ケアプランを誰が立てるかによって、利用者さんの人生は左右される!

「多職種連携が大切!」「多職種協働が大事!」そのようなことを耳にしませんか?

私は理学療法士として介護保険の分野で10年以上、訪問リハビリ・訪問看護・通所リハビリで働いてきました。

在宅の生活を送る利用者さんは、ケアマネジャーが立てた「ケアプラン」に沿って様々なサービスを受けることができます。当然、在宅で生活をする上では、ケアマネジャーの立てる「ケアプラン」が重要な鍵を握っています。

正直、ケアプランで利用者さんの「人生」や「人生の最期」が左右されると言っても過言ではありません。この「ケアプラン」についての私の考えを話していきたいと思います。

 

コラムを読む前に知っておこう!

ダメなケアマネジャーがいる???

  • 「あのケアマネジャーはダメだ!」
  • 「あのケアマネジャーは使えない。」
  • 「あのケアマネジャーは全然分かっていない。」

このようなことを耳にしたことはありませんか?

このようなことを実際に口にしたことはありませんか?

具体的な例を挙げてみましょう。

入院していた病院から退院し、在宅で生活を送るために介護保険でサービスを組む時に入院時の専門職の思い通りのプランにならないこともあると思います。

そんな時、「本当は訪問リハ(・訪問看護)(・通所介護)(・訪問入浴)を入れた方が絶対良くなると思うけど、あのケアマネジャーで利用者さんは可哀想だ。あのケアマネジャーは全然分かっていない。使えない。」

このようなことありませんか?

このことをどう考えますか?

私も、以前は上記のように考えていたことがあります。しかし、長年多くのケアマネジャーの沢山の視点や知識や利用者さんへの想いに触れることによって考えは変わりました。

「ケアマネジャーは利用者さんのことをしっかり考えている。」

他の専門職の皆さんが考えている以上にケアマネジャーは多角的に考え、「利用者さんにとって良いプランは何なのか?」を考えています。

様々な視点があるのが専門職であり、それをまとめるのが在宅での生活ではケアマネジャーです。専門分野の意見がぶつかるからこそ専門職なのです。意見が異なるのは当然であり、その意見をケアマネジャーは求めているのです。そして、その意見をまとめるのがケアマネジャーの専門分野なのです。

ここで大切なことは、多職種連携や多職種協働は、“意見は必要だが、陰口は不要”ということです。

利用者さんが豊かな生活を送るために、陰口があっては多職種連携ができているとはいけません。まずは、そこから…ですね。

各専門職としての互いを尊重する姿勢から始めることが大切です。それが他職種協働のベースとなります。

ケアプランは全員で作るものである!

「ケアプランはケアマネジャーが立てるもの?」確かに、書類の作成はケアマネジャーが行います。

しかし、私は『各分野の専門職が全員でケアプランを立てる』と考えています。一人ひとりの利用者さんに関わる人たち全員です。大袈裟に言ってしまえば、地域の全員で一人ひとりのケアプランを立てる方が良いと思っています。

ケアマネジャーが全ての知識を持っていて、全てケアマネジャーに任せているのであれば、各専門職は要らなくなってしまいます。

ケアマネジャーは全てのことを把握できないからこそ、各専門職が自身の立場での意見をケアマネジャーにしっかりと伝える必要があるのです。

時には、自分自身の意見が通らず、他職種の意見が選ばれるかもしれません。しかし、それは総合的にみてケアマネジャーが判断した結果です。そのためにも、専門職としてのアサーションを行いましょう。

アサーションとは
「人は誰でも自分の意思や要求を表明する権利がある」との立場に基づく適切な自己表現のことです。

そして、各専門職全員で利用者さん一人ひとりにとって適切なケアプランを作ることの協働をすることが在宅生活を送る利用者さんには大切となります。

「全員が専門性を発揮して一人ひとりの利用者さんが豊かな生活が送られるようなケアプランを作ることは理解できた。でも、実際いるよね。役に立たないケアマネジャーって(笑)」と言いたくなる方も中にはいるかもしれませんね。

そんな方は、まずは自分自身の多職種連携におけるベース作りから始めていく必要があります。同じ目標に向かって物事を考えている時に、1人がそのような気持ちでいますと、良い方向には進みません。そのような考えをしていたら、たとえ良い意見を言っていたとしても聞いてくれる可能性が低くなってしまうことも考えられます。

多くの人は「誰が言うか」によって影響されます。

他事業所間連携・地域の連携が必要となる在宅生活の現場では、医療機関内の連携より、より一層専門性を発揮するための基礎づくりも大切であると思います。

まとめ

在宅においては、多職種連携・多職種協働が必須です。多職種がチームとなり上手く機能した時に、利用者さんの豊かな生活への道に希望の光が灯ります。

今回の記事でのポイントは以下のとおりです。

  • ケアマネジャーの立てる「ケアプラン」が重要な鍵を握る
  • 各専門職としての互いを尊重する姿勢から始めることが大切
  • 専門性を発揮して全員でケアプランを立てる

ケアプランはケアマネジャー任せではいけません。利用者さんごとに必要なサービスは日々変化します。必要な時に必要なだけのサービスをプランニングしてあることが理想のケアプランであり、そこには直接サービス提供をするサービス提供者の意見は重要な材料となります。

  • 訪問セラピスト:最近、全身状態が悪いから訪問看護の導入とはどうですかね?
  • 訪問看護師:最近状態が落ち着いているから、訪問看護は週2回から週1回でも良いかもしれません。
  • 福祉用具業者:新しくレンタルが開始となったこの歩行器を使用すれば、もう少し移動が上手くいくかもしれません。
  • ケアマネジャー:専門職の皆さんの意見がとても参考になる!ケアプランを見直そう!

って感じですね。

だからこそ、「全員のケアプランを全員で作る」

この気持ちで普段のサービス提供に従事することが大切だと思います。

「ケアプランを誰が立てるかによって、利用者さんの人生は左右する!」

利用者さんの人生を左右させるのは、ケアマネジャーではなく、あなた自身かもですね!

執筆者
杉浦良介(理学療法士)

訪問リハの管理者をしながら、訪問リハブログ「リハウルフ」管理者、訪問リハコミュニティ「リハコネ」代表、「みんなの介護」ライター、「訪問看護経営マガジン」編集部長、他にもコンサルタント、地域活動、セミナー講師、書籍執筆など幅広く活動中。

Twitter:@RihaWolfnet

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