医療者の腰を守れ!格闘家が教える腹圧の大切さ!

看護師をはじめ医療の現場で働く職種の方々は患者さんと付き添いサポートする場面が多く、物理的に支える場面が少なくありません。そのため、医療者には腰痛やヘルニアを患いながら業務にあたっている場合が多々あります。

今回は、そんな医療者の腰を守るためのテクニックを格闘家兼看護師の筆者が紹介していきたいと思います。

医療者の腰痛の現状

医療の現場のみならず、腰痛は多くの職業において約6割を占めるといわれています。また、医療の現場で起きる疾病全体の約8割は腰痛ともいわれています(労働者健康福祉機構、平成27年度版労働衛生のハンドブック)。そんななかでも患者さんのためにと腰痛を持ったまま仕事を続けると、悪化する場合があります。

それと同時に看護師においては離職にも影響を与えているともいわれています(日本看護協会、病院看護職の夜勤・交代制勤務等実態調査)。すなわち高齢化に伴い医療職の充実は必要であり腰痛対策は重要なファクターであると考えられます。

今回は腰痛を予防するために大切な「腹圧」について格闘家兼看護師が解説していきます。

そもそも腹圧ってなに?

「腹圧」というのは何かというと医療的には正式名称は「腹腔内圧」のことです。

おさらいすると内臓は膜に覆われておりそれを腹腔といい、その圧を高めることを腹圧といいます。そして腹腔は脊柱を挟んで存在しています。その圧を高めることで背骨が曲がることを防ぎ脊柱を安定させることに繋がります。そのサポートをするのが腰痛予防等に使用されるコルセットになります。

すべては看護に通じます。ALL for Nursing。

腹圧を高めるにはどうしたらいいの?

腰痛予防には腹筋と背筋を鍛えればいいんでしょ?という方も多いと思います。鍛えること自体は間違いではありません。しかし、そのまま腹筋に力を入れてみてください。どうでしょう?少し前傾して腰が曲がりませんか?その曲がったまま患者さんを支えてしまうと腰痛の原因になりやすくなります。

では、どうしたら腹圧を高めることができるでしょう。

簡単です。息をたくさん吸ってください。そうすることで、横隔膜が下がりお腹が膨らみます。その次にお腹に力を入れることで腹圧が高くなります。この動作をサポートするのが腰痛予防のコルセットであったりウエイトトレーニングで使用するベルトだったりします。

また、呼吸にも少しポイントがあります。「は」の口で息を吸うと胸郭が広がり、「う」の口で息を吸うとお腹が膨らみませんか?最初は息を吸うときには腹式呼吸で口を「う」の形で息を吸ってみるのもいいかもしれません。呼吸、、、

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どうやって鍛えるのがいいの?

先に述べた通り、腹筋を鍛えることは悪いことではありません。しかし、大切な事は使えるようになることです。まずは椅子に座って頭を天井から引っ張られているイメージで座ります。その後、お腹に手を当てて呼吸をしましょう。お腹が膨らむのを意識できるまで繰り返しましょう。

もう一つはプランクです。プランクにも動きがあるものがありますがオーソドックスな方法をお勧めします。

まずは床にうつ伏せに寝てます。次に肘を90度で付き、体を持ち上げます。その際、体が上下に曲がらないように意識しましょう。そして忘れてはイケないのはお腹を膨らませてから力を入れることです。そうすることで、脊柱を腹圧で支えることが意識できます。呼吸、、、それが腰を守ります。

すべては看護に通じます。ALL for Nursing。

おわりに

患者さんのために力になるためには、自分自身の健康も大切です。呼吸を使いこなして腹圧を高めて腰痛予防しながら働いていきましょう。呼吸一つで守れる身体があるかもしれません。

執筆者
中野(看護師)

手術室、急性期病棟、ICUを経て大学教員となる。現在は成人看護学(急性期)を担当。プロ格闘家としてのみならずコンテスト優勝歴もある格闘看護師として活動中。