患者さんの帰宅願望への寄り添い方は?

高齢者施設で、患者さんの帰宅願望が強く出る場面は珍しくありません。その対応に悩むスタッフの声から、メディッコメンバーが普段どのように患者さんと向き合っているのかを聞きました!安心できる声掛けをするためには、どのような工夫が必要なのでしょうか。

ぽりま(Ph)

仕事で訪問している施設で、帰宅願望が強い利用者さんが何人かいらっしゃるのだけど、安全な声掛けってどんなのがあるかな?施設スタッフが対応に困っていて。
季節の変わり目で不穏な時期なんですかね?認知症の影響で帰宅願望が強まることもありますよね。私が病院勤務していた時代も、やっぱり帰宅願望が強い方がいらっしゃいましたよー。

状態が悪くない(施設にいる必要性が感じられない)から帰りたい方もいれば、それを含めて病識がない方もいますよね。私は、その方の好みの話題に持っていくとか、認知症の方には「今日は泊まっていきましょう」と声をかけてました。

みややん(ST)

おぬ(Ns)

帰宅願望ね。ずっとドア前に立ってる人とかいるよね。認知症の患者さんとしては不安が強い状況なので、話をゆっくりと聞いてあげて、その後はおやつの時間をきっかけに、お茶とかを飲みながら過ごしてもらったりしますね。

帰れないってすごいストレスなので、少しでも帰ることから気を逸らせたくなりますが、むしろそこで無理せず、「家族が来るまで待ってていいですよ」なんて言って、椅子に座ってもらうこともあります。そのうち夕食の時間になりますからね。無理にやめさせなくてもいいのかなと。

お二方と重複する内容もありますが…。以前高齢者施設に勤務していた経験からお話すると、認知症高齢者で帰宅願望のある方って、単に認知機能が低下しているから意味もなく帰りたいと言ってるわけではないことが多いんですよね。帰宅願望の裏にはちゃんと帰りたい理由があるんです。

たとえば、「夕飯を作らなきゃ」とか「愛犬の散歩に行かなきゃ」とか。だから、なぜその人が帰りたいと思うのかをじっくり聞いてあげる。それで、その理由を受け止めた上で、「ご飯は娘さんが準備してくれてるから大丈夫」とか「息子さんがワンちゃんの散歩行ってくれてるよ」など言うと安心されると思います。

あずまっち(Ns)

ぽりま(Ph)

そういうこともあるのか…。
もちろん、一度安心してもそのやりとりを忘れてしまい同じ質問を繰り返すということはありますが、大事なのは、その方が何に対して不安を感じて帰りたいのか?という部分。帰りたい目的をはっきりさせて安心してもらうことなのではないかなと思います。

もちろん、会話が難しい方もおられるので全ての方に通じることではないかもしれません。でも帰宅願望は「単に帰りたい」のではなく、その裏に理由があることを知った上で関わってほしいなと私は思います。

あずまっち(Ns)

ぽりま(Ph)

皆さまありがとうございます!めちゃくちゃ参考になる…!スタッフさんにも「こう対応してる人もいるみたいです」って伝えてみようと思います。

スタッフ側の事情で、「(長時間)話を聞く」というのがなかなか難しいみたいで。すでに傾聴には努めてくれているのですが、あまりにそれに付き合っていると他の仕事ができなくなってしまうのと、他の入居者へのケアの時間がとれなくなってしまうのが悩みみたいでした…。しかも、話したことをすぐ忘れて同じことの繰り返しになると、不毛に思われてしまって。

僕は認知症病棟の専従OTもやっておりました!皆さんすでに書いてくださっているので、もう十分な気もしますが、、、長時間話を聞くことが難しければ、とりあえずその場でも良いので、その方が安心するような声かけをします!何が安心するかは日々の業務でその人の特徴を掴んでおくとうまくいくと思います!

ご家族との関係がよければ、ご家族が迎えにくるまでこちらで待ってましょう!とか、晩ごはんを準備したので、食べていってください!みたいなことはよく使ってました!作業療法的には、帰ってから何かしたいことがあるのか、なぜ帰ることに重きをおいているのかで次のアクションが変わると思います!

坂場(OT)

ぽりま(Ph)

ありがとうございます!基本は、患者さん本人に聞いちゃう感じでいいのですかね?「帰ったら何するんですか?」とか…?
そのように対応してました!基本的にBPSDへの対応もそうなのですが、認知症の方が何かをしようとするときには、昔からの習慣とか、性格的なところが要因となっていることがあります!

ご本人に話を伺い、関係のある話から、帰宅という方向ではなく別の方向に注意を向けることが多いと思います。「家に帰らなきゃ、、、」に対して、「ご自宅で何かしたいことがあるんですか?」と聞いて、「〇〇しなきゃ」が出てきたら、その〇〇に焦点を当てて、「以前よくやってたんですか?」とか、「対象者さんの役目だったんですね!」などと会話して対応していました!

坂場(OT)

ぽりま(Ph)

なるほど!
夕方だからとりあえず帰らなきゃっていう昔ながらの習慣が残っている方とか、遅くなる前に帰ってこいとご家族から言われたことを気にしている場合もあります。その場合は前述したように、ご飯作ったので味を見ていってくれませんか?とか、ご家族から連絡いただいたので、こちらでお待ちください。など、嘘になってしまいますが、その方が安心する言葉かけをして、不快な感情が湧かないようにしながら対応してました!

坂場(OT)

ぽりま(Ph)

ありがとうございます…!参考に、スタッフさんとお話ししてみます!

~後日、今回の座談会を参考にポスターを作って施設に渡したら、スタッフさんが事務所の壁に貼ってくれました~