唐突に作ってみたメディカル突破クイズ!~OT編~

 

須藤(OT)

作業療法士のすまです。

病気を患い、障害を持つと、日常の些細なことができなくなり、「やりたい」と思えることがだんだんと減っていってしまいます。それを防ぐべく、私たち作業療法士は日々、専門知識や技術を使って「やりたい」を阻む障壁を突破しています。患者さんと試行錯誤して、なんとか突破できた時は、「よっしゃぁぁぁぁ!!」ってガッツポーズが出るほど気持ちがいいんですよ。これって某番組に似てるなーと思い、唐突ですがメディカル突破クイズなるものを作ってみました。ぜひやってみてください!

メディカル突破クイズって?

医療や介護の場面にて、とある誰かの“やりたい”が何らかの障壁によって阻まれています。その障壁を“突破”するために、医療従事者ならではの工夫を考えてみましょう。さまざまな職種になりきり、あらゆる困難を見事に“突破”してください!

それでは、さっそく第1問!!

作業療法士になりきって突破しよう!

今回は、作業療法士からの出題です。

《事例》
30代女性のAさんは、右手の怪我をしてしまい、医師から1ヵ月間右手を使わないようにと指示されました。右手は利き手のため、生活はかなり不自由です。家のことを少しでもできるようにと、掃除、食器洗い、洗濯物をたたむなど、左手だけでできることを何とかやっていました。ところが、髪の毛が背中にかかるくらい長かったAさんは、何をするにも自分の髪の毛が邪魔で邪魔で仕方なく、どうにかならないかと悩んでいました。

この困難を、あなたならどうやって“突破”しますか?

作業療法士が解説!髪を結ぶ動作を分析しよう

長い髪の毛をまとめるには、単純に髪の毛を結えばいいと思われるでしょうが、実際に片手で行うにはかなり難易度の高い動作です。なぜなら、髪の毛を束ねて保持することと、ヘアゴムの操作を片手で同時に行わなければならないからです。髪の毛を束ねるために親指と人差し指を使ってしまうので、ヘアゴムの操作は中指、薬指、小指で操作することになります。髪を結うことに慣れている方でも、中々苦労されるのではないでしょうか。この問題を突破するには、2つの方向性があります。1つは「髪の毛を束ねて保持」を自分の手以外で対応すること、もう1つは「ヘアゴムの操作」を簡単にすることです。

突破できるアイディアを3つ紹介

まず1つ目のアイディアは、「壁を使うこと」です。左手で髪の毛を束ね、その部分を壁に押し当てながら保持し、空いた左手でヘアゴムを操作します。外出先ではなかなかできませんが、自宅であれば可能でしょう。ただ、この方法も意外と難しく、慣れるまでに習練が必要です。

2つ目のアイディアは、「ヘアゴムをヘアクリップに変えること」です。ヘアクリップは握れば開き、離せば閉じてくれるので、操作がかなり容易になります。それでも、片手で一方の髪の毛を押さえながら操作するのはまだ難しさが残ります。

さて、3つ目のアイディアは、「ヘアゴムを使った自助具を使う方法」です。作り方は、ヘアゴムの両端に百均などに売っている小さな磁石を取り付けるだけ。そうすると、ヘアゴムを開いて髪の毛を通す動作が必要なくなり、ゴムの両端にある磁石部分を近づけると簡単に留められるようになります。

参考イラスト

このように、作業療法士は生活の知恵や工夫を使ってさまざまな日常の困りごとを“突破”しています。皆さんの専門知識や技術は、他職種にとって目から鱗の情報ばかりです。医療従事者の皆さん、ぜひ自分なりの突破クイズを作ってみてください!

執筆者
須藤誠(作業療法士/デザイン部)

地方の急性期病院で、地域の人たちを陰ながら支えています。真っ当に研究業績を積みながらも、メディアや地域活動を通して作業療法の魅力を伝えるマルチプレイヤー。

Twitter:@sumako1004