【ハートチーム座談会①】ハートチームって、どんな活動をしているの?

心臓の専門科というと、心臓外科や循環器内、血管外科というように、いくつかの単科に分かれています。これらの診療科をまとめて横断的に活動するのが、ハートチームです。近年、ハートチームの取り組みは注目を集めており、各分野のスペシャリストが集まることで患者さんにとって最も適切な治療が提供されることを目指しています。

今回は、ハートチームの先駆けとして活動してきた榊原病院の臨床工学技士、中島康佑さんをお呼びして、ハートチームの活動についてお聞きしました。

参加者 

・ゲスト

 中島康佑さん(ME)
心臓病センター榊原病院の臨床工学技士。ハートチームの立ち上げに関わり、多職種連携をしながら活動を広げてきた。重症心不全チーム元リーダー(終身名誉リーダー)。

・メディッコメンバー

 須藤(OT)
心臓リハビリにも関わる作業療法士。勤務先にはハートチームがなく、活動内容に興味津々。

 

 大前(Ns)
ICUで勤務する看護師。普段から心臓血管外科や循環器内科の患者さんと関わるがハートチームがどのような役割を担うかまでは知らない。チームの立ち上げ方から動かし方までのノウハウを知りたいと思い参加。

 

 久原(ME)
臨床工学技士として循環器疾患の治療に携わるなかで、ハートチームの存在を中島さんの講演で知った。もっと深く話を聞きたくて参加。

ハートチームのグループ分け

久原(ME)

まずは、中島さんから自己紹介をお願いします。

よろしくお願いします。私の病院は名前のとおり、心臓を専門とした急性期病院です。他院からの紹介で入院される方も多いです。2018年改訂の「安定冠動脈疾患の血行再建ガイドライン」では、推奨クラスIIb/IIIの症例について、ハートチームによる方針決定が推奨されています(推奨クラスⅠ、エビデンスレベルC)。この座談会をきっかけに、ぜひ興味を持ってほしいですね。

中島さん(ME)

久原(ME)

私は以前、中島さんの講演で初めてハートチームの存在を知りました。今日はいろいろ聞こうと思って、とても楽しみにしています。

さっそくですが質問です。ハートチームとはどのような循環器領域に関わっているのでしょうか。ハートチームの中でもグループが分かれているのですか?

そうですね。当院の場合は、『心不全チーム』という名称で活動しており、

・慢性心不全グループ

・重症心不全グループ

・デバイスグループ

の3つにグループが分かれています。

中島さん(ME)

久原(ME)

患者さんの疾患別、対象で分けているのですね。私自身は職業柄、『デバイスグループ』が気になるのですが、どのような仕事をしているのですか?

デバイスグループはMEがメインで仕事をしています。ペースメーカーの管理に携わる業務が多く、遠隔モニタリングシステムを活用して、心不全治療に大きく貢献していると思いますね。仕事量もかなり多いので、チームの皆さんには本当に頭が下がる思いです。

中島さん(ME)

須藤(OT)

すごい……。

医師が行うような水準で仕事をしているので、当院のコメディカルはどこで働いても恥ずかしくないレベルだと自負しています。

中島さん(ME)

そこまで言い切れるのがかっこいいですね。

大前(Ns)

ハートチームのメンバー構成と活動

久原(ME)

では、ハートチームはどのような職種で構成されているのでしょうか。

ハートチームの構成職種は、医師、看護師、保健師、薬剤師、管理栄養士、理学療法士、作業療法士、臨床検査技師、臨床工学技士、医療ソーシャルワーカーの方々が携わっています。朝に全体ミーティングを行っており、一日の計画を立てます。

中島さん(ME)

症例ごとにメンバーが固定されるわけでなく、その日によって違うのですか?

大前(Ns)

そうですね、固定されていません。

中島さん(ME)

え……? 立ち上げのときからそうだったんですか?

大前(Ns)

いえ、心不全チームを立ち上げたときは固定のメンバーがどうしても必要でした。はじめは症例ごとに固定で担当を決めて行っていましたが、活動して3~4年ほどで、メンバーのスキルも上がり、症例ごとに担当を決めなくてもチームとして活動できるようになってきました。

中島さん(ME)

須藤(OT)

チームを育てるってすごいです!ちなみに3つに分かれているグループも最初は1つで、固定のメンバーが広げたんですか?

最初から3つのグループに分けていました。外科や内科、コメディカルも全員で心不全に立ち向かうために、周りを巻き込んで作ったのがはじまりでした。

中島さん(ME)

須藤(OT)

意気込みが感じられますね。それぞれのグループは別々のメンバー構成で成り立っているのでしょうか?

それぞれ別メンバーで構成されていて、グループごとに活動しています。月1回は全体ミーティングを行って情報共有をしています。また、各グループにはリーダーが割り振られており、リーダーミーティングも月1回行うようにしています。

中島さん(ME)

須藤(OT)

システムがしっかり機能してますね。

ミーティングは積極的に行うようにしていますが、症例がないときは行わないこともあります。

中島さん(ME)

ハートチーム内での各職種の役割

医師や看護師、MEとしての動きはなんとなくイメージできたのですが、たとえばリハビリ職種は3つのチームにどのように関わっているのですか?

大前(Ns)

リハビリの人は、ほぼ全般的に関わってくれています。たとえば、デバイスのCPX(心肺運動負荷試験)にも関わっていますし、心不全チームに関わるデータの解析もリハビリの人が行ってくれています。重症心不全チームでの拘縮予防にも力を入れていますし、VV-ECMO(静脈脱血-静脈返血)が入った際の体位ドレナージも協力してやってくれています。

中島さん(ME)

須藤(OT)

ほんとにいろんなところに関わっていますね。

また、リハビリの診療報酬についてもよく知っていますね。正直、医事課のスタッフよりもよく知っているんじゃないかと思います。

中島さん(ME)

そこの部分をリハビリの人が知っているというのは大きいですね。

大前(Ns)

さらに薬剤師さんもすごくて、うちでは聴診器を持ち歩いているんですよ。

中島さん(ME)

久原(ME)

薬剤師さんがですか?

そうです。腸管蠕動運動に関する薬の調節をするときは、薬剤師さん自ら蠕動運動のチェックをしているんです。血行動態よりカテコラミンインディックス(カテコラミン総投与量の指標)や、栄養状態(カロリー計算)より栄養剤投与量、感染に対する抗菌薬の選定などをしています。

中島さん(ME)

久原(ME)

薬剤師が薬を出すだけでなく、出した薬が効いているかまで確認しているのはすごいですね。

ほかにも臨床検査技師は、毎日同じスタッフが同じ視点からエコーを行います。

中島さん(ME)

地域連携とハートチームのビジョン

須藤(OT)

院内でチームごとの活動のほかに、なにか活動されていることはありますか?

そうですね。今後、心不全は地域連携で取り組むことがとても重要になると思うので、半年に1回は地域病院を対象に勉強会を行っています。

中島さん(ME)

地域病院に向けて活動することでハートチームや病院の宣伝にもなるし、地域全体の医療の質が底上げされるわけですね。なるほどー!

大前(Ns)

経産省も遠隔医療に舵をきっているようなので、私たちも遅れを取らないように活動をしています。

中島さん(ME)

須藤(OT)

遠隔医療?どんなことをしてるのですか?

たとえば、ペースメーカー、植込み型除細動器(ICD)、心臓再同期療法(CRT)などの心臓デバイスを植え込み後の患者さんは半年に一度しかデバイスチェックを行わないので、その半年間に異常があったかは把握できないんです。

中島さん(ME)

須藤(OT)

たしかになぁ~。

そこで、遠隔モニタリングを行うための中継機器を、ご自宅に設置してもらうことにしたのです。

中島さん(ME)

須藤(OT)

それを設置すると、病院に情報が届くんですか?

そうですね。機器専用のモニタリングサービスセンターに情報が届いて、異常値が出ていないかを病院から閲覧できるようになっています。

中島さん(ME)

めちゃくちゃ最先端ですね。ハートチームを立ち上げたときから、地域貢献はビジョンにあったんですか?

大前(Ns)

立ち上げた医師はビジョンとして持っていたようです。当院で心不全治療を行うという強い意志を持っておられました。

中島さん(ME)

須藤(OT)

おお……。

さらに心不全予防に力を入れていた看護師も一緒に活動するようになって、どんどん拡大していったのがことの経緯ですね。

中島さん(ME)

素晴らしいですね。

大前(Ns)

まとめ
ハートチームの座談会第1弾でした。ハートチームの活動について、初めて知ることがたくさんあったのではないでしょうか。また、まずはどのようなチームなのか、概要がつかめたのではないかと思います。第2弾ではチームを作り上げていく土台について、より詳しくお聞きしていきます。

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