どんな問題が出るか知ってる?歯科衛生士国家試験編

国家試験シリーズ、第二弾は歯科衛生士(以下、DH)についてです。

メディッコに新加入したDHが、歯科領域の国家試験についてわかりやすく紹介していきます。

関わることが少ない職種でも、理解が深まれば今後の連携も取りやすくなるのではないでしょうか!

過去三年間の歯科衛生士国家試験合格率

DH国家試験は現在までに29回開催されており、その合格率はおおよそ95%となっています。

『普通に勉強していれば、落ちることのない資格』と言われていることでも有名です(笑)。

それでは、ここ数年の合格率を見てみましょう。

  • 2018年(第27回) 96.1%
  • 2019年(第28回) 96.2%
  • 2020年(第29回) 94.3%

ご覧のように、とても高い合格率を保っていますね。

歯科衛生士国家試験の出題範囲

合格率が高いからと言って、簡単な問題ばかりが出るわけではありません。

歯科に特化しているとはいえ、DHもれっきとした医療職です。口腔内のことだけでなく、人体の構造についても知る必要があります。加えて、患者さんが服用するお薬の事も知っていなければならないため、問題の出題範囲はとても広いです。

口腔に関する知識やDHとして行う実技に関する問題をはじめ、人体の構造、疾病、薬物、地域医療や保険・福祉に関する制度、そして栄養に関することまで…覚えなければならないことは多くあるのです。

また、DHの国家試験には、実技試験はなく、筆記試験のみとなっています。マークシート方式の選択問題で、過去に出題された問題と似ている問題多く出題されるため、勉強する際も試験の傾向は掴みやすくなっています。

ですが、先述したように、問題の出題範囲はとても広いため、隅々まで隈なく勉強することが大事とされています。

歯科衛生士国家試験の合格基準

配点は1問1点で、全220問あります。そのうちの6割である132点以上をとれると合格になります!

前回の作業療法士国家試験のように1問3点のような問題はないので、1問1問を確実にこなしていくことが大切になります。

DH国家試験は、合格の基準が予め定められている絶対評価で合否が決まります。当時学生だった私は、看護師国家試験の合否が、その年によって変化する相対評価で決まってしまうと知り戦慄しました…(笑)。
 

歯科衛生士国家試験で難しいとされている範囲

DHの国家試験で難しいとされているのは、やはり歯科領域以外の部分に関する問題です。特に、「人体(歯・口腔を除く)の構造と機能」と言われる範囲の問題は教科書を熟読しなければ答えられない問題も出題されます。

それでは、実際に出題された問題を見ていきましょう。

実際に出題された問題

(例題1)
細胞膜を構成するリン脂質二重層を容易に通過するのはどれか。

a 脂肪酸
b グルコース
c ヘモグロビン
d ナトリウムイオン

 ※この問題は「第25回歯科衛生士国家試験 午後 問題5」にて実際に出題されました。

今回は、人体の構造や機能に関する問題、そして歯科領域に関する問題をそれぞれ選んでみました。歯科領域に関しては、日頃から接する機会や勉強する時間も多いですが、薬学や人体の構造などは、限られた時間のなかでのみの学習になってしまいます。そのため問題の正解率も下がってしまうのです。

まとめ

今回はDHの国家試験を紹介しました。多職種連携においてなかなか関わる機会も少ないDHですが、意外と広い範囲の勉強をしています。DHは地域医療の充実のため、多くの患者さんのために、これからも歯科業界を支えていく大事な存在です。今回のシリーズで、DHや歯科に関する理解が深まれば幸いです。

執筆者
ぴかりん(歯科衛生士)

歯科衛生士として大学病院、総合病院、個人歯科医院などで勤務。他職種連携における歯科衛生士の役割や重要性を伝えるべくメディッコに参加。好きなものはフィルムカメラと海外旅行。