もったいない先入観と英語の壁
私がかつて勤めていた大学病院には、海外からの留学医師や看護師など、心臓カテーテル検査室で一緒に仕事をする機会がありました。
その期間は3日間と短いものから、2年間に及ぶものまで様々でした。
しかし、私は『日本の医師は英語ができる、CEの私には英語は求められない』という先入観から積極的にコミュニケーションをとることはありませんでした。
また、当時の私は、趣味である海外旅行で使う挨拶程度しか英語を話せず…医療について世間話が出来ませんでした。
多くの日本人スタッフは医師であっても英語が堪能とは言えませんでした…。
せっかく目の前に海外の医療に関する情報があるにもかかわらず、まったく活かすことができずに悔しい思いをしていました。
国際交流委員会・国際交流支援部会との出会い
あるとき、私はとある留学医師と言語交換(互いに互いの母国語を教えあうこと)をきっかけに英語を勉強し始めました。
私はCEで国際交流の場で活躍し、英語を勉強している人と繋がりたいと考え、はじめて『国際交流委員会』の存在を知りました。
国際交流委員会とは世界へ羽ばたく臨床工学技士を応援し、そして、世界唯一の国家資格である日本の臨床工学技士制度を海外へ発信、さらに海外からの最新情報を会員の皆様へお届けできるように内外へ積極的な活動を行っています。
参考 国際交流委員会公益財団法人 日本臨床工学技士会
多くの先輩方が国際学会やWHO、現在も海外で仕事をされている日本のCEがいることを知りました。
そこでは委員会・支援部会交流会(飲み会)が不定期で開催されており、全国の国際交流委員会に所属するCE達と知り合い、繋がることができました。
様々なキャリアの方々が多く、また、グローバル志向で楽しいです。
国際学会での発表と参加経験から得たもの
私は英語を4年程継続して勉強しており、昨年は国際学会でのポスター発表に挑戦しました。
抄録から原稿内容まで、数名の友人にチェックしてもらいながら自分で英語の文章を書き、現地で海外のCEさん達と交流を持ち、働き方や発表内容についてディスカッションしました。
海外の技士や企業の方々は、日本の臨床工学技士の働き方にとても関心を持っていました。
今回、ペースメーカーに関わる発表をしましたが、内容を聞いて、「君は放射線技師かい?医者なのかい?」と言われました。
それほど日本の技士は臨床に深く関わっているのだと再認識すると同時に、その感覚がとても新鮮でした。
私が参加・発表した国際学会はICEHTMCというもので、詳細に関しては以下に掲載されています。
(https://ja-ces.net/kokusai/shienblog/usa-report/icehtmc-2019/)
海外のCEの発表は、日本のように臨床だけでなく、病院での機器運用システムの開発や管理アプリケーションの開発といった内容があり、とても刺激的でした。
AI技術の発展がめざましい時代に『今後のCEとしての働き方は既にSEの領域に踏み込んでいるのだ!』と強く感じました。
CEは機器の管理をするだけではなく、プログラム自体のエラーに対応しなければならない時代を迎えようとしているのかもしれません。
以上のような考え方や刺激を得ることができたのは国際学会に参加したからであり、すべては英語の勉強から始まったことです。
若い世代のスタッフでも、国際学会に興味がある人はいるでしょう。
ですが、多くは自身で高いハードルを立ててしまい、挑戦しない人が多いかと思います。
自分の経験や情報がそのハードルを少しでも下げることに繋がればと考えます。
臨床工学技士です。他職種を含めた若手の臨床指導に力を入れて研修会・勉強会・マニュアル作成から患者指導、学会・研究会講演・国際学会に参加・発表し、そのノウハウや興味のある後輩達に積極的に情報提供を行い、よりより後輩を育成するべく務めています。育てた後輩達はいつか自分と周りの人々を助けてくれると信じています。