理学療法士が解説!歩行補助具からわかる患者さんのこと

 

歩行補助具には、杖、歩行器、シルバーカーなど、さまざまなものがあります。

実は患者さんの詳しい状態がわからなくても、使っている歩行補助具を見ることで患者さんの身体能力をある程度知ることができます。

今回は、歩行補助具から身体能力を見定める方法と、歩行補助具を切り替えるタイミングについて、理学療法士が解説します。

 

歩行補助具選択のポイントは「バランス能力」と「上肢の力」

 

歩行補助具は種類が豊富ですが、その中から選ぶポイントは「バランス能力」と「上肢の力」です

以下に歩行補助具の選び方を図示します。

 

図.歩行補助具の選び方 

参考:理学療法学テキストⅤ 日常生活活動(ADL)第2版.P107

 

図のように、バランス能力が悪く、かつ上肢の力も弱いような患者さんには、体重を肘で支えることができる四輪型歩行車を選択します。

また、比較的バランス能力が保たれていて、上肢の力が強い場合は、一本杖やシルバーカーを選択します。

このように、使っている歩行補助具が何かを把握することで、患者さんのバランス能力と上肢の力がどれくらいかを知ることができます。

 

患者さんの認知能力も歩行補助具選びに影響する

 

理学療法士が歩行補助具を選ぶ際、上記の身体的な能力のほかに、患者さんの理解力や認知能力も考慮しています

バランス能力が高く、上肢の力が十分であっても、歩行補助具の使い方が理解できなければ適切に使用できません。

誤った使い方になると、転倒のリスクを高めてしまいます。

例えば、同じ人工股関節置換術後の患者さんでも、認知能力が低下しているかいないかで「杖を使っても大丈夫」「操作が簡単な歩行器から始めよう」というように、使う歩行補助具を工夫しているのです。

 

歩行補助具を切り替えるタイミングは、他職種からの情報が必要!

 

理学療法士が歩行訓練を進める中で、『歩行器から杖へ』と歩行補助具を切り替えるタイミングがあります。

このタイミングは、能力の評価だけでなく、病棟ADLの様子やモチベーションなどを総合的にみて「そろそろ大丈夫かな…」と判断しています。

 

具体的に筆者は、

・着替えやトイレの際でふらついたりしていないか

・病棟を散歩する回数や距離は増えているか

・食事や睡眠はしっかり取れているか

・歩くことに対する意欲はどうか

などの情報を病棟の看護師さんや家族からよく聞いています

理学療法士がこのような質問をしてきたときは、患者さんの歩行レベル向上を目指しているときなので、ぜひご協力ください!

 

最後に

 

歩行補助具から患者さんの身体能力を見定める方法と、歩行補助具を切り替えるタイミングについてご紹介しました。

これらの知識が少しでもあれば、ある程度患者さんの身体能力を知ることができます。

実際に、患者さんへ歩行訓練を行うのは理学療法士がほとんどですが、患者さんの歩行レベルを向上するためには他職種からの情報も必要です

患者さんの歩行自立に向けて、ともに情報共有していきましょう!

 

執筆者
たみお(理学療法士/リハ栄養部)

慢性期病院で勤務し、患者さんの生活の質を向上させるべく奮闘中。講演やボランティアなどの地域に根ざした活動を積極的に行っています。メディッコではギター侍担当。