いろんな職種の管理職事情を聞いてみた!

主任や士長(師長)などの管理職になると、その部署の管理業務などを担うようになります。管理職は忙しそうなイメージがありますが、どんなところが大変なのかわからない方も多いのではないでしょうか。

今回は臨床工学技士、理学療法士、薬剤師の管理業務をこなすメンバーに、部下目線から質問してみました。

参加者

 タサモ(ME)
臨床工学技士13年目。技士長、主任とし日々奮闘してる。後輩育成に力を注ぐも人手不足で悩んでる。

 Fats(Ph)
薬剤師7年目。今年から主任としての業務を行い始めたが、今までとは違い部下の行動への責任や教育、雑多な書類雑務など大量の仕事を臨床業務と並行しながらどうこなすか試行錯誤中。

 たみお(PT)
理学療法士10年目。今年主任になり、マネジメントの難しさを痛感している。

 大平(PT)
理学療法士5年目。以前は総合病院で主任と仕事をしていた。現在は1人職場になり立場が変わったことで、主任の仕事をどうやってこなせばいいのか悩んでいる。

主任と一般職員の働き方の違いとは?

大平(PT)

今回は管理業務をこなしている皆さんに、管理の大変さについて聞きたいと思います。マネジメントする立場から見て、一般職員との働き方の違いは感じますか?
MEの管理職は、通常業務に加えて、医療機器の更新や物品管理、患者指導、クレーム対応、稟議書の作成、医師・他部署との連絡、書類作成などの事務的な仕事が多くなりますね。

タサモ(ME)

PTも、管理職は物品管理や人員管理、必要書類の作成や主任者会議などの事務仕事が多くなります。また、他施設への連絡やクレーム対応などの対外的な業務も行うことが多いです。

たみお(PT)

臨床現場だと、管理職でありながら、通常業務を抱えていることが多いですよね。いわゆるプレイングマネジャーですね。薬剤師も同様に、通常業務をこなしながら、ミーティングへの参加、有害薬剤の職員曝露防止策やルーチンのルール調製などの部内業務と、部外も含めた環境整備などを推進しています。

Fats(Ph)

大平(PT)

なるほど。やはり臨床以外にもいろんな業務が増えるのですね。
正直なところ、一般職員のほうが臨床業務の割合が多く、羨ましくも思います。だんだん管理業務がメインで臨床に携われなくなる感覚があります…。

Fats(Ph)

一般職員のほうが臨床寄りというのはすごくわかります! 管理業務が忙しくて臨床には以前より注力出来ていない気がします…。プレイングマネージャーって実際かなり難しいと感じますね。

たみお(PT)

大平(PT)

今の話を聞くだけでも難しそうだなと思います。管理業務と臨床にかける時間の振り分けも難しそうですね。
そうですね。やはりプレイヤーとして、患者さんのリハビリを行うときはそこに集中するように心がけています。合間の時間や業務後の時間を使いつつ、管理業務を消化している感じですね。

たみお(PT)

僕もまずプレイヤーとして、不慣れ・知識不足な疾患や業務に向かうときにじっくり時間を取れるように配慮しています。

Fats(Ph)

やはり臨床現場を知らないと指示は出せませんよね。管理業務を円滑に進めるためにも、自身が臨床業務に出ていく姿勢は必要だと思っています。

タサモ(ME)

大平(PT)

なるほど。たしかに現場のことがわからないと指示は出せないですよね。
あと管理業務をしていると、臨床知識のアップデートをする時間が取りにくくなるので、わからないことは勉強している部下に素直に相談するようにしています。

たみお(PT)

大平(PT)

なるほど。いつでも答えられるように準備しておきます!(笑)

管理業務は見える化できる?

大平(PT)

次の質問ですが、部下からすると、管理職の業務は見えないことが多く、忙しさが理解しにくい部分があると感じます。そこを見える化して欲しいと思うことがあったのですが、管理職側から見てどうでしょうか?
それは自分が部下の時代も思っていました。管理業務もいずれ部下がする時がくるので、引き継ぎをしておくのは大事だと思います。しかし、通常業務をこなしながら、部下に管理業務を教えるというのは時間的にも難しいなと、主任の立場になって思いました。

たみお(PT)

管理業務の見える化は非常にわかりますが、実際には難しいですよね。現場の人数は限られていますし、誰かが管理しなければならず、見えるように行うと圧倒的に人が足りないです。とりあえず、マニュアル化は行っていますが、文章だけでは伝えきれないものもありますしね。

タサモ(ME)

大平(PT)

時間や人員の確保を考えると、難しい面があるんですね。
僕はプレイヤーである後輩に「業務をどうしたらもっとやりやすいか」をよく聞いて、それに基づいてルール変更や環境整備を積極的に行っています。自分の見える範囲・影響を受ける範囲の変化が無いと、やはり後輩には響きにくいかもしれないので。

Fats(Ph)

大平(PT)

たしかに管理業務といっても、後輩はなかなかイメージが湧かないと思います。臨床業務にどうつながっているかがわかると、より理解しやすいかもしれないですね。先ほどマニュアル化の話が出ましたが、後輩はあまり見ていないような気がします…。
そんな気はしてました。(笑)

タサモ(ME)

大平(PT)

マニュアルを見てもらうための工夫などはされていますか?
管理マニュアルはありますが、見てもらう工夫はしていないです。いざという時にそれを見て! という形で使用しています。

タサモ(ME)

うちは、マニュアルを電子化してパソコンのデスクトップに置いて、いつでもまとめて見れるようにはしています。見てもらうためのアクションしていないので、これからはもっと見やすい環境を作ったり促したりすることも考えようと思います。

たみお(PT)

大平(PT)

ぜひよろしくお願いします!

主任になって感じた苦労とは?

大平(PT)

では実際に主任という立場になって、業務で「これは苦労したな」と思うことはありますか?
プレイヤーとマネージャーのスキルが違うところが苦労しました。今まではプレイヤーとして評価してもらえたのでマネージャーになりましたが、マネージャーは行う業務が全然違いますからね。

Fats(Ph)

大平(PT)

具体的にどんな場面で苦労されましたか?
次から次へと自分以外の範疇の業務について、判断や責任が求められるため、それらを制御するのが大変でしたね。その割に臨床知識のアップデートは今まで以上に求められるので、それも大変ですね。

Fats(Ph)

僕もFatsさんと同じくスキル面で苦労しました。最初は管理業務を覚えること自体が大変でしたし、他のスタッフたちの意見を聞いたり、他部署へ伝達したりといった対外的な業務が大変だと感じました。

たみお(PT)

僕もFatsさんと同じですね。あと、通常業務を他の人と全く同じようにしながら仕事を行なっているので、管理業務はすべて時間外になってしまうことが大変です。管理業務が多くても、頭数としては現場に数えられているので苦労しています。

タサモ(ME)

大平(PT)

業務内容の変化や責任の面で苦労されることが多いのですね。
皆さんにお聞きしたいのですが、管理業務は、ある意味孤独との戦いみたいなものだと感じます。若手や同僚の理解はありますか?

タサモ(ME)

僕の場合、主任になりたてで余裕がなかったことを周りのスタッフも知っていたので、すごく気を遣ってくれているなと思います。あと主任になって間もないときに、「僕1人ではわからないことも多くて対応しきれないと思うから、みんな協力お願いします」と伝えました。

たみお(PT)

なるほど、忙しさを共有できているのはいいですね。私のところは過去に業務改革を行っており、個々の業務リストを出したことがあります。そのときに自分の業務量を部署内で共有できたので、ある程度理解は得られているかなと思います。

タサモ(ME)

大平(PT)

書類で見るとわかりやすいですね。
そうですね。あと私自身が手いっぱいになると「これをお願い!」 と業務を代行してもらい、管理業務の理解をしてもらっています。

タサモ(ME)

僕は忙しいとき「忙しくて困ってるから助けて」と素直に後輩にも言ってます。権威みたいな上司になっても良いことはないと思ってるので、フラットな関係にしたいですね。歳の近い部下にはとくに深い内容の業務相談も色々して「一緒に考えてくれると助かるんだけど…」というスタンスでいます。

Fats(Ph)

大平(PT)

そういった上司は、後輩から見ても話しやすいです。一緒に課題解決していける関係性がいいですね。では最後に、マネジメントをするうえで大事にしていることを教えてください。
リーダーシップを使い分けることを大事にしています。僕は基本的には奉仕型リーダーだと思いますが、必要だと感じれば指示型にもなります。

Fats(Ph)

僕は文字通り、「manage=どうにかしてうまくやる」ことを意識しています。基本はスタッフの聞き手に回り、問題に対してどうにかして「いい方向」に動かすように考えています。

たみお(PT)

コミュニケーションを取ることが大事だと思っています。でも、なかなか時間がとれないのが現状です。人事考課などの面談のときにいろいろと話を聞いて、相談や問題が起きたときには自ら行動してもらえるような指示を出しています。

タサモ(ME)

大平(PT)

皆さんありがとうございます。僕は、今までマネジメントは部下をコントロールするためのものだと思っていました。しかし、実際は部下のことを思い、コミュニケーションや成長を促してくれるものなんだなと、皆さんの話を通して伝わってきました。
まとめ
今回の座談会で、管理業務の大変さが見えてきたと同時に、忙しい中でも、いかに職場や部下のことを考えているのかが伝わってきました。部下からもうまくフォローできるように、管理職の先輩ともっとコミュニケーションをとってみてはいかがでしょうか?