白石(Ns)
先日、メディッコメンバーから「私が思う転職の考え方」みたいなコラムテーマをいただきまして、なるほどなるほど、ちょっと考えてみようかと。看護師として15年以上働き、いくつか転職を経験し、現在は兼業で働きながら、しかもいろんな看護師さんや医療従事者への取材などを通して、転職ってこういうことが大事だよなぁと感じたものをシェアしたいと思います。
まず、私自身の経験や取材などを通して大事だなぁと思った転職の考え方を大きく3つにまとめました。
1.自分についても、相手についてもしっかりと情報収集し、情勢を把握する
「敵を知り、己を知れば、百戦して殆うからず」という孫子の有名な言葉がありますが、まずこれがあまりできていないケースが多いのかなと思います。自分自身も周りの人の話を聞いていても。
まずは自分のことについて。そもそもなぜ転職しようと思ったのか、それは今の職場ではできないことなのか、自分がどんな理由で転職を考えているのかを洗い出すようなことから、自分はどんなことが好きか得意か、反対に嫌いで不得意なのか、自分はどうなりたいのかなど。こうした自分のことを明確にしないまま、わりと転職先の情報ばかり取っていて、条件が今よりいいから転職!みたいな、しかもそれで失敗して後悔しているケースが多いように感じます。
この自分のことを知る方法というのは本当にたくさんあって、まず自分が普段どんなことを考えているのかということを日記みたいなもので書き出して言語化してみたり、外に出歩いてみて、自分の興味関心がどのようなところにあるのか、散歩やショッピングなどを通して考えてみたり…。適正診断のようなツールをサポート的に使ってみて、それをもとに自分はどういう人間なのかを考えてみるのもいいかもしれません。はたまた、友人や家族などの身近な存在や、コミュニティやオフ会のような場所で普段関わりはない第三者との対話を通して、自分の考えに気付くということもあると思います。
ここでいう相手とは、転職先のこともそうですが、そもそもその転職先を取り巻く環境、業界の動向なども含めて知る必要があると思います。たとえば、地域で働く看護師や訪問看護師のような仕事に興味があって転職を考えている場合、地域医療の現状ってどのようになっているんだろう、訪問看護ステーションって最近の動向はどうなっているんだろう、そもそも訪問看護に関する会社ってどのようなところがあるんだろう(大手会社や病院付属、大規模、小規模など)みたいなことをどんどん調べていきます。そして、いくつか候補先を絞ったなかでも、実際の求人情報のみならず、そこではどんな人が働いているのか、実際の職場の環境など、実際に見学をしたり、インターンや1日体験のようなことをしてみたりして、なるべく実情を把握していきます。
こうした情報がないままに転職をすることで、入職したあとに「なんか思っていたのと違った」となる可能性が高いのと、たとえ「違った」と思っても、なにがどう違ったのかがよくわからないために、転職先がよくなかったと他責傾向になってしまったり、また似たようなことを繰り返してしまったりする可能性も出てくると思います。
白石(Ns)
2.しんどくなってから転職のことを考えるのではなく、日頃からキャリアの棚卸ろしをしておく
1つ目の段階で転職の準備は8割がたできるのではとは思うのですが、それでもまだ大事なことがあるとすれば、転職のことを考えるタイミングについてです。よくあるのは「今の職場では将来が見えない」とか、「このまま働くのはしんどくなった」ようなときに転職を考える…ということがわりと多いと思います。自分もこれまではそういうタイプでした。
ただ、しんどいときに今後の将来を左右するような大きなことを決めるって、普通に考えておかしいことではないかと最近思います。自分の精神状態や身体状態があまりよくないときに、さまざまな情報収集をして判断して、決断するというかなりエネルギーが必要なことをしなければならないのって、しんどいですよね。そりゃあ、「転職会社に丸投げして、どうにかなれ〜」「とりあえず今のところから逃げ出せればいいや〜」という思考になるのも頷けます。
こういう状態にならないために、私が最近考えていることは、日頃からキャリアの棚卸しをしておくことです。これもいろんな方法があると思うのですが、私は半年に1回(4月と10月頃)はポートフォリオ(ライター仕事の実績をまとめたもの)を大きく整理しつつ、これまで自分がやってきたことを振り返り、その変化について考える、今後自分はどういうことをやっていきたいかを考えるタイミングにしています。元々の性格が、長期スパンで細かく計画を立ててひとつずつクリアしていくようなタイプではないので、かなりざっくりではあるのですが、「来年はこういうことをしていきたいなぁ」「そのためにはこういう準備をしておこう」くらいのざっくりしたことを考えていて、そのチャンスがあったときにはすぐに動けるようにしています。
この準備は、いざ転職するときに実績になるようなことも含まれます。転職活動ではない時期にも転職準備の種を蒔いておくことで、いざというときに慌てず、選択肢が多いなかで動きやすいのではないかと思います。
白石(Ns)
3.流動的な部分を理解して、そこで自分がどのように考え動いていくかなどイメージを持つ
「100%合う職場なんてない」なんて言葉を見聞きしますが、そもそも雇用される立場であるという大前提があって、そこで働くひとや環境は流動的な要素が必ずあるという認識でいます。となると、ある程度の波があることは想定して転職を考えないといけないと、いくつか転職してきてすごく感じました。これは妥協するというよりは、その不足していると思っているところを自分ならどうやっていい状態に近付けられるか、補えるかと考えて実際に動くことが大事なのかなと思っています。
私の考えとしては、自分自身もその職場の一員であるという認識でいること。あれこれ環境を整えてもらって与えてもらうような受け身でいるのは、新人や若手の頃までの話なのかなと考えています。年齢やキャリアを重ねていくうえで、流動的な波がある前提で自分がどう変化を加えていくか。そもそもその流動的な波をいち早く察知して準備していこう…など考えていくことが必要ではないかと思うのです。
私のように中堅以上の転職では、そういうこともある程度想定しておくことが大事だなと思います。
小児科と整形外科の病棟で経験を積み、現在は看護師兼ライターとして奮闘中。病院外でも積極的に働き、いろいろ吸収している。メディッコではポジティブ担当。
Twitter:@yumika_shi