訪問看護を教えて!看護師と言語聴覚士に理学療法士が聞いてみた。

病院勤務しか経験のない医療職にとって、在宅はまだ見ぬ世界で知らないことばかり!そこで、病院勤務経験しかない理学療法士が、訪問看護で勤務する看護師と言語聴覚士に話を聞いてみました!

参加者

喜多(PT)
病院勤務しか経験のない理学療法士。訪問看護がどのような世界なのか、いまひとつ理解できていない。この座談会で聞けて運がいいと思っている。

あずまっち(Ns)
総合病院で手術室、外科病棟の経験を経て、小規模多機能型居宅介護施設にて勤務。その後、訪問看護の現場に飛び込み、現在3年目。

みややん(ST)
急性期、回復期、教員、子どもの発達支援などの経験を経て、現在は訪問ST。非常勤時代も合わせてこの春、訪問ST8年目(わぁ…)。

訪問看護の世界ってどんなの?教えて!

喜多(PT)

訪問看護で働いたことがないのですけど、訪問看護のことを知りたいのです!経験のあるお二人にお話しを聞きたいと思ってます。いいですか?

あずまっち(Ns)

いいぜ!

いいよ!

みややん(ST)

喜多(PT)

ありがとう!まず知りたいのは…訪問看護ってどんな患者さんを対象に、どんなことをしているの?

私の勤務している訪問看護ステーションは主に成人〜高齢者の方を対象にしているよ。がん、神経難病、脳卒中の後遺症…などさまざま。私は小児の訪問をどうしてもやりたかったから、嚥下障害、発達障害、知的障害、構音障害のお子さんも訪問させてもらえるようにしているよ。

みややん(ST)

喜多(PT)

幅広いんだね。STとしてはどんなリハビリをしているの?

STの対象患者さんは嚥下障害が一番多くて、失語症、構音障害の順かな。リハビリ内容としては病院と大きくは変わらないけど、自宅にあるものを利用することが訪問の大きな特徴。奥さんが作ってくれたご飯を食べたり、家族みんなで自主トレーニングをしてくれたり、やりとりはその家庭それぞれだよ。

みややん(ST)

喜多(PT)

家庭のご飯を食べれるように介入するって、大切な役割だね!病院で働いていたときとの違いってどんなところ?

病院では食事が全然取れなかったという方が自宅に帰ってきて食べられるようになるケースもあれば、神経難病の症状が進行して食べられなくなるケースもあるんだ。経口摂取していたけど、胃ろうを造ることになり、可能な限りは経口から…とか、長い月日をともにするのでいろいろなパターンがあるね。

みややん(ST)

喜多(PT)

対象となる方が幅広いと、状態もさまざまだね。訪問看護って名前だから看護が肝だと思うんだけど、あずまっちはどう?

あずまっち(Ns)

私の勤務している訪問看護ステーションも小児が数名と成人〜高齢者の方が対象だよ。私のところもがんや神経難病の方を始め、事故で脳に障害を負った方もおられるし、他は高齢の方が全体の8割を占めているかな。

喜多(PT)

同じような感じなんだね。看護師としては、どのような関わりをすることが特徴的なの?

あずまっち(Ns)

そうだね。点滴とか褥瘡の処置とか医療的なケアはもちろん、排泄介助や入浴介助など身体的ケアもやっているし、じっくり話を聞いて不安の軽減や患者さんがどんな生活を望んでいるかとか希望を聞いて、医者やケアマネジャー、他職種にも相談をして、いかに希望に沿った関わりができるか精神的なケアも行っているよ。

訪問看護で働こうと思ったきっかけは?

喜多(PT)

二人が訪問看護で働こうと思ったきっかけは何?

私は回復期病院で働いていたんだけど、ある日「この患者さんが私服で過ごすところ、想像できない!」と思ったの。それで自分が、患者さんが自宅で生活することをイメージ仕切れていないのではないか、実際に見てみたい!と思ったのがきっかけ。気づいたら非常勤と合わせて丸7年だよ。あっという間だね〜。

みややん(ST)

喜多(PT)

患者さんの私服から働き方まで繋がったんだ!あずまっちは?

あずまっち(Ns)

小規模多機能型居宅介護施設で働く中で、ケアマネジャーの資格を取得したことがきっかけで、在宅に興味を持つようになったんだ。そして、地域包括ケア体制が国から推進されていることを知って、今後在宅の需要が高まっていく、訪問看護の必要性が高まっていくんだろうな〜という漠然とした考えから、訪問看護に転職しようと考えたよ。

喜多(PT)

なるほど、業界の動向から転職を考えたんだね!実際に働いてみて、需要は高まっているような感覚はあるの?

あずまっち(Ns)

そうだね。実際、私が総合病院で働いていた時と比べると、在院できる日数がかなり短くなっていることを感じる。政府が医療費適正化政策のために入院日数の短期化を目指していることから、出来るだけ早期に患者を退院させる方向に治療が進められて、必要な治療さえ終わればあとは在宅にバトンタッチという傾向になってきているのを感じるかな。

喜多(PT)

となると、以前では入院していたような状態の方でも自宅で過ごしているんだね。専門性の高い関わりが大切だね。

訪問看護で大切にしていることは?

喜多(PT)

訪問看護で働く中で大切にしていることってどんなこと?

よく聞くと思うんだけど「自宅は患者さんのホーム」ってことは大前提で。中でも私が大切にしていることは、家族にも本人にもしっかり寄り添うこと。そして、無理させないこと。

みややん(ST)

喜多(PT)

寄り添うってよく聞く!

寄り添うって言葉では簡単だし大切なんだけど、難しいよね…。患者さんの本心ってすぐはわからないし、気持ちってどんどん変わっていくものだと思うんだ。患者さんだけではなくて、家族の心の動きもあるからね。タイミングを見てお話ししたり、いつでも気軽に話してもらえるような雰囲気を、常時出し続けることが大切だと思うんだ。「絶対胃ろうはしたくない」って言っていた患者さんの気持ちが変わって「みややん、胃ろうってどんな感じ?他の患者さんはどうしてる?」って聞いてくれたり「家族にこれを遺したいんだよね」って話してくれたり。そんな時に受け止められるように、いつでも準備しているつもりだよ。

みややん(ST)

喜多(PT)

なるほど、そういうやりとりが行われることも在宅のリアルなんだね。気になるのは、在宅で過ごす患者さんだとスポットでしか介入出来ないことなのだけど、そこらへんはどうなの?

そうそう、病院では毎日顔を合わせるし、励ましてくれたりもするよね。自宅でもリハビリに行った時は「できるできる!」って意気込んでくれても患者さんが続けられないことって結構あるんだよ。…私たちもそうだけど、ひとりじゃ続かないことってあるよね。嚥下障害の患者さんとも、その場では安全が確認できても、私が帰ってから「あれ?どうするんだっけ?」とか「むせちゃった!どうしよう!」ってことがあったりするんだ。だから、本人だけではなくて家族の能力や背景、生活リズムなども考慮して続けられるものなのか、難しいのかって考えているよ。病院よりは圧倒的にリハビリの時間は少なくなるけど、焦らずにしっかりと向き合っていくことがとても大切だと思っているんだ。

みややん(ST)

喜多(PT)

なるほど~。あずまっちは訪問看護でどのようなことを大切にしているの?

あずまっち(Ns)

私は「患者さんやご家族の想い、どのような生活を望んでいるか」を大切にしたいと思ってて、橋渡しの役割を意識してるんだ。

喜多(PT)

橋渡し???

あずまっち(Ns)

うん。患者さんが安心して住み慣れた家で療養できるには、地域のさまざまな職種と連携しなければならないよね。訪問看護では看護師が患者さんと顔を合わす機会が多いものだから、患者さんやご家族の想いを聞ける機会が多いの。それを、ケアマネージャーやリハビリ職などの他職種に伝えて、その方がどんな生活を望まれているのか、どのようなサポートをすれば良いのかを考えられるようにしているよ。

喜多(PT)

関われる時間が違うから、それをサポートし合うんだね!

訪問看護における多職種連携は?

喜多(PT)

二人は訪問看護でどんな多職種連携をしているの?

そうだ!多職種との話もしなきゃね!私の職場は日中は業務用SNSで情報共有して、昼や夕方で顔を合わせた時に直接報告・連絡・相談をしているよ。看護とリハとどっちが先に入ったほうが良いかとか、ケアの内容によっては一緒に着いていって確認することもあるの。

みややん(ST)

喜多(PT)

業務用のSNSがあるんだね!患者さんに合わせて介入時間を決めれる…それが実践出来ればめっちゃいいなぁ。他には、どんなことを共有しているの?

昼間の訪問中は緊急性の高い相談は電話をするけど、転倒の傷や新しい福祉用具などは、写真に撮って共有するよ。こんな声が聞けました!とかは動画に撮って、みんなでほっこり☆とかね。私はこの、ほっこり場面をたくさん残すようにしているんだ。昔、ご家族に「病気になってから写真を撮らなくなった」って聞いたことがあって、関わる中で残したいなって思ったの。私が撮った写真を遺影にしてくれた方が何人かいるんだよ。それに、STの場面で思わぬ声が聞けた!とか、良い表情が見られた!っていう場面が結構あるから、みんなにも知ってもらおうと思ってね。メディッコでも、多職種連携は日頃の声かけからってよく言うじゃない?(言うよね?)だから「コバナシ」をたくさん作って声かけ合うように心掛けているよ。

みややん(ST)

喜多(PT)

なるほど!実際に話せなくても、そんな形でちょっとのコミュニケーションを取るんだね!あずまっちはどんなところで多職種連携を感じるのかな?

あずまっち(Ns)

私は病院に附属している訪問看護ステーションに勤務しているんだけど、ステーション内には他職種はいないんだ。附属の病院内や病院系列の事務所に常駐している他職種と連絡を取り合うことが多いんだけど、一緒に同じステーションで働いていないから顔を合わせることはほとんどないんだよね。もちろん、必要な申し送りや伝達があれば、電話やメールでやりとりはするけど、直接会って話をしたりできる機会がほとんどなくて。

喜多(PT)

やっぱりなかなか会えないものなんだね。病院のときと比べたらどう感じる?

あずまっち(Ns)

それでも、受け持ちの患者さんのことで医師やケアマネジャー、訪問リハビリ、訪問栄養、薬剤師、デイサービスや施設のスタッフなど本当にたくさんの職種と連絡を取り合うことがあって、そういう経験はあまり病棟の時はなかったから、在宅での多職種連携の幅広さを感じているよ。

喜多(PT)

会えないけど密になってるんだ!

あずまっち(Ns)

そうだね!

まとめ
訪問看護の世界で働く二人に話を聞いてみました!訪問看護では会えないけど密な連携が工夫して行われてることはとても興味深いお話でした。この座談会をきっかけに、みなさんも訪問看護で働く人たちと気軽に話してみてくださいね!