松葉杖を使う時の注意点とは?理学療法士が解説します!


足を怪我してしまった患者さんがよく使う杖の一つに、松葉杖があります。

両手で持つことで片足を浮かせて歩けるので、怪我によって足に体重をかけてはいけない患者さんには打って付けです。

しかし松葉杖を使う際には、注意する点がいくつかあります
今回はその注意点について、理学療法士が簡単に解説します。

 

歩く時の注意点その①〜脇を圧迫すると危険!〜


松葉杖は床から脇部分までの長い杖なので、「脇で体重を支える」というイメージがある人もいるのではないでしょうか?

実はこれがNGです。

脇には腋窩神経や腋窩動脈といった、腕全体に伝わる神経や血管が通っています。

脇に直接体重を乗せて歩くと、神経や血管を圧迫してしまい、腕にしびれや痛みが出てきてしまうのです。

そのため歩く際には、脇を直接圧迫しないように二の腕と体で挟み込むように持つように理学療法士は指導しています。

また、松葉杖の長さを合わせる時は、脇と脇当てとの間に指2本程度の隙間を空けるように合わせます。

脇は本当に大事な部分なのです。
「毛細血管いっぱい詰まってるとこ!脇!」なのです。(すっちー&吉田裕参照)

 

歩く時の注意点その②〜階段や大きな段差に弱い〜


両手で松葉杖を使わなければいけない人の場合、階段や大きな段差の上り下りが大変です。

使ったことがないとわかりにくいのですが、両脇に杖を挟んだままで階段の一段上に杖を付くのは難しく、杖自体も不安定で体重を支えることは出来ません。

生活環境上どうしても上り下りが必要な人は、誰かに手助けしてもらうか、這って上り下りしてもらう等の手段も検討します。

上り下りの必要のない方は、できるだけ階段は使わないようにしましょう。

 

歩く時の注意点その③〜慣れてくる頃が一番危ない〜


松葉杖は使い方に慣れてくると、だんだん大股でスピードを出して歩けるようになります。

しかしあまり勢いをつけすぎると、床が濡れて滑りやすい場所では転倒する危険性が高まります。

また、脇当てが脇から抜けて体重を支えられず転倒してしまう場合もあります。
慣れてきてもあまり大股になりすぎないように注意が必要です。

 

最後に〜こまめなチェックで転倒予防〜


松葉杖は大きく頑丈なイメージですが、消耗品です。

杖先のゴムや持ち手のクッションなどは、使っているうちに消耗してきます。

特に杖先のゴムに関しては、削れて溝がなくなることで滑りやすくなり、転倒のリスクを高めてしまうので、こまめにチェックすることをお勧めします。

 

執筆者
たみお(理学療法士/リハ栄養部)

慢性期病院で勤務し、患者さんの生活の質を向上させるべく奮闘中。講演やボランティアなどの地域に根ざした活動を積極的に行っています。メディッコではギター侍担当。