見てみよう!聞いてみよう!嚥下のポイント

2020年5月からメディッコメンバーとなりました、言語聴覚士(ST)のみややんです。

今は訪問STとして働いていますが、急性期病院、回復期病院での勤務経験もあります。STの業務は未知な部分が多いみたいで、特に嚥下障害については「嚥下って何を見ればいいの?」、「困っている患者さんがいるんだけど…」など、よく相談を受けます。

実際の業務でも、施設に訪問すると、「この患者さんは何が食べられるの?」とか、「一口大のものなら食べても大丈夫?」など、多くの質問をいただくので、嚥下に対する意識は高まっているんだなぁと感じます。その一方で、「何をしていいの?」や、「怖くて患者さんに触れられない」など、嚥下に対する介入に関して何から始めたら良いのやら…と困っている声を聞くこともあります。

今回は、現役STの視点から、“嚥下障害をみるポイント”をお伝えします。病院、施設によって理念や対応方法は異なると思いますが、嚥下障害について、専門外でも気付けるポイントを紹介します!

嚥下障害と意識(覚醒)・意思疎通

まず、患者さんの覚醒レベルを見てみましょう。その患者さんは目が覚めていますか? 意思疎通ができますか? 例えば、寝ている時間が長い患者さん。在宅なら「起き時が食べ時」でもいいのですが、施設だと食事の時間が決められているので、食べ損ねてしまう場合があります。また、覚醒状態が悪いと、食事を口に入れたまま寝てしまい、窒息事故につながる可能性もあります。

意思疎通は、《咽頭(のど)にゴロゴロと溜まったものを自力で出せるか》に関わってきます。複雑な指示を理解できなくてもいいですが、「ごっくんしてください」とお願いした時に、「ごっくん」とオウム返しをされる方だと、指示が伝わっていないのでちょっと心配です。「咳払いをしてください」という指示がわかるとベスト。咽頭(のど)にゴロゴロ溜まったものを自力で出せるかどうかは、誤嚥を防ぐ上でも大切です。場合によっては、歯はしっかりある患者さんでも、“もしも”の時のために、食形態のレベルを落とす必要があるかもしれません。

嚥下障害と発声・発音の関係

「(声の)発音が悪い=舌の動きが悪い」ことの現れです。

嚥下に当てはめてみると、舌の動きが悪いということは、口の中に入った食べ物をうまくまとめられず、自分のタイミングで飲み込めないことにつながります。特にサラッとした水分は、自分が意図しないタイミングで飲み込めないと、むせたり誤嚥につながるので、気を付けなければいけません。

「舌を動かしてみましょう」と、直接動きや筋力を確認できるとよりベストですが、見てもよくわからないとか、見せてくれない、見せてもらう時間がない、という場合もあると思います。そのような場合は、発音をよーく聞いてみましょう。発音がよくない場合は、嚥下障害の可能性があるかもしれません。

嚥下障害は声量とも関係する

最後に、声の大きさはどうでしょうか? 声量の低下は、嚥下障害の進行を示す1つであり、しっかり声を出すことは誤嚥予防にもつながります。

小さな声しか出ない方は、強くゴホゴホとむせることも難しい可能性が高いです。また、これまで大きな声で怒鳴っていた方に対して、「最近声が小さいな」と感じる時は、嚥下機能が低下しているかもしれません。意思疎通と同様ですが、声が大きい方は咳払いをして咽頭(のど)に溜まったゴロゴロをとることができる可能性が高いです。これは誤嚥のリスクを下げることにつながります。

おわりに

今回は、嚥下障害の専門家でなくても嚥下障害を見ることのできるポイントをお伝えしました。嚥下障害は難しい、怖いというイメージがあるかもしれませんが、日常から気付きを得ることができるのです。

これからも、専門家ではなくても気付けることや、少しの工夫で解決できるポイントをいろいろとお伝えしていければと思います!

執筆者
みややん(ST)

現在は、小児からお看取りまでに携わる訪問ST。回復期リハ病院、教員、急性期、ことばの教室もチラッと勤務。摂食嚥下認定STだけど、やっぱりコミュニケーションって1番根っこだよねーと思い返しているところ。