皆さんは「言語聴覚士の仕事」について、どこまで知っていますか? Part1では、メディッコメンバー唯一の言語聴覚士(ST)のみややんに、どんな仕事をしているのか、どんな障害の方と関わるのかを教えてもらいました!
Part2では、もう少し踏み込んで、実際によく関わる疾患である「構音障害」と「失語症」への関わりについて聞いてみました。
みややん:言語聴覚士(ST)
STの仕事を理解してもらいたく、せっせと働いている。
ぽりま:薬剤師(Ph)
仕事でSTと関わった経験がないため、みややんに興味津々!
大平:理学療法士(PT)
STとはなんぞや?と鋭い質問をしたくてたまらない。
うめやん:管理栄養士(RD)
STとRDの関わりについて知りたい。関わりたい。
構音障害と失語症はどう違うの?
みややん(ST)
皆さんは、構音障害、失語症と聞くとどんなことを想像しますか?
まったく詳しくないので、字面からの想像ですが、構音障害は発音とかに問題があり聞き取りづらくなること、失語症はそもそも言葉が出てこなくなってしまうことかな?と思いました。
ぽりま(Ph)
みややん(ST)
構音障害=麻痺などがあって、動きに制限があったり、うまく動かないこと(発音の問題)
失語症 =そもそも言葉をつむげなかったり、言葉を理解できなかったりすること
よかった(笑)。そうなってしまう原因としては、脳の変化などが関係するのですか?
ぽりま(Ph)
みややん(ST)
はい。どちらも主に脳の損傷によって起きる障害ですが、損傷された脳の部位によって症状が変わってきます。また、構音障害については、がんなどの治療により器官の動きが悪くなって、発音がうまくできなくなるということもあります。最近では、芸能人の堀ちえみさんが舌がんの治療をされたという話がありましたね。堀さんも、言語聴覚士と発音の練習をしたとテレビで言ってくださっていました。
質問なのですが、構音障害のある患者さんは、食べることに関しての障害はあるのでしょうか? 発音の練習以外に、食事を飲み込む練習をすることもあるのでしょうか?
うめやん(RD)
みややん(ST)
するどいですね! 構音(話す)と嚥下(飲み込む)は、口・舌をはじめ同じ器官を使うので、中には構音障害も嚥下障害もあるという方もいらっしゃいます。失語症と構音障害を併発している方もいらっしゃいますよ。もちろん全員というわけではありませんが、むしろ単独で症状が現れる場合の方が少ないかもしれないです。
構音障害と失語症にはどう介入するの?
僕は「構音障害がある」と聞くと、《声量が小さい》《発音が聞き取りにくい》などを想像するので、コミュニケーションの取り方を工夫しないといけないなと思います。ただ、理学療法士の目線で言うと、カルテには同じようなことが書かれていることが多くて、判別が難しいです。話してみたら、意外とスムーズにコミュニケーションがとれる人もいらっしゃるので…。
大平(PT)
みややん(ST)
うんうん。確かに、聞き取りづらいなと感じる人は多いかもしれませんね。これは私の想像ですが、もしかすると「発音が聞き取りづらい」という意味で、「構音障害」という表現が用いられているのかもしれません。
なるほど。一方で失語症は、リハビリの介入が必須というイメージがありますね。言葉が理解できないのか、言葉は話せるけど辻褄が合わないのかとか、いろいろ想像してしまいます。構音障害で生活に困るイメージはあまりないのですが、失語症は入居者同士や職員とのコミュニケーションエラーが起こりやすいのかなと思うので。
大平(PT)
みややん(ST)
そうですね。「話しているのに伝わらない」って、寂しいですよね。伝わらなくて寂しい→話す機会が減る→コミュニケーションをしなくなる→認知症が進む…という悪循環にもつながりかねないので、言語聴覚士などが訓練していくんですよ。これは失語症も構音障害も共通です。程度によっては、訓練しなくてもいいレベルだったり、周りが聞き取り慣れていて、エラーにつながらない構音障害の方もいますね。大平さんが言うように、そもそも言葉が理解できなかったり、間違ってしまう失語症の方は、エラーが起こりやすいかもしれません。
認知症予防の観点での介入は、目からウロコが落ちまくりです!!多職種で関わるべきポイントですね!特に慢性期で働いている僕としては、多職種がどんな関わりをすればいいのか知りたいです。そういう視点で、構音障害や失語症に対応している職種は少ないのではないでしょうか?
大平(PT)
みややん(ST)
そうかもしれないですね。認知症も、ついでにフレイルも、社会からの孤立が入り口になってしまうことが多いです。なので、私たちが声を掛けることが、サポートの始まりではないかなと思います!
生活期に働く場所を変えてから、僕も予防の観点に目を向けるようになっています。家から出るような関わりを考えるのって、リハビリプランを考えることと同じですもんね!
大平(PT)
みややん(ST)
そうですよね。そういえば同僚から聞いた話なのですが、家から出たくなる例として「ポ◯モ◯GO」を患者さんに薦めたら、見事にハマって外出するようになった、というエピソードもありますよ。何がきっかけになるかはやってみないとわからないので、私たちもいろいろなことに目を向けたいですね!
今回、私は知らない話ばかりで、途中から聞き入ってしまいました(笑)。発音も嚥下も、生きていくうえでとっても大事な身体機能なので、そこに積極的に介入していくSTの仕事の独自性と重要さに気付きました。あと、ポ〇モ〇GOのおもしろさは世代を超えるんですね(笑)。みややんさん、これからもSTの仕事についていろいろ教えてくださいね! 楽しみにしてまーす!
ぽりま(Ph)
まとめ
今回は、構音障害と失語症の違いから介入方法、そして認知症・フレイル予防の観点まで、具体的なエピソードも踏まえ、幅広い話を聞くことができました。皆さんも、STの仕事に今までより詳しくなったのではないでしょうか? 口や舌は、毎日使うからこそ、大事にケアしないといけないですね。患者さんの身体機能について、外からは見えにくい発音や言葉にも、これからはぜひ注意を向けてみてくださいね。