身近な医療機器『血圧計』!臨床工学技士(CE)が解説

今回は病院でもっとも身近な医療機器である『血圧計』について解説します。血圧計の種類は様々なものが発売されており、水銀血圧計、マノメータ式血圧計、半自動血圧計、自動血圧計などがあります。今や家庭においても身近なもので、ドラッグストアや家電量販店でも普通に購入できるようになりました。

病院現場でよく使われている血圧計のタイプとは

病院では、基本的には上腕にマンシェット(腕に巻く帯)を巻き付けるタイプの血圧計が使われています。ベッドサイドに置く生体情報モニターに付いている自動血圧計も、広く多く使われています。また、持ち運ぶのに便利な「半自動血圧計」もよく使われています。操作も簡単で、自動測定となっているため血圧値はデジタルで表示されます。

持ち運びに便利な半自動血圧計、その構造と仕組み

半自動血圧計は、本体・ゴム球(送気球)・マンシェットの3つの構成で出来ています。

ゴム球を手で揉むことでマンシェットに送気され、マンシェットが膨らみ、上腕動脈を圧迫していきます。ある一定まで加圧していくことで腕に流れる血液が遮断され、ドクドクといった音が消失します。その後、マンシェットの圧をゆっくり下げていくと止まっていた血流が再開され、心臓の心拍に合わせた音が聴こえてきます。この時の音を「コロトコフ音」といいます。この音が出た時点を「最高血圧(収縮期血圧)」、さらに圧を下げて音が再度消えた時点を「最低血圧(拡張期血圧)」と呼びます。

最近では、聴診器を使わない血圧計はマイクロフォンによって聴診され、血圧がデジタル表示されています。

血圧計も医療機器!メンテナンスが大事

身近すぎて意識しないかもしれませんが、血圧計も立派な医療機器です。長く使用することで、ゴム球と本体との間に埃やゴミが詰まったり、それによってうまく送気加圧が出来なくなることもあります。

マンシェットやゴム球はゴム製なので、年数や環境によってひび割れたり空気が漏れたりすることがあります。定期的な掃除と劣化部品を交換するメンテナンスが必要です。それぞれのパーツは別で購入することも可能なため、院内の血圧計で困った際にはお近くの臨床工学技士(CE)にお尋ねください。

簡単に誰でも使えて、毎日使用する医療機器だからこそ、定期的なメンテナンスが重要だと思っています。

 

執筆者
タサモ(臨床工学技士/ME部)

透析技術認定士、3学会合同呼吸療法認定士。医療機器の分解点検が好きな臨床工学技士。院内外で活動し横の繋がり連携を心掛けています。メディッコではモクモク会担当。