骨粗鬆症は当たり前?何となく知られていない話をするよ

作業療法士のすまです。骨粗鬆症を知ってますか?と聞けば、医療者なら100人中100人が「知ってます」と答えるでしょう。でも、実は名前を知っているだけで、その対応方法や重要性は意外と知られていないのです。そんな骨粗鬆症の雑学をお話しします。

骨粗鬆症とは

知ってのとおり、骨粗鬆症とは骨密度が低下して骨がもろくなった状態を指します。通常なら骨折しないような弱い衝撃で骨折してしまうため、気付かない間に起こる「いつのまにか骨折」、何度も骨折を繰り返してしまう「くりかえし骨折」とも呼ばれるようになりました。骨粗鬆症が原因となる骨折は脆弱性骨折とも呼ばれ、橈骨遠位端骨折、大腿骨頸部骨折、脊椎圧迫骨折が代表例です。

これ知ってた?

名前はよく知られている骨粗鬆症ですが、皆さんの周りにどれだけ骨粗鬆症の方がいるかご存じでしょうか。2015年の統計で女性980万人、男性300万人であり、数字上は国民の10人に1人が骨粗鬆症を持つことになります。好発年齢は女性で50歳から、男性は65歳から急増すると言われています。女性は50歳ごろに生じる閉経に伴う女性ホルモンの減少が主な原因として考えられています。

医療の現場では、脆弱性骨折の代表である大腿骨頸部骨折に関わることは多いのではないでしょうか。骨粗鬆症を背景とする大腿骨頸部骨折のうち、骨粗鬆症の治療が行われている方は全体の19%しかいないことが指摘されています。皆さんの周りにいる骨折患者さんは、骨粗鬆症の治療をしてますか?

骨粗鬆症の治療が次の骨折を防ぐカギ

骨折を繰り返さないためには、骨粗鬆症を早期に発見して治療することです。しかし、元気なうちに骨粗鬆症を発見することは容易ではありません。骨粗鬆症の診断には胸腰椎単純X線検査やDXA(二重エックス線吸収法による骨密度測定)が必要となりますので、医師の判断に委ねられています。

私たち医療従事者にできることは、「もしかして骨粗鬆症があるのでは?」という疑問を周りの多職種と共有することです。初めての骨折を起こした患者さんと関わったとき、何度も骨折を繰り返す患者さんと関わったとき、「もしかして…」と思うことを共有し、骨粗鬆症の発見と治療に繋げることが重要になります。最近は骨粗鬆症の早期発見と骨粗鬆症治療の開始、継続をチームで支援するため、骨折リエゾンチームを発足している病院も増えてきています。

知っているようで知られていない骨粗鬆症のお話でした。骨折リエゾンチームって何?って思われた方、その話は次回お話します。

執筆者
須藤誠(作業療法士/デザイン部)

地方の急性期病院で、地域の人たちを陰ながら支えています。真っ当に研究業績を積みながらも、メディアや地域活動を通して作業療法の魅力を伝えるマルチプレイヤー。

Twitter:@sumako1004