医療機器は、患者さんの状態や使用している機器の動作状況を監視しています。
それらの情報の異常値を知らせるためにアラーム機能がありますが、不適切なアラーム作動は患者さんの命に関わったり、業務の妨げになる場合もあるでしょう。
今回は、アラームの基本的な考え方と取扱いについてガイドラインを参考に解説していきます。
使用者はアラームの意味を理解し、適切に設定する
様々な状況において適切なアラーム設定があります。
初期設定のままでも動作する場合がほとんどです。
(例)「この患者さんは血圧をあまり上げたくないからアラーム上限値は〇〇にしよう」
このように医師の治療方針に応じて、医療機器の動作設定を行う際に合わせて行うことをお勧めします。
また、その機器にどのようなアラーム機能があるのかを知っておくことも大切です。
アラームを完全にオフにはしない。アラーム音を消さない
アラーム機能は患者さんや機器の不調を知らせてくれる大切な機能です。
何度も繰り返し鳴るアラーム音がうるさいからと言って、アラーム音を無視したり、聞こえない状況を作ってはいけません。
アラーム音がなぜ鳴るのか、患者さんの状態と設定が適切かを検討することが大切です。
もちろん必要のないアラームが鳴り続けることは意識のある患者さんにとっても不快なものになるので、使い始めた時や状況が変わったときにはアラーム設定の見直しを行いましょう。
どうしても気になる場合は一時的にオフにして対応し、後日相談しましょう。
アラーム発生時は迅速に対処する
アラームが発生しているときは迅速に対応しましょう。
業務やアラーム音に慣れてくるとアラームの対応速度は遅くなるかもしれませんが、基本的にアラームは迅速な対応が必要な場面です。
また、とりあえずアラーム音を消してしまう人もいるかもしれませんが、消す前に何のアラームが鳴っていたのか必ず確認するのを意識しましょう。
状況把握→原因追及→対応の流れは忘れずに。
便利機能を活用しよう
医療機器のアラーム音には単純に警報音を鳴らすだけではなく、注意喚起を行う機能があります。
(例)人工透析装置:準備が完了していない状況ではランプの色で知らせてくれる
(例)SpO2モニター:酸素飽和度の数値によって同期音の音色が変わる
このように機器やメーカーによっても違いがありますが、さまざまな機能を活用して日々の臨床業務に役立ててみてはいかがでしょうか。
まとめ
今回は医療機器のアラームについて基本的な説明をしました。生体情報モニターがなかった時代は、ずっと付きっきりになりながらも、異常事態の判断は難しかったようです。
もし生体情報モニターがなかったらと思うと想像を絶しますよね。
せっかくの機能を使わない手はないのです。
機器の特性や患者さんの状態に合った使い方が出来ると良いですね。
参考文献
1) 『医療用具の警報装置の現状と問題点の調査研究』に関する調査・研究班編. 医療機器使用者のための警報装置(アラーム)ガイドライン第1版. NPC 日本印刷株式会社. 2003
総合病院で幅広く業務に関わりつつ、新しい臨床工学技士の働き方を模索中。最近、サブカル臨床工学と名乗る事にした。