相手に委ねる多職種連携からはおさらば!自分から現場を変えるために必要な3つの心構え

医療・介護・福祉の現場で働いていて「なんで〇〇してくれないの?」と思ったことはありませんか?

医療・介護・福祉業界で耳にしない日はなくなった『多職種連携』という言葉。チームで1人の患者さんや利用者さんを支える素晴らしい考え方です。スムーズに連携を図ることができれば、在院日数の削減やケアの質を向上させることができます。今回のコラムでは『多職種連携』が上手くいく3つの心構えをお伝えします。

分かり合えないという現実を受け止める

私たちは、医療職、介護職、福祉職として働いています。しかし、職業がその人の人格や性格の全てではありません。育ってきた環境、年齢、性別が違えば、大切にしている価値観も自然と異なります。そこに、職業としての倫理観が加わるため、なおさら、分かり合えることは難しいでしょう。

まずは、人の価値観を全て理解することは不可能であり、『分かり合えない』という現実を受け止めることから、『多職種連携』は始まります。そのため、専門用語の多用を控えたり、丁寧な情報提供を心がける必要があるのではないかと思います。

連携相手に思いを馳せてみる

「褥瘡(床ずれ)を改善させたい」、「食事支援を進めていきたい」など、『多職種連携』を行う時は必ずゴールがあります。連携を進めていくにあたり、多職種やその人がどのような価値観を持って仕事をしているのかを知ることが大切です。

例えば、患者さんの褥瘡を改善させるためには体位交換が必要です。しかし、リハビリ職が褥瘡を改善したいからといって、一方的に体位変換を行っても上手くいきません。看護師さんは経管栄養の体位を、介護士さんはオムツ交換の時間を気にしているかもしれません。連携相手の仕事を観察したり会話をすることで、どのようなことを普段から大切にしているのかヒントを掴むことができるかもしれません。

その人(連携相手)の価値観に合わせて、業務を提案することでスムーズに連携ができるようになるかもしれません。

デザインを意識してみる

デザインという言葉からは、ロゴマークの作成やポスター作成などグラフィックに関係する内容を連想する方が多いと思います。しかしながら、広義の意味では、目的を達成させるための思考の枠組みやコンセプト設計のように、システムを構築するための計画や行為も含まれてきます。

階段をピアノにデザインした事例があります。これにより、普段であれば、ただ辛いだけの階段が、自分で音を鳴らせる楽しい階段に変わり、階段を使用する人が増えました。このように、デザインの力を使うことで相手の行動を変えることも可能です。

多職種連携においても、「なんで〇〇してくれないの?」と悲観的になるのではなく、どうすれば業務を楽に、楽しく、自然と行いやすくなるか考えることも大切です。褥瘡に対するクッションの数を少なくしたり、体位変換の時間をオムツ交換と同じ時間に設定することもあります。

「〇〇お願いします」と頼む方法もありますが、多職種の方が『つい、やってしまう』ようにデザインすることも選択肢として持っておくとケアの幅が広がります。

動画階段をピアノにデザインした事例

Piano stairs – TheFunTheory.com – Rolighetsteorin.se

最後に

今回は『多職種連携』についてコラムを書かせてもらいました。ついつい思ってしまいがちな「なんで〇〇してくれないの?」という言葉。思う方も思われる方も良い思いをしません。しかし、『多職種連携』を効率的に行えば、自分1人では到底出せない結果をだすことができます。少しでも改善できるように『自分から』変化を起こしていくきっかけになったら嬉しいです。

執筆者
橋本康太理学療法士/福祉イベンター

介護系理学療法士として邁進中。

「法人、現場、利用者」3方良しのケアを実践しています。

@hashimoto721