Ns×PT×MEで話し合う、褥瘡ケアにおける各職種の役割

入院患者さんの褥瘡ケアは、どの病院でも頭を悩ませるところではないでしょうか。多角度からのこまめな管理が必須なので、ここぞ多職種連携の機会とも言えますね。

今回、病院で働くメンバーが集まり、各職種の褥瘡ケアへのアプローチを話し合ってみました。そこから見えてきたそれぞれの役割とは?

参加者

 大前(Ns)
看護師。ICUで重症管理の中で褥瘡予防に日々努めている。

 タサモ(ME)
臨床工学技士。透析に従事する中で褥瘡患者さんと接する機会もあり、医療関連機器圧迫創傷(MDRPU)についても考えている。

大平(PT)
理学療法士。回復期病棟にて、褥瘡に対してチームとして取り組んでいる。

かなこ(Ns)
手術室看護師。手術中の褥瘡予防に取り組んでいる。病棟看護師の経験もあり。

体圧分散用具を使った褥瘡ケアはリハビリ職に相談しよう!

大前(Ns)

褥瘡は未然に防ぎたいですよね。入院患者さんだけでなく、家族や医療職の負担にもつながります。僕たち看護師は、患者さんのADLを評価しながら、体位変換やマットの変更でアプローチすることが多いですが、他の職種ではどのようにアプローチしていますか?
PTではさまざまなアプローチ方法があります。例えば、仙骨部に褥瘡がある患者さんに対しては、クッションを使って除圧を図るようにポジショニングします。

大平(PT)

大前(Ns)

クッションは患者さんが持参されるんですか?
クッションは福祉用具業者からレンタルしています。他の病院では市販されているクッションを用いる場合もあるようです。

大平(PT)

クッションの選定基準ってあるんですか?

かなこ(Ns)

僕の病院では、作業療法士(OT)が体位ごとに褥瘡リスクのある部位にかかる圧を機械で計測して、クッションを選定します。圧の分散を客観的に評価することができるんです。ただ、患者さんの状態や体位は変化するものですから、観察する看護師さんの協力は必須ですね。

大平(PT)

本格的ですね、実際の現場を見てみたいです!私はクッションやポジショニングで迷うことが多いのですが、大平さんは他職種から相談されることはありますか?

かなこ(Ns)

看護師さんや介護士さんからよく相談されますね。例えば…車いすでの離床時間を増やしたいけど、極度の痩せ・低栄養・体動が少ない患者さんにもできる対策や、仙骨部以外にも発赤がある場合の対策について相談を受けることがあります。僕の病院では、PT・OTが動作評価やクッションの評価を行いますが、摂食機能に問題があるなどで食事場面に介入する場合には、言語聴覚士(ST)にも相談しますね!

大平(PT)

大前(Ns)

個人的に相談するのですか?
褥瘡対策チームとして患者さんに関わっているので、そのなかで相談しますね。定期的に話し合いの場を設けて、情報共有をしています。

大平(PT)

大前(Ns)

すごいですね! 僕の病院では、看護師が医師に打診してから、医師の依頼によりSTの評価が入ります。大平さんの職場のように、多方面からアプローチできる環境があると患者さんは心強いですね

今後の褥瘡ケアに期待されるMEの役割

大前(Ns)

MEは、褥瘡に対してどうアプローチしていますか?
僕は主に入院中の透析患者さんと関わるので、褥瘡のある方にはクッションを使って、シャントと褥瘡部位に負荷がかからない体位になるように工夫しています。足や臀部に褥瘡がある患者さんが多いですね。

タサモ(ME)

大前(Ns)

たしかに、透析患者さんは仰臥位の時間が長いし、低栄養にもなりやすいので、褥瘡リスクが高いですよね。あと、MEといえば、最近、医療機器によって起こる褥瘡(医療関連機器圧迫創傷:MDRPU)がピックアップされるようになりましたが、こちらはどうですか?
そうですね、MDRPUは血圧計のマンシェットや呼吸器のマスクなどでも起こりうるので、そこはMEとして関われるポイントですね。

タサモ(ME)

大前(Ns)

なるほど。例えば、非侵襲的陽圧換気(NPPV)療法で使われるマスクでは、鼻周囲などの皮膚トラブルが多いと思うのですが、どう対策されていますか?
担当看護師さんと相談しながら、緩衝材としてジェルや化粧用のパフを使って対策をとりますね。

タサモ(ME)

陰圧閉鎖療法ではどうですか?

かなこ(Ns)

当院では陰圧閉鎖療法はあまり使われないので、機器に関しては業者管理でした。よく使われるところではMEが関わることもあると思います。

タサモ(ME)

大前(Ns)

こうやって話していくと、MEと連携できる褥瘡へのアプローチはたくさんありそうですね

褥瘡ケアには各職種の視点が役に立つ!

大前(Ns)

オペ室担当のかなこさんは、褥瘡へのアプローチで何か特別なことをしていますか?
手術時に、医師と看護師で患者さんに褥瘡を生じさせないように体位を整えていますね。長時間になるときは、皮膚トラブル予防で摩擦を低減するスキンケアパッドを一律で貼っています。病棟勤務していたときは、WOC(皮膚・排泄ケア認定看護師)に褥瘡を指導してもらっていました

かなこ(Ns)

大前(Ns)

WOCを含む褥瘡対策チームが設置されていると、褥瘡回診というものがありますよね。回診では、皮膚科や形成外科の医師、管理栄養士、看護師などが各病棟の褥瘡ハイリスク患者さんを診て、処置が適切かどうか、治癒に向かっているかなどを確認しているようです。前半でも、褥瘡対策チームについて少し話に挙がりましたが、みなさんの病院にはありますか?
私の病院にはありますが、参加したことはないです。

かなこ(Ns)

実は…僕の病院では、MEはチームの構成メンバーに入っていないんです。

タサモ(ME)

ええ、そうなんですか?

大平(PT)

なので、医療機器を使用していない患者さんと関わることがほとんどないのが現状です。でも、MDRPUの概念も確立してきましたし、褥瘡マットやマスク・マンシェット、検査機器など、患者さんに直接触れる医療機器はたくさんあるので、MEも積極的に参加していくべきだと思いますね。

タサモ(ME)

大前(Ns)

そうですね。ちょっと調べてみたのですが、褥瘡対策チームに、看護師と管理栄養士だけでなく、リハビリ職も構成メンバーに入っている病院がたくさんありました。ここで話しただけでも、各職種の視点や知識を合わせることで、より褥瘡ケアの質が高まるように思えますね。今日はありがとうございました!
まとめ
今回、各職種の褥瘡ケアへのアプローチがテーマでしたが、今は褥瘡ケアに関わっていない人も、関われるポイントが見つかったのではないでしょうか? 褥瘡はどの患者さんにも起こりうるものなので、今後他職種から相談を受けたとき、自信を持って答えられるようにしておきたいですね。これをきっかけに、自分の職種と褥瘡ケアとの関わりを再確認してみましょう。