整形外科病棟ってつまらない!?看護師のホンネ

整形外科病棟で働く看護師は、日々の業務にどんなやりがいを感じているのでしょうか?一部では「やることが少ない」と感じる人もいるようですが、実際には患者さん一人ひとりの生活背景や不安に寄り添うことで、さまざまな発見があるかもしれません。

クラーク(RT)

知り合いの看護師が、整形病棟はつまらないって嘆いてたんだけど、整形看護のおもしろさってどんなところにあるかな?
頭から足先まで全身見れるから、人間の治癒過程ってすごいな~とか、整形外科ってアナログな感じ(固定とか)があっておもしろいな〜とかかなぁ。

私は、基本みんなが元気になっていくのがモチベーションだけど、もっと慢性的な疾患の経過に寄り添いたい人にはあんまり合わないのかもしれない!

白石(Ns)

クラーク(RT)

そっかぁ。なんか「あまりやれること(やってあげられること)が少ない(のが嫌だ)」って言ってたな。
ほぉ~。重症度や介護度が高い患者さんのほうがやりがいある感じなのかね?看護師があれこれやってあげることって、やりすぎるとエゴっぽくなるからなんともいえないけども…。

たぶん手がかからなそうに見える人でも、実は生活や仕事に不安があったり、ちょっとうまくいっていないことがあったりするから、そういう話を聞いてサポートしたりとかは整形外科の看護っていうか、いろんな診療科でも共通するんじゃないかな~と思う。

病棟で働く看護師は、そもそも自分の見えている視野が狭い(患者さんの生活を具体的にイメージしづらい)と思っておいたほうがいいかな~って。

白石(Ns)

クラーク(RT)

ふむふむ
ちょっと余談だけど、たとえば、足の手術で松葉杖で退院になった時の退院指導とかでも、基本的な生活指導のパンフレットで説明して、「なにか心配なことありますか?」と聞いて、「なにもないです(ただし本人が認識している範囲では)」と返ってきたら、じゃあ終わりね~としてしまいがちだけどさ。

「じゃあ会社への通勤方法は?電車でどのくらいかかるんですか?」「その移動の間、人の混雑や階段を避けるとどんな経路ですか?」みたいに話を深掘りしたら、実は駅が古くてエレベーターがないとか、混雑していて座れないかもとか、道が狭いとかの話が出てきて、ちょっと通勤が不安になることもあると思うんだよね。

白石(Ns)

あるね〜

喜多(PT)

そうしたらリハさんに、階段の登り降り、電車内での姿勢の工夫、道が狭いところでの松葉杖の練習とかを、退院前に確認してもらいましょうとか、そういうアプローチもできるよね~。

白石(Ns)

クラーク(RT)

たしかに!
でも、そうやって突っ込んで聞かない看護師さんは、「整形外科はつまらない(ほかのマイナー科でもそう言うかも)、ルーチンワークばっかり」みたいなことを言いそうだなって。やれることってちょっと考えてみたらいっぱいあるから、そういうところを考えられるようになるといいよね。

そういうのめんどくさいって人もいると思うけど、それを面白いと感じてくれる看護師さんが増えたらいいな~と思うよ!(願望)

白石(Ns)

クラーク(RT)

なるほどね。そういった解像度の違いは個々人であるのかもしれないね。「手術が終わったらあとはリハビリの役目だからな」と言ってたのも聞いたけど、看護師がそのあたりの患者さんの中にある自己認知されてない潜在的なニーズを引き出してあげることで、色んなことに変化がでてくる可能性があるんだね。
そうそう。転職とか異動してきたばかりだと、術後はリハさんいるし、看護師やることなくない?って感じることはあるかも!(整形外科のリハさんイケイケ系が多いから。笑)

あと、同じ整形外科でも、2次3次救急でも見るような交通外傷の骨盤骨折とか脊損とか、一般整形外科でもいろんな部位(肩、肘、膝、脊椎、股関節、足とか)があるし、スポーツ整形、小児とかどのジャンルをみているかによっても見える景色がガラッと変わるから面白いよ~

白石(Ns)

クラーク(RT)

長い目で見れば、そういうバリエーションに出会うことで整形看護のやりがいが加算されてくんだね。自ら意識的に関わることはどの分野でも大事だけど、整形看護でも大事ってことだな。やりがいを自分で掴み取るイメージ。
あと、もちろんリハさんがそういう情報をとってくれている場合もあるし、そこはお互いに共有ってイメージかな。でも、看護師とリハさんの行うリハビリとか生活指導って、同じ項目や内容の話でも、目的とか視点とかはちょっと違うと思うなぁ。看護師だとさっきの通勤の話はあくまで、退院後の不安を減らすとか、医療者との信頼関係の構築とか、自分の病気や怪我について主体的に考えられるようにするサポートみたいな意味合いもあるかなぁって。退院して終わりじゃなくて、外来に通院することもあるだろうし、再度怪我する可能性もあるし。

白石(Ns)

クラーク(RT)

その人の「その後」に対するケアも含まれているんだね。信頼関係の構築も、たしかに重要かも。整形疾患だと、話ができる人が多い分、色んな不安を聞く場面は多そうだね。完全に痛みがなくなるまでの経過が長い分(人によってはずっと痛みと付き合っていくだろうし)、自分の病気や怪我との付き合い方について入院中に医療者と話せる機会を提供できるのは看護師さんの立ち位置かもね。

実際、理学療法士や作業療法士のコミュニケーションスキルにもよるところがありそうだけど、リハが自分たちで傾聴して聞き出す時もあるよね?それでも、「リハビリの先生」って目線になると、正直に困ってることが言えない、なんてこともありうるのかな。

信頼関係ももちろんなのだけど、別の視点をここに付け加えるとしたら、症状からどこまで生活への影響を見通せるかがかなりキーだと個人的には思っているかな。

人工膝関節って正座ができなくなるんだけど、正座ができない生活ってどんなことに困ると思う?例えば、葬式のときに正座できないってその人にとってどれだけ重要?とか、毎日お仏壇に線香あげている人にとっての正座って大切な日課なんじゃないか?とか考えるよね。もう少しレベルの高い例だと、腰部脊柱管狭窄症のオペ後で、若干の体幹前後屈の制限が出てきたときにどんなことを考える?とか、若年で何らかの固定器具が体内にあることをどういう意味付けをする?とかを考えられるのは、PTの腕の見せ所かなと思うよ。

喜多(PT)

クラーク(RT)

うんうん

理学療法士も看護師も共通する部分としては、関わり方によって予後がけっこう変わるのよね。高齢者の圧迫骨折とかだと、離床のタイミングを逃したらそのままベッド上での生活になっちゃうし、逆にここぞというところでうまく促せたら一人暮らしまでもっていけたりとか。あとは安静期間に認知機能をいかに落とさずいられるのかも、結果に直結するしね。

喜多(PT)

白石(Ns)

そうだよね!
こう書くと医療的側面が薄くておもしろくなさそうだと感じてしまうかもしれんけど、医学的な知識がないと離床や生活の組み立てといった内容がまともに組めないから、けっこう知識も経験も必要なところだと思うよ。やれることが少ないってのはリハ職も感じてるんじゃないかな。整形の急性期やと短い時間で限られた内容しかできないから頭ひねくりまわしてるんだけど、看護がなければそれも有効に機能しないし。

すごく雑な言い方をすると、「医学的な関わりを持てない時に医療者はおもしろくない」って言う傾向があると思っているんだけど、急性期の整形分野における看護では医学的な知識なしに関われないところが多いから、んーーーーと思う。笑

喜多(PT)

白石(Ns)

そうなーそうなー。教科書的に言われている禁忌肢位とか制限がかかることとか説明するのは簡単だけど、どこまで自分の生活に落とし込めるかって、リハも看護師も頭悩ますとこだろうねー。

これまでいろんな年齢やタイプ、職業とか家族構成、持病や経過の人と話してきたのが全部蓄積されていくから、たとえば〇〇の場面で困ったりしませんか?って、こちらから予測して提案できることが増えていくのは面白いよねぇ~。

わかるわかる

喜多(PT)

白石(Ns)

この間、お坊さんが入院してきたときは、お坊さんってどんな生活してるの?って思ったけど、実際は割と普通の人間と変わらない生活をしてるんだなって話題になったのね。

そういうときに面白いと思えるか、あんまり興味ないって感じかは人によりそう。でも興味ないってことは、たぶんその人自身にもあんまり興味持ててないのかもね…?(忙しさ理由はまぁ前提としてありつつ)

そうそう、人の生活に興味持てるかどうかはその人の性格みたいなところもあるからね、良い悪いとかではなく。ただ、生活を考えるのにも医学的知識と経験が必要で、やれることがないなんてことはありえないんじゃない?ということは言っておきたいな。

喜多(PT)

白石(Ns)

そうだねー。私も昔はあんま興味なかった気がするけど、ライターやっていろんな人とかかわるようになって変わったな!

手術でこういう位置からのアプローチで固定されていて、こういう動作のときに関節がこう動くことでこの箇所を圧迫しちゃうから~みたいなことは、リハさんほど解像度高いわけじゃないけど、イメージはある程度できていないと、なんでこの肢位は禁忌で、この肢位はOKなのかそもそも相手の理解度に合わせて説明できないからねー。

なんかさ、昔は「○○○はおもしろくない!」とか言われると「いやいや、そうでもないんやで!」とその分野にあるおもしろさを語りたくなってしまってたのやけど、いまは「合うとか合わないとかあるから、一番その人にとっていいところにいけたらええね」と思うばかりやわ。加齢w

喜多(PT)

白石(Ns)

わかる、加齢w
ゆみかさんも言ってたけど、整形は基本的にみんな元気に帰るから、そこが面白いってなりそうだけどね~。

整形看護とはまったく関係ないけど、整形は若い患者さんも多いから、退院後に連絡先を交換して飲み会してた人とかいたよ!!!!

かなこ(Ns)

クラーク(RT)

ちょっと離れてた間に盛り上がって、いい感じで着地してた・・・。笑