先輩医療者の知恵…後輩へのフィードバックのコツを教えて!

3年目にもなると、どんどん後輩が増えていることでしょう。上司から「〇〇さんのフィードバックをしてあげて」と指導を任されることもあるのではありませんか?

今まではフィードバック受ける側だったので、「どうやって指導すればよいかわからない」と困惑している方も多いと思います。

今回は、日頃から後輩指導をしているメディッコメンバーが集まり、上手にフィードバックするコツを聞いてみました!

参加者

喜多(PT)
病院勤務する理学療法士。良い医療体制を整えるには教育が肝だと思っている。

えだな(OT)
急性期病院でOT5年目。後輩が増えてきて名前を覚えることからがんばっている。

中野(Ns)
病院時代はプリセプターを経験。現在は大学で教員として教育活動をしている。

Fats(Ph)
8年目の病院薬剤師、職場の平均年齢が低く、すでに古参ポジ。毎年増える後輩の指導に色々と頭を悩ませている。

坂場(OT)
精神科作業療法士。年下がなかなか入職せず、後輩は少ない。

S.O(Ph)
中小病院勤務薬剤師。教育体制が整っているとは言えず、暗中模索中。

須藤(OT)
大学病院で勤務する作業療法士。後輩から怖がられてないかいつも心配しながら働いている。

たみお(PT)
インタビュアー。訪問リハビリに従事している11年目の理学療法士。後輩指導は経験しているが、フィードバックの方法にはその都度頭を悩ませている。

 

先輩も悩みながら指導している!

たみお(PT)

後輩へフィードバックするのって難しいですよね。普段から後輩指導をしているみなさんも、難しいと感じる場面はありますか?

その場のタイミングでなかなか言いにくくて、後から伝えたときに後輩がその場面を覚えておらず冷や汗かいたことがあります…。例えば、患者さんに対する言葉づかいって自然に出ているものなので、記憶に残っていなかったりするんですよね…。後から指摘しても、「そんなこと言ってました?」ってなる(笑)。

えだな(OT)

喜多(PT)

あるある(笑)。自分が大切だと思っていることを一方的に伝えているときって大体上手くいかないですね。後輩がしっかりと受け取るモードになっていないのに、授業みたいな雰囲気になってしまうとダメです。「あれだけ伝えたのに理解されてない…!」ということは多々ありました(苦笑)。

自信満々で間違えるタイプの後輩もいますしねぇ…。もちろんそれである程度正解なときもあるのですが、そこで満足してしまうと更に深堀りがしにくいですし…。かと言ってあまり否定から入りすぎるのは自分も上手ではないので…。

Fats(Ph)

なかの(Ns)

伝え方って難しいですよね。経験が浅い後輩の場合、勉強していても、実際に見るのとやるのでは大きく差がありますからね。専門用語を使いすぎて、実は伝わっていなかったということもありましたね。

うんうん。それにこのご時世だと、フィードバックひとつでハラスメントにならないかとひやひやすることもあるよね。だからと言って、何も言わないでおくことはできないですし。前置きから説明をしたとしても、それで長くなってしまって嫌な気持ちにさせていないか心配に思っています(笑)。

須藤(OT)

坂場(OT)

まさにハラスメント案件ですが、他の人の指導場面で、「自分が正解!自分だけが正しい!」と思ってフィードバックしているのを見ると、いたたまれない気持ちになります。正解はひとつじゃないし、最適解も一人の視点だけでは偏ってしまうと思います。お互いの視点や考え方の共有が必要ですよね。多様性を認めることが大事だな!と、いつも自分に言い聞かせています(笑)。

たしかに。僕の場合は逆に後輩から、フィードバックの際に「何が正解なのか」を求められて悩んでしまうことがありました。「現場ではこれが絶対という選択肢はそうそうない」と伝えるのに苦労しました。

S.O(Ph)

たみお(PT)

なるほど、みなさんも困る場面が結構あるんですねー。

フィードバックがうまくいったエピソード

たみお(PT)

では逆に、「うまくフィードバックできた!」と思えたエピソードはありますか?

急性期病院では、リスク管理についていろいろな人に伝える機会が多く、だんだんと伝えた後輩に伝わるようになってきました!数打ちながら鍛えた感じですね(笑)。

えだな(OT)

喜多(PT)

数打つのも大事だね(笑)。僕は後輩が「自分の頭で考えるモード」になったとき、フィードバックがうまくいったと感じますかね。言われたから仕方なく考える…ではなく、言われたことをきっかけに考えが広がっていく…という感じになるとき。そういうときは私自身の意見を言わず、問いからフィードバックできているときが多いです。「どう思う?」とか言ってます。

僕は、後輩が何に困っているのかを理解できたとき、スッキリしますね。後輩の求めているフィードバックが、わかりやすい答えを求めているのか、単純に愚痴を聞いてほしいだけなのかで対応が変わると思います。それが理解できたときは「うまく伝わった」と感じますね。

須藤(OT)

なかの(Ns)

たしかに。相手が求めている内容で、伝え方も変わってきますよね。理論的知識と実践的知識は違うので、ケアや処置を体験したらまず、できなかったことよりもできたことを確認します。そこに知識をのせて説明したり、同じようなケアなどで自分が失敗談や間違えやすい事例を伝えると、次からはしっかりやってくれました。

薬剤師は薬剤管理指導業務で薬歴を書きますので、それに赤入れしていくことがある程度やりやすい方法でした。本当ならカルテ確認から面談まで付いてあげたいところなんですが、時間の面で現実的じゃありませんからね。良い悪いだけではなく、ここ深堀りできるかも?というポイントも示すと手応えがありました。

Fats(Ph)

たみお(PT)

なるほど!みなさん伝え方を工夫されているんですねー!

上手にフィードバックするには?コツを教えて!

たみお(PT)

これまでの話で、みなさん工夫をしながらフィードバックをしていることがわかりました。最後に、みなさんの「フィードバックのコツ」を教えてください!

心掛けているのは、自分の経験をそのまま伝えるのではなく、相手が実際にその場で経験しているかのように伝えることです。例えば「このとき患者さんが冷や汗かいてたらどうする?」などリアルな状況を想定することで、一番伝えたい部分が伝えやすくなったかなー!

えだな(OT)

喜多(PT)

後輩をアセスメントしたうえでフィードバック入れることは心がけていますね。それぞれによって到達目標が違ったり、伝え方を工夫したりしなければいけませんからね。「3年目だからこれくらいできないとダメ!」とか考えてしまっているときは、ダメなフィードバックしていると自分に言い聞かせてます。

なかの(Ns)

頭でわかったことが実際にすぐできるなら、みんなプロ野球選手になれます。すぐにはできないことを理解して、焦らずじっくり説明や体験回数を増やせるよう声掛けを心がけてます。

まずは信頼関係が大切だと思います。これはフィードバックする側が信頼されるかどうかだけではなく、後輩のことを信じられるかどうかも大切なんです。いつも懐疑的に、不信感を持ってフィードバックをしてしまうと、後輩も話をしたくなくなってしまいますよね。だから、まずは後輩の行動を盲目的に信じるようにしています。細かいフィードバックの技術は、そのあとですね。

須藤(OT)

坂場(OT)

視点の共有がまずは大事かなと。後輩もどんな風に見ているのか、後輩の引き出しを全部開けた上で褒めるところと、修正するとさらに良くなるところを導いてあげるのが大事かと思っています。修正すべきところは具体的に、何故なのかを重要視しています。人間には自尊心がありますので、傷つけずに、後輩へのリスペクトも忘れずに。最終的には、指導側もフィードバックを受ける側も両方が学びとなるwin-winな形に持っていけるといいなと感じます。

自分でさまざまな選択肢を考えることができるようになれば、対応の幅が広がります。できる限り多くの選択肢を想定できるようなフィードバックを心がけています。

S.O(Ph)

対象の性格やキャラクターにあわせて、響くやり方を見極めることが大事かなと思います。もちろん自分には苦手なフィードバックの仕方もあるでしょうから、全てそのとおりには行かずとも、相手にとってなるべく飲み込みやすい形でフィードバックしてあげたいところですね。

Fats(Ph)

たみお(PT)

ありがとうございました!

まとめ
今回は、後輩へ上手にフィードバックするコツについて、日頃から後輩にフィードバックしているメディッコメンバーから話を聞きました。信頼関係を築くこと、視点を共有すること、その後輩に合わせて伝える方法を変えるなど、みんなそれぞれに工夫をしてフィードバックしていることがわかりました。これから後輩にフィードバックしていかなければならない人は、ぜひ参考にしてみてください!

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