メディッコで、他職種の業務や視点についての理解は進んでいると思われますが、他職種の人たちがどういう学校でどんな教育を受けたのかは、意外と知る機会が少ないと思いませんか?教育に関する特徴や違いを知ることで、より連携が円滑に進むのではないでしょうか。そこで、メディッコメンバーより各職種(看護師、薬剤師、作業療法士、理学療法士、臨床工学技士)が『学校でどんなことを学んできたのか』を話し合ってみました!
参加者
かなこ(Ns)
4年制の大学を卒業。授業中に寝ていることが多かった…。
須藤(OT)
4年制の私立大学を卒業した。好きな科目はコミュニケーション概論で、レポートで恋愛小説を書いて優をとった。
大平(PT)
4年制の専門学校卒業した。毎年テストの度に留年しそうになってドキドキしていた…
くー(ME)
高校は工業高校なので、専門学校時代は未知との遭遇の連続でとても刺激的だった。
ぽりま(Ph)
6年制の薬学部を卒業。寝坊助だが、早起きの友人のおかげで無事に卒業できた
資格ごとに異なる養成校の選択枝
かなこ(Ns)
皆さんの資格を取得するためには、どのような選択肢があるのか、教えてください。
臨床工学技士の資格を取るためには専門学校(3年)、大学(4年)のほか、看護師や臨床検査技士からの専攻科(1年)があります。
くー(ME)
須藤(OT)
看護師や臨床検査技師だけではなく、放射線技師や理学療法、作業療法、視能訓練士の資格を取った方は必要科目を取得している場合が多いので、1年制の学科に入学することで、臨床工学技士試験を受けることができます。
くー(ME)
ぽりま(Ph)
社会人、大卒や短大卒の人も不足している科目を通信制の大学で補ったりして、1年制の学校に入学するケースもあります。
くー(ME)
須藤(OT)
OTの資格は、専門学校(3年、4年制)、短期大学と大学(私立・国立)があります。専門学校では、夜間コースもあって、社会人でありながら取得する人もいるそうです。
ぽりま(Ph)
須藤(OT)
社会人入試を受けて、3年制または4年制の養成校を卒業する流れは、ストレートで入学した人たちと一緒ですね。働きながら通う人は、夜間コースがある養成校に入る方が良いのかなと。
昼間は仕事で夜は学校って、聞くだけでも大変そう…。
ぽりま(Ph)
須藤(OT)
普通はみっちり4年間学ぶことを、限られた時間でやらざるを得ないので、大変なのは変わりないかと思います。お金を貯めて、仕事を辞めて入学する方もいますが、結局バイト生活になることもあるので、奨学金などの活用が必要になると思います。
使えるものは使ったほうがいいですよね! 薬学部も社会人枠で入試を受けるか、他学部や他大学で取得した単位を使って、途中編入することができます。夜間コースはないので、主婦の人が多かった印象がありますね。
ぽりま(Ph)
かなこ(Ns)
看護師の資格は正看護師と准看護師があって、正看護師が取れる学校と准看護師までしか取れない学校があります。正看護師の場合には、看護の専門学校と短大(3年)、大学(4年)を卒業したら受験資格が得られる仕組みです。准看の資格を取ったあとに、働いて貯金しながら看護学校へ編入して正看護師を取るという道もあります。社会人の場合にはこのケースも多いですね。
大平(PT)
薬剤師国家試験は薬学部で6年間をクリアしないと受けられないので、大学以外の選択肢は存在しないですね。ちなみに4年制の薬学部もありますが、こちらは製薬企業や大学で働きたい人が行くところで、薬剤師にはなれません。
ぽりま(Ph)
かなこ(Ns)
カリキュラムからみる資格の背景
かなこ(Ns)
職種によって勉強していることがかなり違いますよね。みなさんは、学校ではどんなことを学んだんですか?
臨床工学技士の授業は解剖学、生理学、病理学などの医療系と電気工学、機械工学、情報処理などの工学系がメインになり、学年が上がると血液浄化、人工呼吸、人工心肺などのより専門的な分野の勉強をしていくことになります。
くー(ME)
かなこ(Ns)
僕の通った学校では看護学もありました。臨床工学技士は看護師から派生した経緯もあるので。
くー(ME)
ぽりま(Ph)
須藤(OT)
例えば1年次は、解剖・運動・生理学など基礎医学が主になりますね。学んでることは他の職種と同じだと思うのですが、運動学が入るので、解剖と生理学も筋骨格系の要素に焦点が当たります。
大平(PT)
須藤(OT)
あと作業療法概論、作業学、作業分析学、生活技術学、職業関連技術学といったOT独自の教科があります。ここは養成校によっても異なりますが、こうした独自の教科はOTのアイデンティティを高める役割があります。その他、臨床医学(内科、整形外科、精神医学)や人間発達学があります。
大平(PT)
あ、ここはPTと違いますね。PTでは、実技系(評価学、運動療法)があるのと、物理療法学、義肢装具学、脳血管、整形外科、内科学、外科学、呼吸循環などを合わせて習います。
須藤(OT)
うんうん。物理療法のことはPTさんには敵わないですねぇ。
大平(PT)
あと、地域理学療法学といった介護保険や地域資源についても学びます。
かなこ(Ns)
授業だけでも全然違う!私は大学だったので、基礎看護以外にも心理学や人間工学、薬理学、栄養学、英語、統計、公衆衛生、疫学の授業もありました。。今思えば、もっと活用すればよかったなぁと…。実習は大学3年の時がメインで主に成人・老年・母性・小児・精神の領域の実習に行きました。大学4年次は卒業論文でずっと部屋に閉じこもっていてつらかったです(涙)。
須藤(OT)
薬剤師はどうです? 6年あるから比較的まったりペースですか?
ん〜、割とガッチリですかね(笑)。1~3年は午前に座学をやって、午後は実習(実験とレポート作成)という形でしたね。カリキュラムは、1年生は一般科目(数学、語学など)と基礎科目(機能形態学、生理化学、有機化学、物理化学、情報など)、2~4年は、基礎科目を応用した内容や、薬理学、疾病と病態、免疫学、薬物動態学、製剤設計学、患者コミュニケーションなど、薬学的な内容がどんどん増えていきます。
ぽりま(Ph)
須藤(OT)
私の大学では、4年生から研究室に配属され、研究コースと勉強コースに分かれました。
ぽりま(Ph)
かなこ(Ns)
須藤(OT)
(笑)。MEの実習は、機器管理、血液浄化、手術、集中治療、内視鏡の各分野を決められた時間で実習にいきます。全部で1ヵ月くらいの実習期間になりますね。
くー(ME)
かなこ(Ns)
そうだった。3年次は看護実習が主で、4年次は地域実習や卒業研究がメインでしたね!
須藤(OT)
かなこ(Ns)
そうですね。実習では急性期、慢性期、母性、小児、精神科などをまわります。4年次は訪問看護と保健師実習もありました!
大平(PT)
僕の学校は、見学実習が1週間、初期評価実習2〜3週間、総合臨床実習8〜10週間をやりました。合計の実習時間は決まっているのですが、学校によって異なります、実習先は病院や施設がほとんどですが、教員に領域(脳血管、呼吸循環、整形外科、小児)の希望を伝えれば、優先的にその領域の病院に行かせてくれていました!
須藤(OT)
領域の希望に応えてくれるのは嬉しいですね。OTも概ね同じ実習形式です。領域は身体障害、精神障害、老年期、発達の4つに分けられていました。
私の学校は、4年次の終わりに実務実習に行くためのCBT(筆記)とOSCE(客観的臨床能力試験)というテストがありました。それをクリアしないと、5年次の実習に行けないのです。
ぽりま(Ph)
大平(PT)
OSCEはリハビリの養成校でも取り入れているところがありますね。検査とか介助技術が実践できるようにと。
そうなんですね。薬剤師の実務実習の場合は、薬局と病院に2.5ヵ月ずつ行くことが必須です。企業実習を取り入れている大学もあります。
ぽりま(Ph)
須藤(OT)
はい。薬学部の実習は受け入れ先にすべてが委ねられていて、違う大学の人と一緒になることもあり、個々でやる内容はバラバラです。一般的に薬局では調剤・在宅がメイン。監査・投薬は店舗に余裕があるときにやらせてもらう程度な気がします。
ぽりま(Ph)
かなこ(Ns)
病院では、調剤業務以外にも、病棟薬剤師の仕事を見学したり、術前術後の簡単な服薬指導をしたりすると思います。熱心な病院では、症例検討なども行っていました。
ぽりま(Ph)
くー(ME)
自分の職種にしかない授業が専門性を高める
須藤(OT)
皆さん、これは自分たちの職種だけでは!?と思う珍しい授業や実習ってありますか? OTはですね…ろくろで壷を作りました(笑)。
くー(ME)
須藤(OT)
ざっくりいうと、ものづくり系の授業です。これによってOTのイメージが誤解されるので賛否両論あるのですが、自助具を作ったり、ろくろでお茶碗を作ったり、木製のCDラックを作ったりしました。
かなこ(Ns)
須藤(OT)
こういうことって実際やらないと患者さんに指導したり、必要な情報を得ることが難しいので、僕は良い経験になったと思います。
へぇ~。MEは臨床工学が専門なので工学系の授業ですね。機械工学、電気工学の授業があって、基礎的な勉強をします。医療系で工学の分野に精通するコメディカルは少ないので、特殊だと思います。
くー(ME)
須藤(OT)
例えば、携帯電話の電波がどれくらい医療機器に影響を与えるかオシロスコープを使って電気信号の変化を観測する実習とか、漏れた電流を測定する装置を手作りしていました(実際にアルミを使って外装から作りました)。あと、人工腎臓にジュースを通して、濾過することもありました。
くー(ME)
須藤(OT)
大平(PT)
僕の学校では、アスレチックリハが特徴的です。テーピングやストレッチについて学ぶことは貴重でした。あと技士装具学の授業では、装具をつけて歩く練習がありました!
かなこ(Ns)
大平(PT)
脊髄損傷についての授業では、脊髄損傷の設定でADL動作を模擬的に行いました。真似をするにも、どこの筋が使えないかを理解していないといけないので、かなり勉強しましたね。
須藤(OT)
薬剤師で特殊なことといえば、実習ですかね? 化合物を合成して分析する実習や、3種の生薬がランダムに配られて、それを見破る試験をしました。
ぽりま(Ph)
須藤(OT)
あと薬理学実習ではラットの心臓を取り出し、心拍数に影響を与える薬を投与して変化を観察するとか…。今思えば貴重な経験でしたね!
ぽりま(Ph)
かなこ(Ns)
私も!解剖の授業で、実際に医学部の授業に参加して、死体解剖の見学に行くというカリキュラムがありました!
須藤(OT)
まとめ
各職種の授業や実習内容を知ることで、どのような知識をつけて現場に出てきているのか、改めてみえてきたものがあるのではないでしょうか。多職種連携において「まず知ること」が大切です。ぜひメディッコメンバーの話を参考に、自分の職種や関わることの多い職種の特徴を見直してみてください!