現役PTが病院を飛び出し、放課後デイサービスを体験してきた!


理学療法士が働く場所といえば、病院やクリニックといった医療機関をイメージする人が多いのではないでしょうか。

しかし、あなたの知らないところでも、理学療法士は活躍しています。

今回、病院勤務する現役理学療法士が「放課後デイサービス」というサービスを提供する事業所を体験してきました。

放課後デイサービスの体験記をご覧ください!

 

放課後デイサービスの対象・目的・サービス


放課後デイサービスとは、障がいや発達に特性を持つ児童のための福祉サービスです。

6歳から18歳の就学児(注釈1)が通うことができ、自立支援や日常生活の充実を目的(注釈2)としています。その名の通り、基本的には学校が終わった放課後や、長期休暇となる春休み・夏休み・冬休みに利用可能です。

2012年より放課後等デイサービスは開始されました。しかし、その必要性の高さから事業所は爆発的に増加し、その結果、質の低下が生じました。現在、質の向上に向けた取り組みとして、より専門的な関りと人員配置が求められています。

*注釈1当該年齢で障害手帳・療育手帳・精神障害者保健福祉手帳などの手帳を所持、もしくは、発達の特性について医師の診断書がある場合療育手帳は「愛の手帳」「みどりの手帳」と呼ぶ地域もある)

*注釈2:放課後等デイサービスのサービス内容は厚労省のガイドラインにより定められています。その内容は、①自立支援と日常生活の充実のための活動、②創作活動、③地域交流の機会の提供、④余暇の提供であり、これらを組み合わせて個別性に沿った支援を行います。

 

放課後デイサービスの体験記


現役理学療法士である僕に何が出来るのだろうか?そんなことを考えながら、アルバイト体験に行ってきました。

今回は体育館でのスポーツ活動に参加してきました。そこでは9歳~17歳の自閉症や多動症の子どもたちがおり、それぞれが好きなスポーツに取り組んでいました。

なかでも理学療法士が関わることで、より可能性が広がるであろうポイントをまとめました。

 

自閉症の子のケース


たくさんの子どもたちが遊んでいるなか、僕が声をかけた子は驚くほど耳を傾けてはくれませんでした。どうやら、自閉症をもつ子だったようです。その子は一人でバスケットボールを籠に入れては、出す動きを繰り返していました。

自閉症の子どもは突然の変化が苦手らしく、同じことをしていると落ち着くらしいのです。そうスタッフの方に教えてもらいました。

このような行動を社会的視点から捉えると、みんなで仲良くスポーツをして、周囲の人に耳を傾けることが必要と考えるかもしれません。しかし、それを自閉症をもつ子どもに強要すると、その子が社会に適応する困難さを感じることに繋がります。

さらには社会に出るときに社会を拒絶するきっかけにも繋がるかもしれません。

つまり、周囲の人たちは子どもたちの特性を「個性」として理解し、「個性」に合わせた関わり方をもつことが必要なのです。

 

理学療法士としてできることとは


こうした特性を持つ子どもがいる放課後デイサービスでは、理学療法士としてなにができるのでしょうか。

今回の関わりから僕は、身体作りを通して子どもたちを支援していきたいと考えました。

それは身体が変化することによって心が外向的になり他の子どもたちと関わるきっかけになることや、社会参加したいと思った時にスポーツを通して同年代以外の人とも接する機会を得ることができるからです。

しかし、放課後デイサービスでは子どもに対して個別に介入することは時間的制約などから非常に難しいものです。

理学療法士は誰でも利用出来るようなチェックシートを作成すること、遊びのなかにも身体作りとなるような工夫を提案することが望ましいと感じました。

さいごに


体験を通して、放課後デイサービスに関われる医療者はたくさんいても良いと感じました。

それは、僕が理学療法士としての関わり方を見つけたように、それぞれの専門性を活かした関わり方が出来ると思うからです。

たとえば、作業療法士は精神発達に合わせたアプローチを実践し、発達段階に合わせた遊びの提供、集団での対応策について考えることができるでしょう。

また、看護師は家族を含めたメンタルケア、他者への思いやりを持った関り方を伝えることが出来るでしょう。

まだまだ僕が知らないけれど、医療職が活躍できる世界はありそうです。みなさんもたくさんの活躍できる場所を探してみてくださいね!

 

執筆者
大平拓巳(理学療法士)

病院に所属しない働き方を模索中。 ただ今webライター・放課後デイサービスでアルバイトをしています。リハビリと睡眠を勉強。

 

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