よく「精神科の看護師って何をするの?医療的な手技をほとんどやらないって聞くけど。」
などという言葉を耳にします。
精神科は心の病を診る科なのでそう思う方も多いのではないでしょうか。
そこで、今回は精神科の看護業務について解説します。
採血はあるのか?
もちろん採血はあります。
毎月のルーチン採血もあれば、患者さんの状態によって医師の指示で採血を行うこともあります。
精神薬の中には血中濃度を定期的に見なければいけない薬もあります。
しかし、他科と比べると採血の頻度は少ないです。
点滴はあるのか?
点滴もあります。
急性期では、鎮静の為に点滴に混注して持続鎮静を行う場合もあります。
慢性期では、高齢者が多く精神状態だけでなく身体状態の急変や悪化もあるので、点滴の指示が出る事があります。
また、精神状態の悪化による拒薬や食事の拒否などがあると点滴の対象になります。
精神科に入院する方は精神疾患のみならず、他の内科的疾患などの合併症も持つ方も多くいるので、点滴を行うことは少なからずあります。
しかし、これも他科と比べると頻度は少ないです。
興奮状態の患者さんにルート確保をしたり、ご高齢の患者さんのルート確保が難しいのは他科と一緒なので、手技を学ぶことはできます。
注射はするのか?
精神薬の中には、デポ剤(持効性注射剤)というものがあります。
これは、筋肉注射を行うことにより持続的に精神薬の効果を長く保つ効果があるものです。
薬剤にもよりますが、1度の筋肉注射により4週程効果が持続するものもあります。
服用の薬を減らす効果や拒薬傾向の患者さんの対処として、医師の指示により筋肉注射を行います。
また、糖尿病を合併されている患者さんがいる事もありますので、インシュリンの皮下注射を行う事があるのは他科と同様です。
電気けいれん療法(ECT)
精神科では、電気けいれん療法(ECT)というものがあります。
これは頭部に通電する事で人為的にけいれん発作を起こさせる治療法になります。
骨折や脱臼の危険を伴うことから現在は、全身麻酔を行い実施する事が一般的になっています。
ECTは医師が実施しますので、器具の用意や医師の処置補助とバイタル測定や処置後の状態管理が看護師の業務です。
ECTには下記の2種類があります。
参考 ECTメディッコ 参考 m-ECTメディッコ
その他
他には排泄介助やシーツ交換、更衣の介助や食事介助など患者さんの日常生活援助は、他科と同様にあります。
今回は、精神科で行う看護業務についてお話しましたが、他科と比べてそれほど変わりはないと感じてもらえたでしょうか?
もちろん精神科の看護のメインは患者さんとのコミュニケーションによる精神の安定と思っていますが、行う看護は様々あります。
スキルダウンになるのでは無いかという懸念もお聞きしますが、頻度は少ないながらも看護技術はありますし、何より近年増加傾向にある精神疾患1) を知り看護を行うということは、今後に役立つと僕は考えています。
今回のお話で、精神科に興味を持っていただけたら嬉しいです。
参考
1)“ 精神疾患による患者数 ” . みんなのメンタルヘルス 厚生労働省. https://www.mhlw.go.jp/kokoro/speciality/data.html. (参照2019-10-11)
整形外科から精神科へ勤務中。メンタル系ナースマンとして、地域密着型の医療者コミュニティを形成しつつ、心と身体の予防医療の普及活動中!
Twitter:@nurseman_nao