病院薬剤師と薬局薬剤師はなぜわかりあえないのか

薬局薬剤師と病院薬剤師の連携のことを『薬薬連携』と言います。入院中の薬物治療は病院薬剤師、外来の通院治療は薬局薬剤師の力が必要ですが、施設間の連携は簡単にはいかず、悩みは尽きません。そんな薬薬連携にまつわる悩みを、メディッコ薬剤師メンバーで話し合いました。

参加者

 Fats(Ph)
病院薬剤師。薬剤師にとってはまず薬薬連携のレベル向上が大事だと考えている。

 S.O(Ph)

病院薬剤師。まだ地域の薬薬連携ができていないため、その方法を模索している。

 イサミ(Ph)
病院薬剤師。多職種連携は大事だが、同職種連携も同じように大事だと思っている。

 ぽりま(Ph)
薬局薬剤師を経て、医療メディアの編集部に転身。薬薬連携に悩んだ経験から、メディッコに加入した。

薬局薬剤師の切なる訴え

ぽりま(Ph)

突然ですが、病院薬剤師は薬局薬剤師が持っていない情報を持ってると思いませんか?

間違いなく持っていますね(笑)。

Fats(Ph)

ぽりま(Ph)

病院薬剤師は検査結果や診断名がカルテで確認できるのが当たり前の世界じゃないですか? 薬局薬剤師には、処方箋しか情報がないのに、診断名すらわからないんですよ! どうして!!

落ち着いて!(笑)

イサミ(Ph)

ぽりま(Ph)

ほとんどの患者さんは、医師の話をちゃんと聞いていて、それをしっかり薬局でも伝えてくれるので、確認してから薬を渡せていると思います。ですが、まれに患者さんの家族が頼まれて薬を取りに来ただけとか、急いでいて話してくれなかったり、お薬手帳がなくてわからなかったりすると、情報がなくて大変なんです。

僕は、患者さんの許可が取れた場合に限られますが、お薬手帳になるべく病名などの情報を書くようにしています。

Fats(Ph)

ぽりま(Ph)

えっ…! そんな親切な薬剤師がこんな身近に!!

というのも、僕の病院はがん患者さんばかりというのもあってか病態が複雑で、患者さんが正確に把握できていないことがあるんですよ。例えば、正しくは「大腸がんが肺に転移した状態」なのに、それを「大腸がん」だったけど、今回新たに「原発性肺がん」が発症したと思っている患者さんがよくいたりして。原発がんと転移がんは扱いが違うのですが、結構しっかりしている患者さんでもわかっていないことが多いです。

Fats(Ph)

ぽりま(Ph)

たしかに、その辺りの区別はわかりにくいですよね…。

「私は大腸がんなのに肺がんにもなって、骨肉腫にもなったのよ」なんていう患者さんには「違うんだよ」と伝えたいのですが、必ずしも理解を得られるわけではないので・・・。下手に混乱や不安を招くことも言えないですし、聞き取りだけで情報を収集する薬局薬剤師の難しさは、僕らから見ても感じますね。

Fats(Ph)

病院薬剤師は入院、薬局薬剤師は外来

ぽりま(Ph)

薬剤師は、処方について疑義がある場合は、解決するまで薬を渡しちゃいけないという決まりがあります。明らかに間違いだとわかるときはもちろん確認しますが、そうと言い切れないことも多くて、判断が難しいです。それに、患者さんはすぐ薬がもらえると思って薬局に来ているのに、突然ちょっと時間がかかるって伝えると困惑されてしまうこともありますね。

そういえば以前、急かされた結果、違うものを渡してしまった事件、ありましたね…。

S.O(Ph)

ぽりま(Ph)

でも、疑義照会は義務なので、病院に電話して確認できるまで、待ってもらうしかないんですけどね。

それが薬局の現状ってことですね。

イサミ(Ph)

ぽりま(Ph)

はい。ところで、処方箋って院内(入院)のものと外来のものがありますよね。院内の処方箋は病院薬剤師が調剤していると思うのですが、外来の処方箋に関してはどうしているんですか?

そもそも見ていないですね…。医師から特別な依頼がない限り、外来の処方箋をリアルタイムで見ることはないと思います。

S.O(Ph)

ぽりま(Ph)

なるほど。それはあとで確かめることもないんですか?

そうですね。そもそも、どの患者さんに処方箋が出ているのかすら知らないので…。

イサミ(Ph)

ぽりま(Ph)

そうなんですか・・・。

患者さんが入院してきて、カルテを見て初めて、外来受診時の検査結果や処方薬を把握するので、基本的に普段から外来の処方箋を見る機会はないですね。

S.O(Ph)

ぽりま(Ph)

要するに、外来受診の患者さんは病院薬剤師とほぼ関わらないということですね。

薬剤師外来をやっている病院では、会う機会があるかもしれないですね。外来指導としてケモの説明をしに行くなど、限定的ですが。

Fats(Ph)

僕のところも同じ感じですね。

イサミ(Ph)

ぽりま(Ph)

最初の頃って、そういうの知らないじゃないですか。薬剤師になりたての頃は、病院から出る処方箋なので、病院薬剤師は当然把握しているものと思っていて。でも現実は、患者さんの情報(カルテ)を持っているのは病院なのに、薬を渡すのは何も知らない薬局薬剤師って・・・。これって、分業と言えど、情報まで分断されたら連携も何も…、て思ってしまうんですよね。最近は、検査値が書いてある処方箋もありますが。

僕のところはついていないです(笑)。まだ大きいところだけかもしれませんね。

S.O(Ph)

ぽりま(Ph)

現状、患者さんが、先生の言ってたことをそのまま伝えてくれていると信じて話をするしかなくて。そこに薬局薬剤師の限界を感じるんですよね…。

ガイドラインってどう使えばいいの?

ぽりま(Ph)

病院薬剤師から見て、薬局薬剤師ってどうですか?

僕は病院経験しかなくて、カルテ情報があるところがスタートなので、情報のない薬局薬剤師としてやっていくのは難しいなって思いますね(笑)。

イサミ(Ph)

ですよね! でも、僕のいる病院の門前薬局は、薬剤部と共同で勉強会をしていますよ。薬剤部としても、ただ薬を渡すだけの薬局では困るので、うちの先生はこう使うから、この薬が出たらこういう注意をしてほしいとかの情報提供をするんです。そういった勉強会を開催すると、たくさんの薬局薬剤師さんが来てくれてるんですよ。情報を求めているんだなと感じます。

Fats(Ph)

ぽりま(Ph)

それはうらやましい! 薬剤部が外部向けの活動に積極的だと、薬局薬剤師もやりやすいと思いますね。

一方で、ガイドラインとか適正使用ガイドとかの改訂情報を出したら、「それって何ですか?」ていう人もいて。

Fats(Ph)

ええー!

S.O(Ph)

その薬剤師さん個人の勉強不足もあるかもしれないですが…。ただ、そういう資料が薬を使ううえで重要だとわかっていたとしても、現実問題として患者さんの検査値がわかるわけではないし、ましてや状態を確かめる術もないですからね。実務に活かしようがない情報である以上、その優先度は低い、という状況になっているのではないかな…と。でもこれってすごくもったいないですよね

Fats(Ph)

ぽりま(Ph)

ほんとに! 私も、恥ずかしながら薬局で働いていたときは、ガイドラインをほとんど読んだことがありませんでした。たまに、薬の組み合わせとか服用期間や休薬期間がわからなかったときに参考にしていた程度ですね。

疾患や薬物治療に疑問を持って、初めてガイドラインを見るっていうのは病院薬剤師も同じかもしれません。僕の地元は田舎なので、病院が1つ2つしかなくて、薬局も少なくて。そういうところは病院とホットラインを引いて、薬局でもカルテが見られるようになっていました。

Fats(Ph)

ぽりま(Ph)

ええ! それってすごくいい取り組みですね。

在宅をしたときの記録をそのままカルテに書き込めるので、報告書を提出する手間もないし、医師に直接連絡することができるので、とてもよかったです。都会で、病院も薬局もたくさんある地域だと、個人情報の面などで難しい部分も多いと思いますが、そういう取り組みが評価され始めたら、電子カルテの使い方も変わるかもしれないですよね。

Fats(Ph)

それがあるか否かで、薬剤師本来の業務の密度が変わってきますよね。

S.O(Ph)

ぽりま(Ph)

薬薬連携はまだまだこれからってことですかね。まず、相手にしている患者さんが入院と外来でまるっきり違うっていう・・・。ここ、リンクできたらかなり強いと思うんですよ。

現時点だと、入院している患者さんが退院して外来に戻るというタイミングが一番連携できるポイントですよね。

S.O(Ph)

ぽりま(Ph)

そうですね。わからないからって何もしないんじゃ、ずっと変わらないですもんね。まずは、できることを見つけていくべきだと思いました!

まとめ
薬剤師同士の連携である『薬薬連携』。同じ職種なのに、お互いに知らないことがたくさんでした。志は同じなのに、環境が異なることでうまくいかないのはもったいない。もっと交流の機会を増やして切磋琢磨していきたいですね!

続きます!⇒今、多職種がアツイ!!多職種連携で問われる薬剤師の役割とは?