精神科病棟の楽しさとやりがい

 

精神科は数ある病院の中でも、「手術などの外科的治療をしない」「基本的に精神疾患を患っているかたが入院している」といった、少し特殊なイメージがあるかたもいるのではないでしょうか?

今回は、現役精神科看護師が「精神科の楽しいところ・やりがいと感じること」を紹介したいと思います。

 

精神科の楽しいところ

妄想や幻視の内容が様々

患者さんによって、妄想や幻視は十人十色です。

「私は皇族なの」「天の声が水を飲めと言ってる」「あそこに人がいて俺に文句を言ってるんだよ」「夜中に誰かに前髪を切られるんだ」など、本当に様々な妄想や幻視・幻聴があります。

そして、患者さんにとってこれらは現実のことなのです。

例えば、夜間にブツブツ独語を話している患者さんに「独り言ですか?」と聞くと「いえ、天井にいる人と話しているんです」と真剣に答えます。

これらの発言は症状として捉えてアセスメントし、記録し医師に報告しています。

同じ妄想や幻視でも、患者さんによって内容に違いがあり興味深いです。

関わりの中で見えてくる、患者さんの個性

精神科看護において、患者さんの状態把握と信頼関係の構築のためには、日頃からコミュニケーションをとることが重要になります。

患者さんは一日の生活の中で、リハビリに参加したり、病棟の共同スペースで将棋やオセロ・麻雀をしたり、テレビを見たり、ホールや廊下を散歩したりして過ごしています。

看護師はこのような患者さんの生活の中で、例えば将棋やオセロを一日中1人でしている患者さんのお相手をしながらコミュニケーションをとったり、塗り絵をされる患者さんの日々の進捗を確認したりします。

様々な患者さんとコミュニケーションをとっていると、「塗り絵が得意だけどゲームは苦手」「将棋を1人でもできるが将棋が強いわけではない」などの個性が見えてきます。

個性を理解するのも精神科看護の楽しさの一つですね。

 

やりがいと感じること

 

精神科に限らず医療職が嬉しいと感じるのは、患者さんが退院されるときではないでしょうか。

精神科の特に慢性期病棟では、何十年単位で入院されているかたが多く、超高齢化が進んでいます。

そんな中で、施設やグループホーム等に退院される方がいると「退院してよかった、頑張ってください」と嬉しくなります。

しかし、精神科ではここでまだ安心はできません

退院されて訪問看護などでサポートしていても、自己判断の断薬により状態が悪化し、再入院するというかたが多いのです。

なので患者さんが退院され、訪問看護の職員から「順調に生活できています」という連絡を聞いてようやく、心から良かったと思えます。

精神疾患の患者さんが、社会生活を維持するというのは非常に難しいことです。

特に病院という「食事はきちんと食べられて、シーツも交換して、好きな時に寝て休む事ができる」環境から抜けだすということがどれだけ大変な事でしょう。

看護していた患者さんが退院し、社会生活を順調に過ごしている事は、精神科看護師のやりがいになっています。

 

今回は、精神科の面白い所・やりがいについてお話しました。

職種や個人によってやりがいは人それぞれだと思いますので、この他にも多くの楽しさややりがいがあると思います。

これを読んでいただき「精神科って楽しそう、面白そうだな」と思っていただけたら幸いです。

 

執筆者
福地直彦(看護師/メンタル部)

整形外科から精神科へ勤務中。メンタル系ナースマンとして、地域密着型の医療者コミュニティを形成しつつ、心と身体の予防医療の普及活動中!