「血液をサラサラにする薬を飲んでいるので、納豆を食べるのは我慢してくださいね!」このような説明を、患者さんにしていませんか?
これでは、血液をサラサラにする薬を服用している全ての患者さんが、納豆を食べてはいけないと思ってしまいかねません。
実はそうではないのです。
今回は薬の専門家である薬剤師が、薬と納豆の関係についてご説明します。
納豆と薬の関係を正しく理解し、患者さんの説明に活かしてくださいね。
納豆と相性の悪い薬の正体は?
「血液をサラサラにする薬」といっても色々な種類があり、薬によって様々な特徴を持っています。
その中で、納豆と飲み合わせの相性が悪い薬はワルファリンです。
ワルファリンと納豆の関係は?
ワルファリンは血液を固まりにくくして、血栓ができるのを防ぐ作用がある薬です。
基本的に、血液が固まるためにはビタミンKが重要な働きをします。
ワルファリンは、そのビタミンKの働きを妨げることにより、血液を固まりにくくするという薬です。
一方で、納豆にはビタミンKや大腸でビタミンKを産生する納豆菌が多く含まれています。
もう、見えてきましたね?ワルファリンでせっかく止めていたビタミンKの働きを、納豆菌がビタミンKを産生することによって、ワルファリンの血液を固まりにくくする作用を弱めてしまうという訳です。
食べていけないのは納豆だけ?
納豆に限らず、ビタミン K を豊富に含む食品は、ワルファリンの効き目を低下させます。
クロレラや青汁も、納豆と同様にビタミンKを多く含むため、摂取を控えるように説明しましょう。
また、ビタミンKを多く含む緑葉野菜をたくさん食べ続けることも控えてもらう方が良いですね。
ちなみに、納豆の影響は数日間続くとされています。ワルファリンを服用中の場合には、間隔をあけても納豆を食べることはできません。
海藻類などでネバネバする食品はダメと勘違いされている方がいますが、納豆菌が関与しなければ大丈夫です。
最後に
日本人なら納豆好きな人は非常に多いと思います。
薬との影響があるから食べてはいけないと言われると、悲しみに明け暮れる人も出てくるのではないでしょうか。
僕の経験では、毎日納豆を食べるという約束をして、一定期間のコントロールをする方もいました。
血液をサラサラにする薬の中でも、ワルファリンに代わる新規経口薬が数多く開発されています。
ぜひ、お近くの薬剤師まで相談してみて下さい。
大学病院で働く薬剤師。臨床で経験を積む中で予防医療の重要性を感じています。薬剤師の新たな可能性を画策中。