「グレープフルーツジュースで薬を飲んではいけない」このような話を、一度は聞いたことがあるのではないでしょうか?
でも、何となくグレープフルーツジュースと飲み合わせの悪い薬があることは知っていても、詳しい理由を知らない方も多いと思います。
今回は薬の専門家である薬剤師が、薬とグレープフルーツジュースの関係についてご説明します。
グレープフルーツジュースで薬を飲んではいけない理由
グレープフルーツジュースに含まれるフラノクマリンという成分は、小腸で薬の吸収や代謝に関わる CYP3A4 という酵素の働きを抑制します。
この CYP3A4 という酵素は、とても多くの薬の代謝に関係しており、相互作用を考える時に重要な酵素の一つです。
グレープフルーツジュースを飲むことで、CYP3A4 の働きが抑制され、薬の分解が遅れてしまいます。すると薬の効き目が強く出たり副作用のリスクを高めてしまうというわけです。
グレープフルーツジュースだけがいけないの?
フラノクマリンは果皮だけではなく果肉にも含まれており、果皮>果肉>種の順に多いことがわかっています。つまり、ジュースだけでなく、果肉の摂取も控えることが望ましいと言えますね。
また、フラノクマリンは、ピンクやルビー色のグレープフルーツよりも白色のグレープフルーツの方が多く含まれることもわかっています。
白色の方が、より影響が大きい可能性があります。もちろんピンクやルビー色が大丈夫とまでは言えませんが。
グレープフルーツ以外の柑橘系は食べても大丈夫?
フラノクマリンはグレープフルーツ以外の柑橘類にも含まれています。
例えば、はっさく、夏みかん、甘夏などです。反対に、いよかん、オレンジ、温州みかんなどにはフラノクマリンは含まれていません。
同じ柑橘類とはいえ、食べて良い柑橘類と食べてはいけない柑橘類があるというわけです。
柑橘類がお好きな方は、みかんを食べましょう!
同時ではなく、時間をずらせば大丈夫?
グレープフルーツの薬に対する影響は、長いもので 3~7 日間持続するとの報告もあります。
そのため薬への影響を避けるためには、時間をずらすだけでは不十分です。
お薬を飲んでいる期間の前後はグレープフルーツを控えましょう!
最後に
かくゆう私も、グレープフルーツは割と好きです。
薬との影響があるから食べてはいけないと言われると、逆に食べたくなるのが人間というものでしょう。
患者さんにグレープフルーツを食べたいと言われたら、オススメの柑橘類を紹介してあげましょう!
また、同様の作用を示す薬の中でも、グレープフルーツの影響があるものとないものがあります。
類似薬の相談はお近くの薬剤師まで。
大学病院で働く薬剤師。臨床で経験を積む中で予防医療の重要性を感じています。薬剤師の新たな可能性を画策中。