知られざる薬と飲み物の関係


薬と飲み物の相互作用について考えたことはあるでしょうか。

共通認識としては「さすがにお酒で飲んだら駄目だろう」とか「とりあえず水道水なら安全だよね」といったところかもしれません。「一緒に飲まなければ関係ないよね」と考える方もいるでしょうか。

今回は『薬を〇〇で飲んだらどうなるのか?』の具体例と、薬と飲むタイミングが同時ではなくても薬の作用に悪影響を与える例を、同じ医療者としても知ってほしいので紹介したいと思います。

 

カルシウムを多く含んだ飲み物で薬を飲んだらどうなるの?


一口に水といっても、ミネラルウォーターは製品によって含有するカルシウムの量が異なるので、製品によっては注意が必要です。

カルシウムを多く含んだ飲み物で一部の抗菌薬を服用すると、薬剤の吸収が低下するという報告1,2,3)が上がっているためです。硬水よりも軟水を選ぶのが無難です。

ちなみにカルシウムを多く含む飲み物の代表格である牛乳は、上記の抗菌薬の吸収低下以外にも要注意です。

胃内のpHを上昇させ、腸で溶解させるはずの薬剤のコーティングを胃内で溶解させてしまう可能性があると考えられています。

成分が失活させないための、あるいは有害事象を減らすためのコーティングを無駄にしてしまいます。

 

コーラが薬剤の血中濃度に影響する?


こちらは薬剤との同時服用とは異なりますが、飲み物が意外なところで裏目に出てしまった症例報告
4)があります。

日頃からコーラを飲んでいたために、メトトレキサートという葉酸代謝拮抗剤の排泄が遅れてしまったという報告です。

排泄が遅れてしまうと抗がん剤であるメトトレキサートの血中濃度が必要以上に高くなり、有害事象の起こる可能性が高くなってしまいます。コーラを中止することにより改善に至っています。

またクロザピンという抗精神病薬にも影響を与えたという症例報告5)もあります。こちらの報告ではコーラに含有しているカフェインが薬剤の代謝に影響を与えたのではないか、という考察がされています。

薬剤と同時服用ではなくても薬剤に影響を与えたコーラの事例ですが、その原因は飲み物そのもののpHだったり、含有している成分であったりとさまざまです。

前者の例では1日あたり330ml飲んでいた事例であり、缶1本分です。日常的に飲む量でも影響がでる可能性があります。

 

医療者は結局どうしたらいいの?


よく薬局などでも言われているように、「お水や白湯で内服する」が基本であることには変わりありません

ですが、飲み物は人によってはQOLに影響する可能性があり、一概に全て禁止とも言いづらい面も持っています。

薬剤師に相談頂ければ、代替案・妥協案など出てくるかもしれません。

患者さんの内服時に遭遇することは、どの医療者でもあり得ることと思いますので、院内・病棟の薬剤師に是非聞いてみてください。

 

参考文献

1)Biopharm Drug Dispos. 1997 Jul;18(5):459-63.(PMID: 9210983)

2)Pharmaceutics. 2011 Nov 18;3(4):865-913.(PMID:24309312)

3)Clin Pharmacol Ther. 1991 Nov;50(5 Pt 1):498-502.(PMID:1934862)

4)Br J Clin Pharmacol. 2010 Nov;70(5):762-4.(PMID:21545633)

5)J Clin Psychopharmacol. 2012 Oct;32(5):717-9.(PMID:22926611)

 

執筆者
S.O(薬剤師)

後発医薬品企業勤務の後、病院薬剤師。いわゆる中小病院で糖尿病・感染症領域を主にうろうろと。