薬剤師は病棟で何をしているの? 看護師が素朴な疑問をぶつけてみた!

看護師にとって、医療従事者のなかでも関わりの多い薬剤師。しかし、具体的にはどのような仕事をしているか、正直知らないという人も多いかもしれません。

今回はメディッコメンバーである看護師と助産師、薬剤師が集まり、普段なかなか聞く機会がない仕事内容について聞いてみました。そのなかで見えてきた連携のポイントとは…?

参加者

 大前(Ns)
看護師10年目。呼吸器外科や脳神経系外科病棟で経験し、現在はICU勤務。

 あみ(Ns)
助産師6年目。総合周産期母子医療センターでハイリスク妊産婦ケアを経験後、現在は一般総合病院の産科勤務。

 イサミ(Ph)
薬剤師5年目。病院薬剤師として調剤室、病棟を経験後、現在は外来腫瘍センターにて勤務。

 ぽりまー(Ph)
薬剤師4年目。3年間調剤薬局での勤務後、現在は医療メディアの新人編集者として勤務。

看護師は意外と知らない? 病棟に薬剤師が増えた理由

大前(Ns)

本日のテーマは看護師と薬剤師の関わりについてです。僕たちは看護師として病棟で働いていますが、あみさんは、薬剤師さんとの関わりはどの程度ありますか?
私のいる産科では、産科医師と、助産師・看護師同士との関わりがほとんどで、薬剤師さんとの関わりは少ないです。実は、病棟で具体的にどのような仕事をしているのか、あまり知りません…。

あみ(Ns)

大前(Ns)

そうですよね。僕も薬剤師さんは病棟でよく見かけますが、仕事内容までは知らない部分が多いです。イサミさんは実際に病棟で働かれていますが、どのような仕事をされているのですか?
まず、薬剤師の病棟配属についてお話しますね。2012年から、すべての病棟に薬剤師を配置し、病棟の薬剤業務を行うことで取れる加算が新設されました(病棟薬剤業務実施加算)。薬剤師を病棟で見かける機会が増えたと感じるのは、このためです。

イサミ(Ph)

大前(Ns)

加算が関係していたんですね。
薬剤師は病棟で、入院患者さんの服薬歴の確認や服薬説明を中心に行っていますが、電子カルテで行える仕事も多く、病棟にいる他職種の方と関わる機会は多くないですね。何の仕事をしているのかなかなか理解されず、少し悲しいです。

イサミ(Ph)

薬剤師の仕事は、薬の観点から効果・副作用をチェックすること

患者さんの薬歴確認と服薬説明のほかには、病棟で処方される薬の内容をチェックしています。例えば、患者さんはそれぞれ腎臓や肝臓の機能が異なるため、医師の設定した投与量が現在の状態に合っているかなどを、服薬前に確認します。

イサミ(Ph)

大前(Ns)

なんとなく想像がつきます。看護師も、服薬後の患者さんは注意して観察するようにしていますが、薬剤師さんは服薬後、どんな対応をしているのですか?
薬剤師は、患者さんに現れる効果・副作用について主に見ています。とくに、抗がん剤治療中で以前から副作用に困っている患者さんについては、適切な効果が出ているか、副作用が起きていないかを常にモニタリングしています。

イサミ(Ph)

また、患者さんに「日中に眠気やふらつきを感じることはないですか?(睡眠薬)」や「胃に違和感や痛みはないですか?(NSAIDs)」など、その薬で起こりやすい副作用を考慮した症状を尋ねるのは、薬剤師の特徴だと思います。それだけでなく、「何か薬を飲み始めて変わったことはないですか?」と開いた質問もすることで、「この症状は薬の副作用かもしれない」と患者さんが考えるきっかけになることもあります。

ぽりまー(Ph)

大前(Ns)

薬を飲んだ後の患者さんの観察は、看護師だけが行っていると思っていました。薬剤師さんも専門的な目線で患者さんと関わっているのですね。

看護師と薬剤師の連携は、観察するポイントの共有で生きる

大前(Ns)

僕の働いているICUでは、患者さんに薬疹が疑われるとき、薬剤師さんに相談することがあります。一緒に症状を確認して、薬剤師さんから主治医へアプローチしてもらう場面も多いので、いつも病棟にいてくれるのは心強いですね。
薬剤師も、看護師さんの報告から気付くことがたくさんあるので、本当に助かっています。

ぽりまー(Ph)

大前(Ns)

こうした連携は大事ですよね。あみさんは産科なので、使用できる薬は限られているかもしれませんが、薬剤師さんに相談する場面はありますか?
私は医師に確認することが多いのですが、薬剤師さんに相談することも大切だと感じました。とくに副作用について、添付文書に書いてある内容はある程度確認していますが、看護師からの相談だけでなく、薬剤師さんから「患者さんのここを観察してほしい」というひと言があると、日々の看護ケアにもより生かせると思いました

あみ(Ns)

大前(Ns)

副作用の記載は「ショック」や「消化器症状」など抽象的な内容も多く、どれが重要なのか読み取りにくいですもんね(笑)。
そうなんです! 副作用は出現率が高いものから低いものまでさまざまで、薬以外の要因もあります。だからこそリスクが高い副作用の症状については、薬剤師さんが事前に観察すべきポイントを教えてくれるとありがたいです。

あみ(Ns)

そうですね。とくに副作用については、添付文書がすべてではありません。薬剤師からも看護師さんに積極的に関わって、情報を共有できたらいいと思いました。

イサミ(Ph)

看護師が困る「サプリ」の扱い、薬剤師に聞いてみた!

これを機会に、薬剤師さんに相談してみたかったこと、いいですか? 産科では、さまざまな質問を妊婦さんから受けますが、サプリ・漢方・ハーブといった、薬以外の服用について聞かれることが多くて、困ることがあるんです。薬剤師さんはどう対応しているのでしょうか?

あみ(Ns)

私も患者さんから、サプリなどについての相談はよく受けます。実は、十分なエビデンスのあるサプリは少ないので、薬剤師も対応に困ることが多いですね

イサミ(Ph)

薬剤師さんも、同じように困っていたんですね。

あみ(Ns)

サプリや健康食品は種類がたくさんあるため、薬剤師も調べなければわからないこともあります。飲み合わせが悪い場合は、医師にどう対応すべきかを相談していますね。

ぽりまー(Ph)

サプリは食品に分類されるために法的な定義がなく、成分表の記載などもグレーな部分が多いです。とはいえ、治療をしながらもサプリの効果に期待したい患者さんの気持ちを考えると、強く否定することはできないですよね。

イサミ(Ph)

大前(Ns)

僕も以前、がんで治療中の患者さんで「サプリを飲むと安心する」という方に出会ったことがあります。当時は、「本当に良いのか…? 患者さんが大事にしているものだから無下にはできないけど…」と困った経験がありました。
患者さんは必要と思い、サプリを飲んでいるわけですよね。よほど危険なものであれば説得しなければなりませんが、そんなに多くはないと思います。患者さんの気持ちを尊重しつつ、医療チームで相談していきたいですね

ぽりまー(Ph)

薬剤師から逆に質問! 看護師はどのくらい薬のことを知っている?

ところで、看護師さんは、薬についてどれくらい勉強する機会があるのでしょうか?

イサミ(Ph)

大前(Ns)

学生時代に受けた薬理学の授業では、薬の種類や分類などを習いました。当時は試験に受かるために必死で頭に叩き込んだはずなのですが、今となっては「そういえば習ったな…」と思い出す程度です(苦笑)。
あと、薬の成分名と商品名をすり合わせる場があるのか気になります。

ぽりまー(Ph)

学校で習うのは薬の成分名ですが、現場ではほぼ扱わないですね。私は看護師1年目のとき、先輩に教えてもらったり、自分で勉強したりして商品名を覚えました。

あみ(Ns)

大前(Ns)

また、現場では、薬理学で習ったようなγ計算や濃度の計算を行う機会が少なくなっていますね。僕の働くICUでは、イノバンやドブタミンといった薬剤はキット製剤が使用されていることもあり、細かな計算は看護師だけで対応しきれないことが多いです。ICU含め、病棟に薬剤師さんがいてくれているのは非常に助かっています。
ありがとうございます。いつでも呼んでくださいね!

イサミ(Ph)

改めて、薬剤師さんは専門的な知識を持って患者さんと関わっていることがわかりました。協力することで、患者さんへのケアが充実できそうです。

あみ(Ns)

まとめ
今回は、看護師と薬剤師の連携についての話でした。お互いの仕事内容を理解し、患者さんの日常を観察できる看護師と、薬剤についてよく知っている薬剤師が連携することで、服薬中の患者さんの状態をいち早くキャッチできそうですね。看護師と薬剤師はもっと積極的に関わり合っていきたいものです。この座談会を読んだ看護師さんは、ぜひ明日の現場で薬剤師さんに話しかけてみてください!