急性期〜回復期・在宅で受け入れ先が本当に知りたい情報は何?看護師とリハビリ職で話し合った

患者さんの転院や退院に伴って、情報提供をする機会があります。でも、自分たちが求めている情報と相手から送られてくる情報になんとなくズレがあると感じたことがありませんか?

そこで今回、急性期と回復期の両方を経験したメディッコメンバー同士で、「それぞれの領域で求めている情報は何なのか?」を話し合っていきたいと思います。

 

参加者

みややん(言語聴覚士)
急性期、回復期などを経て、現在は訪問ST。正直やっつけだった時期もあるが、今はウキウキで報告書を書いている。

おおひら(理学療法士)
総合病院にて急性期と回復期を経験した後、現在は施設で働くPT。病院時代は申し送りなんて面倒だと思っていたが、現在はその大事さに気付いた。

ロッソ(看護師)
急性期(ICU、HCU、病棟)と回復期を経験。脳卒中リハビリテーション看護認定看護師。現在は転職活動中だが、そろそろ仕事がしたくてうずうずしている。

急性期から回復期の申し送りで必要な情報は?

おおひら(PT)

今回の座談会では、「申し送りでこんな情報がほしい!」をテーマに話を進めていくよ。まずは、急性期から回復期にかけてどんな申し送りが必要か、考えてみよう! まずは看護師の申し送り事情について、ロッソさんから教えてもらっていいかな?

急性期にいる時は、回復期への申し送り事項に治療のことばかり書きがちだったんだ。だけど回復期に異動してからは、せん妄や認知機能、食事、睡眠状態などがわかるとありがたいと思うようになったよ。ほかにも、急性期の時には気が付かなかったんだけど、転倒予防対策の内容や、ナースコールが自分で押せるかどうかも非常に大事な情報なんだよね。

ロッソ(Ns)

みややん(ST)

これはセラピストも同じことを感じている人が多いと思う!

おおひら(PT)

そうだよね。治療や機能面ばかりに目が行ってしまうことは、どの職種でもあるあるなんだね。

あと、本人やご家族の疾患理解や、今後の希望も急性期の段階で聞いていれば教えて欲しいな。

ロッソ(Ns)

おおひら(PT)

それもすごくわかる。その情報があるだけで、退院に向けたスムーズな支援につながりやすいんだよね。僕も急性期しか経験していなかった時には、rossoさんと同じで疾患や機能面ばかりの申し送りをしてたんだ。でも回復期に異動してからは、それよりもご家族の情報や本人の希望のほうが必要だと気が付いたんだよね。あと、リハビリの結果だけでなくプロセスを伝えてくれると、予後予測しやすいから嬉しい!

在宅へ退院していく患者さんの情報は何を伝えればいい?

おおひら(PT)

じゃあ、次は在宅への申し送りをテーマに話を進めていくよ。僕たちもそうだったように、実際に経験するまではわからないことも多いんじゃないかな。今度は、訪問STをやっているみややんから、どんな情報が欲しいのか教えてくれる?

みややん(ST)

在宅では、病院のように毎日患者さんに会えるわけではないから、情報の把握に時間がかかることがあるんだ。だから病院で得た情報は、家族情報なども含めてできるだけ教えて欲しいなと思うよ。

おおひら(PT)

介入頻度が限られているからこそ、多くの情報を申し送りで教えてほしいんだね!

みややん(ST)

そうそう。入院中のリハビリの様子(意欲的だった、あまり進まなかったなど)や、リハビリプログラムも知りたいな。在宅でも患者さんは変化していくけど、まずは病院でどのようなリハビリをしていたか知ることで、現状の把握ができるからね。

おおひら(PT)

そうだよね。入院中の状態を教えてもらえると、今後のリハビリプログラムのイメージが湧きやすいよね!ちなみに僕は、施設で働いているので患者さん(入居者)と長く付き合っていくんだけど、認知症の人も多くて、患者さん本人から拾える情報が少ないこともよくある。それに一度施設に入ると、病院のようにすぐ検査できる環境じゃなくなるから、入院中の血液データやレントゲン所見を含めた、病院でしか知り得ない情報はできる限り教えて欲しいんだ!

そうなんだ!セラピストもリハビリ以外の情報を求めているんだね!私が欲しい情報は、やっぱり生活の様子やご家族との関係かな。あと、睡眠や排泄の問題は在宅に戻ると改善する可能性があるけど、入院中に問題があったなら、やはり気にしていくべき点かなと思っているよ。ご家族についての情報は、協力体制や性格を申し送りに書いておくといいのかなと、話を聞いて感じることができたね。

ロッソ(Ns)

実際の申し送り時に気をつけていること(体験談)

おおひら(PT)

最後に、申し送りをする時に、各自が気を付けていることについて、今回は僕から話していくね。今の僕は、施設から病院への申し送りがメインなんだけど、意識していることは、入院理由が何であれ、リハビリをスムーズに進めてもらえるように考えること。そのために、施設での詳細なADLなど身体機能面の評価、家族との関係性、本人のこだわり・ニーズを情報提供として送るようにしてるよ。みややんはどうかな?

みややん(ST)

私の場合、在宅から病院への申し送り(急変や再発の入院、検査入院など)のほかに、「担当者会議」などの場でケアマネージャー、デイサービス職員などへ申し送ることがあるよ。申し送り相手の状況に合わせた内容を発信するように気を付けているんだ。「専門用語を使わない」「内容が細か過ぎない」「どうしても守ってもらいたいポイントは何か」などをはっきりと伝えるようにしているよ。

おおひら(PT)

いいね! ロッソさんはどう?

私の場合は、時々回復期から急性期に申し送る機会があるんだ。その時は、相手先が病院なので、治療状況や状態変化時の様子、SAMPLE(病歴聴取)を用いて伝えるようにしているよ。というのも、急性期だと治療にポイントを絞るほうが、検査や治療がしやすいと考えているんだ。

ロッソ(Ns)

おおひら(PT)

なるほど。どんな状況であれ、申し送り先のことをしっかり考えて内容を考えるのが大事ということだね! 僕たちは急性期と回復期の両方を経験したからこそ気付くことができたけど、そうじゃない人は、送り先とコミュニケーションをとる中で聞いたり、申し送り先と近いところで働く知り合いに聞いてみるのもありだよね。

まとめ
今回は「急性期~回復期」「回復期~在宅」など、さまざまな申し送り事情がわかりました。文章での申し送りだからこそ、一方的にならないよう、相手先のことをしっかり想像できたらよいですね! 座談会を通して得た教訓を、今後の申し送りでもしっかりと活かしていきましょう!