスメント、スタッフ間での仲の悪さ、組織内での派閥や方向性の違い、長時間労働などの過酷な労働環境、基本給の低さや残業申請出来ないなどの低賃金…挙げだすとめちゃめちゃにありそうで気が滅入りますよね。ちゃんとダメだとされているものだけではなく、うまく言語化出来ないけどだめだよなぁ…というものまで多々ありますね。
③自分自身との関係性:「こんな看護師になりたい! 」と思うのに勉強不足に苦しむ自分、「実績を積まなければ成長はない! 」と過度にプレッシャーをかけてしまう自分、対象者やスタッフとの関係性を満足に築けない自分自身への憤り…日々の関わりのなかで無理して自分を繕っている…もちろん①や②と重なる部分はありますが、自分にフォーカスが当たるときってありますよね。
医療者ケアは患者さんケアに繋がる
「医療者は患者さんのために働くものだろ! なにが医療者ケアだ! 」といった言葉が聞こえてきそうです。実際、コロナ禍では医師や看護師にそのような言葉が向けられていた記憶があります。あれは辛かったですよね。話はズレましたが、医療者ケアをすることは患者さんケアに繋がると思っています。例えば、下記のような例があるのではないでしょうか。
・患者さんへの関わりに集中できる:スタッフとのいざこざや自分のなかでの葛藤が常にあると、患者さんへのケアに集中出来ないですよね。僕たちはその場で判断することや集中して処置などをすることを求められる仕事をしています。やはり集中出来る環境を整えることは意味があるのではないでしょうか。自分が提供する医療行為の質にも影響しそうですよね。
・元気に働き続けることができる:バーンアウトで仕事を辞めるなどは医療者あるあるな気がします。転職サイトを見ていると「転職の理由No1は人間関係! 」みたいに書いているところが多いように、やっぱりそのような消耗は働き続けることに影響を与えます。「給料安い! 」とか「忙しすぎて体が…」というのももちろん該当しますし、「もうこんな自分では医療者として働き続けてはいけない…」と責め立ててしまうことも同じように働き続けることを阻害しますよね。そして、医療者としてのスキルアップやキャリアアップにも影響しそうですね。すると、医療行為の質にも影響しそうですよね。
医療者ケア、あります?
このように書くと「他にも医療者ケアが大事な理由あるよね! 」とか「いやはやそんなん絵空事や! 」とか意見を持つ方もいるはずです。ですが、なかなかそういうトークを現場では聞かないのが僕の実感です。マネジメントや教育という側面ではこういうお話聞きますが、ケアという側面ではあまり聞きません。
でも、振り返ってみると「これが医療者ケアかなぁ? 」と言えるような関りってあるのではないでしょうか? 「これ食べや~」とミスしたときに飴ちゃんくれる先輩、「先輩の関り方いいですよね! 」と褒めてくれる後輩、「一緒に頑張ろうぜ! 」と切磋琢磨してくれる同期、「いつもありがとうやで」と差し入れをくれる他職種…なんだか医療者ケアっぽいものはあちこちにありそうです。
医療者ケアがどのような影響を与えるのか、どんな行為が該当するのか…このようなことを調べていくのが僕のこれからの取り組みです。興味がある方いましたら、一緒に考えてください~! ではでは。