Ai(死亡時画像診断)って何?放射線技師が解説!

こんにちは、クラークです。

突然ですがAiって知っていますか?

今話題になっている「人工知能=AI」のことではないですよ。

これは現代の医療にとって、すごく重要なものです。意外と知らない人も多いのではないかと思って、今日はAiについてご紹介していきます。

Ai = Autopsy imaging

Ai(エーアイ)は、Autopsy imaging(オートプシー・イメージング=死亡時画像診断)の略です。

簡単に言えば、「死後に行う画像検査」の総称で、海外では「Postmortem CT」なんて呼ばれたりもします。日本では「Ai学会」という学会があり、年に1回学術集会を行っています。

Aiの特徴は、死亡直後に実施が可能、生前との比較が可能、侵襲性がない、多くの施設で実施可能、第3者の目線で評価できる、価格が解剖と比べ安価、解剖の補助的役割を果たす、などが挙げられます。

主に医師からの指示、ご遺族から医師へ申し出があった場合にCTの撮影を行うことが多いですが、病院によってはMRIや一般撮影も行います。なかには警察署長の権限によりCTを依頼される場合もありますので、警察や警察医との連携も重要です。

機械は臨床で使用されているものを使うことが多いですが、病院によっては専用機を用意している場合もあります。医療安全、警察関係、法曹関係と非常に多岐領域に渡っており、医療事故調査制度にも深く関わるため、医療安全の視点でもなくてはならないものです。そのあたりは、また別の機会にご紹介できればいいなと思います。

Aiが必要なワケ

Aiが必要なワケ、それは死因の究明と医療の証拠保全です。

Aiの必要性が叫ばれ始めた当初、日本では遺体の解剖割合が2.7%と非常に低い値でした。(平成21年人口動態統計)現在、死因究明等推進基本法(令和元年6月12日公布・令和2年4月1日施行)にて、死亡時画像診断を活用する重要性が記されています。

Aiは生前の画像を含めて連続的に観察することや、広い部位の異常を検索することが可能です。死因を100%判明できるわけではありませんが、頭部の出血、大動脈解離、頚椎骨折などは検出ができます。

例えば、手術の後に脳動脈瘤破裂が起きた際などは、観察が容易であるAiが有用といえますし、死因を探すほかに「医療事故ではない証拠」を残すこともできるのです。そういった点でいえば、医療安全の観点からも病院のコンセンサスの統一が必要となってきます。

別の視点では、災害等による損傷が激しいご遺体に対してAiを施行することで身元特定につなげたり、児童虐待の見逃し防止にも活用されます。

我々放射線技師は、Ai画像が本来の役割を果たせるように、Aiに求められる質を担保した撮影を適切に行うことだけでなく、院内運用マニュアルを作成する過程での連携、感染対策、ご遺体入退室時の周囲環境やご遺族へ配慮しています。

最後の医療

Aiは患者さんにして差し上げられる、最後の医療とも呼ばれます。誰しもが訪れる最期の瞬間に死因を明らかにすることで、残された人たちが前を向くことを後押しするとも感じます。

なかには、亡くなったことが納得できない、医療者が信用できない、突然亡くなられてAiのことを言われても困惑する、というご遺族もいらっしゃます。そんな時、撮影により客観的に死因を示すことで、ご遺族の気持ちに寄り添うことにも繋がるのです。

またこの記事が、入院中期間中に長い時間関わってきた看護師さんの、ゆっくりと寄り添いながら説明していくなかで、少しでも役に立てばいいなと思います。

執筆者
クラーク(放射線技師:RT) 

総合病院で働く放射線技師。Ai認定技師を取得し、院内体制の整備に関わっています。