【前編】現役言語聴覚士に教わるSTのお仕事!~どこにいて誰と関わるの?~

皆さんは「言語聴覚士の仕事」と聞いて、どんな仕事をしているのか想像できますか?一緒に働いたことがある人でも、その仕事内容がよく分からないという方は多いのではないでしょうか。

今回は、メディッコメンバーの現役STみややんに、STはどんな仕事をしているのか、どんな障害の方と関わるのかについて聞いてみました!

 みややん:言語聴覚士(ST)
STの仕事を理解してもらいたく、せっせと働いている。

 ぽりま:薬剤師(Ph)

仕事でSTと関わった経験がないため、みややんに興味津々!

 大平:理学療法士(PT)
STとはなんぞや?と鋭い質問をしたくてたまらない。

 うめやん:管理栄養士(RD)
STとRDの関わりについて知りたい。関わりたい。

STが働いている場所と業務内容は?

私、今までSTさんと関わったことがなくて。今回の座談会をとても楽しみにしていました!「言語聴覚士」という名前から想像できる仕事もありますが、STさんはどういった場で活躍しているのですか? 働く場所によって業務内容も変わってくるのでしょうか…?

ぽりま(Ph)

みややん(ST)

そういえば、ぽりまーさんはSTと働いたことがないと言っていましたね!お察しの通り「言語」と「聴覚」に関係する仕事なんですが、「言語」とひとくくりに言っても奥は深いんです。また、同じ身体の器官を使う「嚥下障害」にも深く関わります。一方、実は聴覚分野に関わっているSTは少ないんです。私もいろいろなところで勤務してきましたが、聴覚分野は未経験。学生の時に学んだっきりです。

そうなんですね!聴覚分野に関わるSTさんが少ないのは意外でした!

ぽりま(Ph)

みややん(ST)

働く場所は主に病院ですが、デイサービスや施設、最近は在宅(訪問)も少しずつ増えています。その勤務先によって、受け入れている患者さんの層や関わるタイミング(急性期、回復期など)が異なるので若干業務内容の比重も異なります。

なるほど。嚥下障害とSTさんのつながりについては、メディッコ内のやり取りでも聞きました! 体力のない高齢者は、肺炎などが命取りにもなるので、嚥下の管理は非常に重要ですよね。各職種で超高齢社会を追いかけているのは同じなんだなぁと思いました。

ぽりま(Ph)

みややん(ST)

高齢者の肺炎は、1回脳卒中にかかるのと同じくらいダメージが大きいとこの間セミナーでお聞きしました。確かに…と思います。

ちなみに、病院だとどこの部門に所属しているのですか?

ぽりま(Ph)

みややん(ST)

病院では、主にリハビリテーション科(部)、嚥下障害を主としてみる場合は耳鼻科に所属していることもあります。所属している医師にもよりますが、聴覚障害を診る医師のもと耳鼻科に所属ということもあります。

病院では管理栄養士とSTは関わりがあると思うのですが、私もSTさんと関わりをもったことがないんです。STさんが管理栄養士とどんな関わりをしているのかとても興味があります。

うめやん(RD)

みややん(ST)

管理栄養士さんとは、主に食事形態や提供時間の相談をします。各病院、施設で食事形態をいくつか用意してくださっていると思うのですが、食事形態を今日だけ評価で変えたいという相談や、こんなちょっとしたアレンジできますか?とか、形態変更してみた結果をお伝えしたりします。

うんうん。

うめやん(RD)

みややん(ST)

それから、食事の介助に時間がかかる方や、早く食事を出したい方には「早出しできますか?」と相談をします。あとは食事はまだ開始できないけれど、「STの訓練時間にゼリー1個食べる練習したいんですが、お願いできますか?」などお願いしたり…と、相談内容はいろいろですね。

なるほどー。いろんな連携があるんですね!

うめやん(RD)

僕は施設で働いているのですが、施設だとどんな場所で働いている割合が多いですか??また反対に、STで働いている人が少ない領域はありますか??

大平(PT)

みややん(ST)

医療機関で働くSTがほとんどですね。次いで、老健・特養、福祉系、学校教育、養成校、研究・教育機関となっています。

(日本言語聴覚士協会HP:https://www.japanslht.or.jp/about/trend.html

やっぱり医療機関が多いんですね!みややんさんが、臨床を頑張りたい学生STさんに進路相談をされたら、どんなルートをオススメしますか?

大平(PT)

みややん(ST)

そうですね…私は急性期、回復期、生活期(訪問)と経験がありますが、まずは興味のある病期で、かつ先輩がいるところからデビューするのがおすすめです。

やっぱりアドバイスもらえる環境は大事ですよね!

大平(PT)

みややん(ST)

でも地域によっては、STひとり職場というところも多いんです。そのようなときは、自分の雰囲気にあったところ、「これだ!」と思うものがあるところ、近隣にSTがいる(連携して相談できる)ところ…がいいかなと。訪問分野に卒後すぐに行く方もいますが、個人的には先輩の1対1で患者さんに接している姿勢、技術や医療的知識をまずは学んで欲しいなと思います。

なるほど。やりたいこと、目指すべき先輩のいる職場を経験するのは必要なことですねー!

大平(PT)

みややん(ST)

そうですね。自分の成長が患者さんへの還元にもなるのでコツコツ頑張れるところがいいですよね。

STはどんな障害と関わる?

言語と聴覚に問題がある方に関わると言われていましたが、具体的にはどんな障害の方と関わりますか?

うめやん(RD)

みややん(ST)

障害名を挙げると、

  • 言語障害
  • 嚥下障害
  • 聴覚障害
  • 認知症
  • 高次脳機能障害
  • コミュニケーション障害 

と、このような方が対象ですね。

思っていたより幅広くて、驚きました! どれも生きていくうえでとても大事な領域に関わっているのですね。患者さんへの介入は、医師からの指示などがあるのでしょうか?

ぽりま(Ph)

みややん(ST)

原則として医師からの指示があってリハビリ開始になります。PT、OTと共に介入開始となることもありますが、状態が落ち着いてからSTの介入と時間差がある場合もあります。看護師、PT、OTが関わる中で「コミュニケーションに違和感があるなぁ」と気づいて、医師へ相談が行き、STに評価依頼という場合もあったり、その経過はいろいろです。

幅広い患者さんと関わりがあるんですね。STに評価依頼があった場合、どのような評価をしているのですか。

うめやん(RD)

みややん(ST)

基本的には医師から指示があった症状について、検査を行います。失語症には「標準失語症検査」というSTしか使わない伝統的な(?)検査があります。高次脳機能障害については、OTさんとも協力して注意検査、遂行機能検査などその症状に合わせた検査を行なって、評価をしますよ。嚥下障害については、反復唾液飲み検査、水飲み検査、フード検査とある程度順序立てて行うことになっています。

なるほど!最初に検査・評価を行ってから介入していくんですね。ということは、1回指示があってからは継続して見ていくって感じなのでしょうか?

ぽりま(Ph)

みややん(ST)

流れとしては、医師からの指示→検査・評価→訓練の順番です。検査してみたけど、問題がなかったので評価まででST終了ということもあります。

継続して見ていくのであれば、急性期だとどれくらいの期間介入しますか??

大平(PT)

みややん(ST)

急性期だと、最近は在院日数が短いので3週間前後でしょうか。

回復期でSTさんを見ていると3ヶ月とか介入してるのをよく見ていたんですが、3週間って構音障害とか失語症は改善できる充分な期間になりますか?あと、もし改善しないとするなら、退院後の場所に繋げるためにどこまで機能改善を目指しますか?

大平(PT)

みややん(ST)

急性期も回復期も、在院日数に合わせてST介入しますが、特に失語症の場合は、年単位でよくなっていくので入院期間中に完全に改善することは難しいです。この改善する期間については、PTやOTも同様ですよね。どこまで機能改善を目指すかというのも、退院時に何を目標とするかで変わりますね。

歩行機能と同様に、プラトーに達した後にも改善は見込めるんですね!PTも入院期間後の先でどうなって欲しいかで方向性や訓練を考えるので同じですね。

大平(PT)

みややん(ST)

うんうん、そうですね。

あと、急性期や回復期の他職種がどんな風に関われば、構音障害や失語症ってよくなりますか?いまいちどうすれば良くなるのかイメージがわかなくて…。

大平(PT)

みややん(ST)

他の職種の方には、まずはその方の障害を理解していただくことからでしょうか。その方の趣味や性格が分かっていると、意欲を引き出すことができると思うので、意欲がわくとお話しもしてくれます。話す機会が増えると、口腔器官の運動にもなり、話しただけで滑舌がよくなった気がすると感じることもあります。もちろんご本人の意識なども大きく影響しますが…

なるほど。興味を引き出す声かけはチームで情報共有すればしっかり関われるポイントですね!専門職によって見る視点が違うと思うんで、そのことを話し合うとめちゃくちゃいいですね!病院時代にもっとSTさんと深く話し合っておけばよかったな(笑)。

大平(PT)

みややん(ST)

こんな偉そうにいう私も、いろんなことを感じるようになったのはここ数年かもしれません(笑)。若手のときは「なんでわかってくれないのよー!」と人にわかってもらう努力をしたかなー?と反省です。気づいたときに、後輩たちに伝えていきたいですよね!

まとめ
今回は、言語聴覚士がどんな仕事をしているのかについて聞いてみました。その名の通り「言語」と「聴覚」の問題に対して介入しますが、その障害は幅広く、どれも生きていくために大事な領域に関わっている職種ということがわかりました。働いている場所は医療機関が多いとのことですが、他職種の方は関わったことがない人も多いはず。言語聴覚士さんとコミュニケーションを取るときに、今回の記事を是非参考にしてくださいね!

次回は後編として、構音障害と失語症について深掘りして聞いていきます。お楽しみに!