同職種、他職種間で申し送りをする機会は通常業務の中でも多く、患者さんの状態や業務上必要な情報などを共有しています。今回は、各職種における申し送り事情について、どのような工夫をしているのか話し合いました。
参加者
タサモ(ME)
臨床工学技士13年目。主に血液浄化に従事し、看護師や看護助手と連携するため申し送りノートやポストイットを活用している。伝わる文章が書きたいのに、苦手意識がある。
大平(PT)
理学療法士4年目。主に脳卒中を対象とした回復期病棟に従事。毎日、同職種・他職種とノート・口頭で申し送りを行っている。
あみ(Ns)
助産師6年目。主に産科にいるため、他職種とはたまに話す程度。今回の座談会で、他職種がどのような申し送り体系なのか知りたい!
さまざまな職種の申し送り方法
タサモ(ME)
それでは、各職種における申し送り事情について皆さんの状況を聞いていきたいと思います。よろしくお願いします。皆さんの職場での申し送りはどのように行っていますか? まず、あみさんはどうでしょう?
看護師は基本的に交代勤務なので、夜勤スタッフから日勤スタッフへ、日勤スタッフから夜勤スタッフへ申し送りをします。内容は、患者さんの状態はもちろんですが、それだけでなく、備品の修理や補充依頼などの雑務もありますね。
あみ(Ns)
大平(PT)
他にも、プロジェクトのことや委員会のこと、例えば会議の日程や委員会での決定事項など、幅広くやり取りしています。逆に、交代勤務ではない職種はどのように申し送りをしているのか知りたいです。
あみ(Ns)
タサモ(ME)
そうですね…。看護師は毎日受け持ち患者さんが変わりますが、理学療法士さんなど、他職種の方は基本的に自分の受け持ち患者さんは変わらず、ずっとその人を見る流れですか?
あみ(Ns)
基本的にはそうかもしれませんが、それだけではないですね。僕のところは、担当患者さんはいるのですが、担当ではない患者さんのリハビリを行うこともあります。その日介入した患者さんで何かあれば、ノートに書いたり、口頭で担当へ申し送りをします。いつどの患者さんを担当するかわからないので、日頃から病棟全体の患者さんについて知ることが必要です。
大平(PT)
あみ(Ns)
朝の申し送りでは、各病棟から理学療法士(主任)が1人ずつ参加します。その後、主任から病棟の理学療法士に申し送り内容を伝えます。それから、病棟で他職種と集まっての申し送りをするので、多いと朝だけで3回申し送りを聞くことになります。
大平(PT)
タサモ(ME)
病棟で他職種が集まって行う申し送りは、何か記録が残るのですか?
もちろん。看護師さんが、パソコンで全部打ち込んでくれます。あとは、申し送り専用の記録用紙があって、前日までと当日の特記事項が書けるスペースや、医師が書き込むスペースもあります。
大平(PT)
なるほど。それを見れば誰でも今日必要な情報がわかるものなんですね。
あみ(Ns)
そうです。パッと見て昨日はこんなことがあったんだなとわかるようになっています。看護師さん用の記録用紙もあるし、同じ紙面ですけど他のセラピスト用もありますよ。
大平(PT)
タサモ(ME)
うちの病院もそれに近いですね。朝の8時50分にミーティングで申し送りをするのですが、そこで看護師・ケア・技士スタッフ全員が集まります。日報という形で、今日こういう患者さんが来るとか、こういう診察をやるとか、全員が同じ情報を共有して記録に残します。読んだら印鑑を押してもらいます。その日の終わりまでに何かあれば、全てそこに記載していく流れです。
あみ(Ns)
タサモ(ME)
そうですね。例えば、今日この患者さんが血圧が下がって大変だったから気を付けてね、ということを次回の申し送り欄に書いていきます。
なるほど。それを見てみんなが動くということですか?
あみ(Ns)
タサモ(ME)
そうです。昔は口頭での申し送りだけだったんですが、休みの人がいて、情報の共有をした、してないと言う人がいたので、紙面で残すようになりました。
それぞれが申し送りで困っていること
申し送りで困ったことと言えば、認識の違いが起こったときでしょうか。例えば、僕らセラピストは患者さんの安静度を確認したいけれど、医師とはなかなか会う機会がないので、看護師さんを介して確認します。でも看護師さんは、この程度なら医師に聞くまでもないだろうと判断して、医師に確認してくれないということもありました。
大平(PT)
そうだったんですか…。リハビリの制限を看護師が全て把握しておくのは難しいところですよね。
あみ(Ns)
そうなんですよ。それで確認が遅れてしまうこともあり、申し送りにも影響するので困ってしまいます。ただ、セラピストの伝え方にも問題があったのかもしれません。
大平(PT)
タサモ(ME)
たしかに、「わかってくれるだろう」という相手任せな依頼の仕方はしないように気を付けたいですよね。あみさんは、そういった困っていることないですか?
口頭で申し送りをすると、夜勤明けに家に帰って、「あ!言い忘れていた!」と思い出すことがよくあります!(笑)
あみ(Ns)
タサモ(ME)
これは看護師では本当にあるあるだと思います。なので、気付いたときすぐに申し送りノートに書くほうが、情報伝達のミスが起こらないですよね。
あみ(Ns)
タサモ(ME)
これもあるあるだと思うのですが、文章をまとめきれなくて、長い割に何を言いたいのかわかりにくいことってありませんか? これは確認してほしいことなのか、みんなに知っていてほしいことなのか、読み取りにくいことがあります。
あみ(Ns)
タサモ(ME)
何が言いたいのかは察することができても、伝わりにくいことはありますよね! そのような文章を読んでいると、日本語力が試されている感じがしますね。
あみ(Ns)
タサモ(ME)
こういうことを考えると、やはりこまめに声掛け、相談できる関係を日頃から作っておかないといけないなと思いますね。
そうですね、僕もよく抜けてしまうことがあります。気を付けていても、完璧にはいかないのが難しいところですね。
大平(PT)
でも、大平さんの病院のように申し送りをしていれば、抜けも最小限にできますよね。
あみ(Ns)
タサモ(ME)
そうですよね! たしかに時間は取られるけれど、二重・三重のシステムはいいですね! 電子カルテがあるところはすぐに記録共有ができますが、紙カルテのところでもハンコを使って確認するなど、それぞれに工夫されていておもしろいですね。職種によって、それぞれの部署によってのやり方は、非常に参考になりました。うちの職場にも取り入れていきたいと思います。
まとめ
今回の座談会で、職種や施設ごとにさまざまな申し送りの工夫をしていることがわかりました。システムがうまく回ると、多職種連携もしやすくなりますよね。「職場で申し送りがうまくいっていない」と思われている方は、今回のような工夫をぜひ参考にしてみてください。