理学療法士として病院に勤めていると、車いすを使用する患者さんと関わることも多いです。
理学療法士に限らず、移乗動作を介助する機会はどの職種にもあるものですが、その介助がうまく行えないと、患者さんにも介助者にも負担がかかってしまいます。
本コラムでは、現役の理学療法士が移乗動作を介助するときのポイントを紹介します。
ポイント1:患者さんにはそれぞれの移乗方法がある
移乗動作の介助にはさまざまな方法があります。
たとえば、軽介助の患者さんでは立ち上がる瞬間にお尻を持ち上げる介助や脇から腕を抱えるような介助です。
また、重介助の患者さんでは身体全体を持ち上げるような介助や、特殊な介助道具を用いることもあります。
筆者は多くの患者さんの移乗動作を介助してきましたが、患者さんに合った介助方法を選択することで患者さんも介助者も楽で負担のかからない介助になることを経験しました。
まず、一辺倒な介助にならないように意識してみましょう。
ポイント2:どんな介助方法が良いのかは専門家に聞いてみよう
では、「介助をするとき、どんな方法をとればいいの?」と困ってしまいませんか?
理学療法士や作業療法士は患者さんの動きを観察することで「この介助方法が良いな……フフフ!」と評価した上で、適切な介助を選択しています。
もしもあなたの近くに理学療法士がいたら「どんな介助が良いの?」と気軽に聞いてみてください。適切な介助方法を一緒に考えてくれるはずです。
あるいは、患者さんに直接聞いてみるのも良い方法です。患者さんはいろんな人の介助を受けているため、自分にとって楽な介助方法をよく知っています。「どんな介助が必要ですか?」と聞いてみましょう。
ポイント3:患者さんと息を合わせよう
介助方法が決まれば、あとは実践するのみです。
このとき、患者さんと介助者が息を合わせることが大切です。
移乗動作は、「立つ・体の向きを変える・座る」という三つの手順に分けることができます。
この動きは身体が大きく動くため、患者さんと介助者がタイミングを合わせることで、お互いが楽に動くことができるでしょう。
「立ちましょうか、せーの!」「向きを変えましょうか、はい!」などの声かけを介助者が行い、「いきますよ!」などの声かけを患者さんからもらえると良いですね。
まとめ
本コラムで紹介した介助のポイントは、移乗だけでなく、そのほかの動作でも使えるものです。
患者さんにとって適切な方法があることを「知って・聞いて・息を合わせる」。
簡単ですが、知っておくとよりスムーズな介助ができることでしょう。
是非、現場で実践してみてくださいね。
回復期リハ病院に勤務しながら、学術・オンラインサロン運営・企業アドバイザーなどを行っている。医療コミュニケーションを勉強中。