こんにちは、ICU看護師の大前です。
集中治療室(Intensive Care Unit)という場所は閉鎖的です。
重症な患者さんが入院している漠然としたイメージがあるとは思いますが、実際に何をしているのかわからないという人は多いのではないでしょうか?
また、ICU看護師さんは賢い人しかなれない!ICU看護師さんは怖い!という印象をもつ人もいるようです。
そこで現役ICU看護師がICU看護についてサクッと紹介します!
ICUではどんな看護をしているの?
ICUにいる患者さんは、ざっくり言うと「ほんの小さなことが命に関わる予断を許さない(=ピンチ)状態」です。
このピンチに対して看護師は、「生命の維持」「二次合併症の予防」「QOLの維持向上」の3つの視点から看護を提供しています。
まず、呼吸や循環など「生命の維持」に必要な力のアセスメントを行います。
次に、廃用症候群や皮膚トラブル、感染など「二次合併症の予防」に努め、さらなるピンチ(重症化)を防ぎます。
そして、患者さんは「俺、死ぬのかな…」という恐怖や「一体いつまでICUにいるんだろう…」という不安、疾患による痛み、体に繋がれた機器類の多さなどから想像できないほどのストレスを抱えています。
これらを察知し緩和に努め、「QOLの維持向上」を目指します。看護師は患者さんの回復に向かう力を最大限に発揮させているのです。
ICUでは患者さんだけでなく、家族のケアも重要
ICUでは、患者さんだけがピンチではありません。
患者さんの家族にも大きな精神的負担が生じていることが多いものです。
もちろん、患者さんの状態が悪ければ悪いほど、医師からの家族への説明は複雑になり、不安は大きくなります。そうなると医師からの説明が家族に届かなくなることもあります。
そのため、看護師は家族がどの程度状況を把握しているかを確認しながら、家族のメンタルケアを行っていきます。短い時間で家族との関係性を形成することが求められます.。
ICUから病棟・他職種へ
病棟看護師さんから「ICU看護師は賢い人しかなれないから、私には無理!」という声を聴いたことがあります。
また、他職種の方々からも同様の声を聴いたことがあります。
それだけなく「ICU看護師は怖い!」という声も聴いたこともあります。
しかし、ICU看護師は選ばれしエリートだけがなれるものではありません。実際看護師免許さえあればICUで働くことはできますし、私は誰でもICUで看護が提供できると考えています。
確かに、ICUでは病棟にいる患者さんよりも「生命の維持」が前面に出ているため、病棟での看護とは少し違った印象をもつかもしれません。
しかし、これは求められている看護の形が違うだけで、本質的には同じことを行っていると考えています。
ピンチな状態の患者さんは自力で生活の様々なことができなくなっています。看護師はそんな患者さんの食事や排泄、睡眠などをサポートしながら「生命の維持」が少しでも自力でできるようにしています。
マズローの欲求5段階でいう、下層の2つ「生理的欲求」と「安全の欲求」を満たせるようにサポートしていると言えます。
病棟であってもICUであってもいやることは同じです。患者さんが満たされていない所をサポートするだけです!
患者さんの満たされいない所を共有しながらICU看護師と病棟看護師がもっと連携できれば、そして多職種連携に繋げていければ、さらに素晴らしい医療チームになると思います。
ICU看護師を怖がらず、連携していきましょう!
急性期病院のICUで看護師をしている。さまざまなイベントで司会進行をしてきた経験があり、メディッコでは司会兼ツッコミ担当。そしてみんなの兄貴!