看護師の生き残りについて語る座談会~前編~

手に職をつけられる医療系資格の代表格でもある看護師。少し前までは看護師不足が問題となっていましたが、ここ最近では看護大学の増加に伴い、採用状況が厳しいところもあるようです。このように、看護師を取り巻く状況は時代とともに変化してきているのがわかります。

メディッコメンバーでもある看護師4人と助産師1人はいまどのような問題に触れているのか…今後のキャリアについて、けっこう真面目に話し合ってみました!

参加者

 大前(Ns)
男性看護師として病院内でのキャリアアップを目指しているが、女性社会特有の文化にもがき苦しんでいる。

 あみ(Ns)
助産師。なんとなくキャリアの方向性がみえてきたけど、結婚出産でまた絶対変わるよな…と不安に思っている。

 かなこ(Ns)
看護師。キャリアについてあまり考えていない!興味がある分野は経験してみる!なんとかなる!と心のどこかで思っている。

 白石弓夏(Ns)
看護師兼ライターとしてフリーランスと派遣などを掛け持ちして働いている。絶賛キャリア迷子中。

 福地直彦(Ns)
看護師+公認心理師。40歳すぎて看護学校に入学し、看護師になった異端児。今後のキャリアに悩み中。

看護師の業務は他職種にとられてしまう?

白石(Ns)

看護師はいろいろと問題はありますが、今回は職種の問題や現状、話題に挙がっている話について語っていければと思います。まずは、看護師の業務について、世の中ではAIに仕事を取られちゃうって話もありますよね。これについて皆さんどうですか?

看護師はAIに取られる仕事としてマスコミには取り上げられていないですよね。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

うんうん。それで雑務がなくなれば良いんですけど~。

雑務は多分AIに任せられるようになると思うんですけど、 患者さんに直接ケアをしていくのはやっぱり看護師なので、看護業務はAIに取られないんじゃないかと思います。 逆に言うと看護業務は本当に看護師じゃないとできないのかと見直しされる傾向にはあるかもしれませんね。たとえば、厚生労働省の診療報酬の算定内容って数年ごとに変わるじゃないですか…。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

変わりますね!

ここ最近の変化では、看護助手さんやクラークさんに看護業務を少しずつ振り分けているような内容に変化してきているみたいなんですね。要は看護師の人件費を削減したいんだろうなというのを感じます。

大前(Ns)

白石(Ns)

へー!助手さんやクラークさんを増やす流れなんですか?

そうですね。病院の中で看護師の人件費って大きいので、そこをいかに抑えるのかが国の医療費を抑えるポイントになるみたいです。なので、今までの看護業務として行われていたものをいかに看護師以外が担うかということになるみたいです。例えばおむつ交換みたいな業務を看護助手さんがやっている病院は、医療費がまわるような点数のシステムになっているみたいなんです。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

看護補助配置の評価充実ってやつですね。

この診療報酬の取り方も変化があって数年なので、まだ大きく変化はしていないかもしれません。個人的な見解ではありますが、看護師も近い将来、首を切られるようなことが起こってくるのではないかと思っています。

大前(Ns)

あみ(Ns)

なるほど…。

かなこ(Ns)

でもとある看護系雑誌には、全国の9割の病院は看護師の数を現状維持もしくは増やしたいって書いてありましたよ!

それに近い調査を僕も見ましたが、これは闇が深くて…。回答しているのは看護師であって、病院経営者の意見ではないんですよね 。看護師は体感的にもっと看護師がいないと仕事がきついと思っていますが、時代の流れとしては看護師じゃなくても回るシステムが作られていくんじゃないかと思います。

大前(Ns)

白石(Ns)

認定看護師さんとかは専門外来を開いて、それが診療報酬を取れるようになっているので、おむつ交換なんかは補助さんに委託して専門性を発揮している人が生き残れるようになりそうですね。業務の拡大や縮小ではなく推移・変化…。

かなこ(Ns)

でも、専門性を高めるといっても、認定看護師が何人も必要ってことではないと思うんですよね。病院に各種数人の認定看護師がいて、その人が専門性のある仕事をして、その下にサポートをする看護師がいるっていうのが病院の経営的にコストがかからないのかな…。認定を持っているだけじゃなくて、どうやって病院に貢献できるかが大事なんでしょうね。さて、私達はどうすればいいのでしょうか?

看護師業務の不透明さ

僕が芸人の道から看護業界に入ったときに感じたのは、看護師って個人として病院にどれだけ利益を産んでいるのかが見えにくい職業だなと思ったんですよ。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

たしかに…。

PTさんは一人に対して何分リハビリを実施したかで、何点ってわかりやすいでよね。でも、看護師はそういうので評価されることや病院の利益に対して目を向けることが少ないと思います。その点、助産師さんはお産についたら加算がとれるといったことはあるんですか?

大前(Ns)

あみ(Ns)

助産師がお産についたから、として加算が取れるわけではないですが、早産や合併妊娠などのある患者さんが分娩される際にはハイリスク分娩管理加算が医療機関としてとれます。あとは分娩と同様、妊娠中もハイリスク患者さんに対してハイリスク妊娠管理加算がとれたり、母乳外来では乳腺炎重症化予防ケア・指導料という加算がとれます。各病院によって料金は違いますが、日曜祝日や夜間帯に分娩になった時には時間外料金も追加されます。分娩も妊娠中の患者指導も、産後支援も、医師と助産師どちらかだけでは成り立たないので、看護師よりも加算が明確かもしれないですね。

めっちゃ大事ですね。助産師のあみさんが患者さんと関わることで、病院として利益が出るということですね。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

そういう話を聞くと看護師は利益が見えにくいですね…。

ただ直接利益が見えない仕事もないと組織って回らないこともあると思うんですけれど、そういう仕事をしている人間に対してコストがかかり過ぎている。なんせ24時間働いているのが看護師なので。

大前(Ns)

実際に就職活動で感じる看護師需要

かなこ(Ns)

ちょっとこれ見て!教育機関はすごく増えていて、4年生大学で 270校を超えてるの!病院もまだ看護師が足りないと言っているけど、実際は落とされている学生もいるのが現状みたい!

白石(Ns)

新卒でそんな状況なので、中途採用でも病院へ転職ってなるといまは厳しいと実感しています。総合病院や大学病院の経営者にとって、1~5年目くらいで安く雇えて、それなりに働いてくれる看護師が一番需要があるんですよね。たぶん30代の私なんかは書類選考で落ちちゃうだろうなぁ…って。

かなこ(Ns)

大学病院は難しくなってきますよね。ひと昔前みたいに、「仕事がしんどいからとりあえず転職~」という感覚は、危険じゃないかと思います。

どれだけキャリアビジョンを持っているかも大事ですよね。個人的には、人を育てられる力がある人は重宝されるのではないかと思います。看護業務は複雑化しすぎていて、人を育てられるだけのマンパワーが足りないところが多いと思うんですよ。そういう意味では手術室を経験しているとか、ICUを経験しているとかって人を育てる手間が省けるんです。

大前(Ns)

かなこ(Ns)

ほうほう。

その分野を未経験で来た人や新卒をとるよりも、その分野の経験がある人をとるっていう流れもありますよね。だから、特殊な部署にいる人は、そこで突き詰める方が将来明るい可能性があるのではないのかなと…。

大前(Ns)

白石(Ns)

特殊な部署って、精神科のふくっちさんとかどうですか?

そもそも、精神科に行きたい看護師が少ないですよ~。看護協会も日本精神看護協会という別の組織になるので特殊ですから。あとは、一度精神科で働くと一般科に戻れないと考える看護師も多くいます。転職活動する際に、精神科での経験を経験年数として考えない病院もあるようなので厳しいですよね。

福地(Ns)

あみ(Ns)

え、ブランク扱いみたいになるのですか。

ごく一部ですよ。精神科のイメージが良くならないと、人手不足は解消されないでしょうね。だって、現に常に募集していますし、定年すぎて70歳過ぎてもパートで働いている看護師もいますから…。

福地(Ns)

ただ、僕の場合は、40歳過ぎてから看護師になったので…。看護師になって病院を探した時に「その年じゃ取れない」と言われた病院が何件かありましたよ。だって、40歳の看護師1年目と20代の看護師1年目どっち取る?と言われたら、もちろん20代じゃないですか…。また、2025年問題で高齢者人数がピークを迎えたあと、今後は減ってくるじゃないですか。

福地(Ns)

そうですよね。

大前(Ns)

となると、僕も看護師の必要性は減っていくと思うんです。将来的には飽和状態になっていくので、首を切られることもあると僕も思っています。

福地(Ns)

つづきは後編へ!

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