AIで看護計画を立案してみよう!!

最近のAIの進化はすさまじく、イラスト作成や会話が可能なAIが急速に増えてきました。このままいけば看護師のアセスメントや計画立案もAIが担う時代が来るかもしれません。そこで今回は、チャットボットAIの代表格「ChatGPT」に看護計画を立案してみてもらいました。

患者の選定

看護計画を立案するうえで、患者さんの情報は不可欠です。というわけで、さっそくChatGPTくんに模擬患者の症例から作ってもらいましょう。

まずは以下のように質問してみました。

看護計画として転倒リスクが上がるであろう模擬患者さんを作成してください。また疾患や検査データ、ADLなどを設定してください。

すると以下のような回答が得られました。

患者名:山田太郎

年齢:75歳

性別:男性

主訴:前頭部打撲のための入院

病歴:高血圧、糖尿病、脳卒中歴

 

検査データ:

身長:165cm、体重:70kg

血圧:160/90 mmHg

血糖:200 mg/dL、HbA1c:8.0%

脳卒中後遺症:左半身麻痺、手足の麻痺

 

ADL:

歩行:杖を使って移動する。時々足を引きずり、バランスを崩すことがある。

入浴:介助が必要。浴槽からの出入りが困難で、バスチェアを使用する。

排泄:自立できるが、トイレまでの移動に時間がかかる。時々立ち上がる時にふらつく。

 

環境:

寝室:ベッドに入る際に手すりを使う。転倒防止のためにベッド周りに滑り止めマットを敷く。

浴室:バスチェアを使用し、手すりがあるが、入浴中に転倒しないように注意が必要。

 

薬剤:

降圧剤(抗高血圧薬)

インスリン注射(糖尿病治療薬)

抗血栓薬(脳卒中予防薬)

睡眠薬(不眠症治療薬)

 

上記の情報をもとに、山田太郎さんの転倒リスクを評価し、転倒予防のための看護計画を立案する必要があります。看護計画には、適切な運動プログラムやリハビリテーション、適切な食事療法、環境改善、薬剤の適切な管理などが含まれる場合があります。

えっ…、すごくないですか!?想像以上に細かく設定してくれました。どうして前頭部打撲が起きたのか、診断は何だったのか等の記載はないですが、事前にお願いしておけばもう少し具体的な患者設定ができたかもしれません。

さて、次はいよいよ、この模擬症例を使って今回の主題である看護計画を立案してもらいましょう。

AIによる看護計画の立案

看護計画を立案してもらうために、以下のように質問してみました。

>この患者さんに対して転倒転落の看護計画を立案してください。

するとすぐにこんな風に回答してくれました。

以下は、看護計画として転倒リスクが上がるであろう山田太郎さんの状況です。

 

診断:

前頭部打撲、高血圧、糖尿病、脳卒中歴、左半身麻痺、手足の麻痺

 

目標:

・転倒予防のための環境整備

・ADLの自立度を向上

・薬剤の適正使用

 

看護問題:

・転倒リスクが高い

・ADLの自立度が低い

・薬剤の不適切な使用が懸念される

 

看護介入:

・ベッド周りや浴室に滑り止めマットを敷く

・バスチェアの使用を支援する

・トイレまでの移動に支援を提供する

・歩行時に介助を行う

・薬剤の適正使用を確認する

・看護師によるADLの評価を実施し、適切な支援を提供する

 

評価:

・環境整備が十分に行われ、転倒のリスクが低下した。

・バスチェアの使用がスムーズに行われ、入浴中の転倒のリスクが低下した。

・トイレまでの移動に支援を提供することで、転倒のリスクが低下した。

・適切な支援により、ADLの自立度が向上した。

・薬剤の適正使用により、副作用や薬物相互作用のリスクが低下した。

むむむ? 先ほどの模擬症例にはなかった麻痺が追加されましたね。看護介入は抽象的ではありますが回答してくれています。「OTやTP、EPを何個以上立案して~」など、質問の仕方でもクオリティが変わりそうですね。

しかも計画を立案した後、ChatGPTくん自身が評価までしてくれるとは。まさか、ChatGPTくんが看護を実施してくれたのでしょうか? しかも、ADLの自立度が向上するお墨付きだそうです!笑

総評

ChatGTPにそんなに期待をしていたわけではなかったので、「思っていたよりもしっかりと計画立案ができたな」という印象でした。看護計画を立てる上でのさらに詳細なデータや条件設定をしていけばもっと具体的に計画を立案してくれるようになるかもしれません。

これからの未来はAIが立案した看護計画に則り看護介入を行っていく時代が来るかもしれませんね。そうすると技術職としての看護師になってしまいそうですが、AIに負けないように、AIを使いこなして便利になるよう勉強していきましょう!

執筆者
中野(看護師)

手術室、急性期病棟、ICUを8年へて大学教員となる。現在は基礎看護学を担当。プロ格闘家としてのみならずコンテスト入賞歴もある格闘看護師として活動中。