マスクの下は笑顔です〜コロナ禍で変わった訪問看護スタイル〜

新型コロナウイルスが世の中に猛威をふるい、私たちの生活には大きな変化がありました。今回は、在宅療養を支える訪問看護業務を担う医療者が、身近に変化を感じた「コロナ禍の訪問看護スタイル」について、皆で話し合ってみました。

参加者

 みややん(ST)
言語聴覚士12年目。小児からお看取りまでの訪問リハに携わって8年目。濃厚接触者判定され、自宅待機期間を経験したことも。

 おぬ(Ns)
看護師11年目。以前は在宅診療や訪問看護を経験。現在は精神科スーパー救急病棟で働きつつ、休みの日は訪問看護に携わっている。コロナ禍で病棟、在宅両方の変化を感じた。

 ふくっち(Ns)
看護師9年目・公認心理師1年目。非常勤として訪問看護ステーション(看護師)と診療内科(カウンセラー)で勤務。

 あずまっち(Ns)
看護師11年目。現在訪問看護師として最期まで在宅で生活したいという利用者さんの思いを実現すべく奔走中。コロナ禍で在宅訪問の変化を痛烈に感じている。

訪問看護ステーションで、スタッフの意識変化は?

あずまっち(Ns)

新型コロナウイルスの流行で訪問スタイルにも変化があったと思いますが、皆さんいかがですか?

私の勤務先では、初めての緊急事態宣言時の「接触8割減」という言葉を受けて、感染対策が一気に進みました。ミーティングやスタッフ面談などはすべてオンライン、マスクなどの感染対策はもちろん、スタッフは時差出勤、休憩室利用方法の変更(対面しないように)などを行いました。

みややん(ST)

あずまっち(Ns)

たしかに、私の勤務している訪問看護ステーションでも、流行具合により感染対策のあり方がどんどん変化しています。スタッフ間の接触を避けるため昼食や訪問記録入力は車内で行うように決められました。おぬさんはどうですか?

おぬ(Ns)

 僕は同時期の昨年4月は病棟で働いていましたが、今はワクチン接種を無事終えたため、再び訪問看護を始めました。もともとステーションが広いせいか、特別に意識せずともスタッフ同士の距離は十分に取れており、アルコール消毒や手洗いも帰ってきたら必ず行う感じです。

あずまっち(Ns)

ワクチンの接種も大きな鍵になりそうですね。ふくっちさんは何か変化を感じましたか?

僕は今年の3月から訪問看護ステーションで非常勤を開始したので、コロナ前の訪問看護がどんな感じだったか、詳しくはわかりません。ですが、働いている同僚の話を聞くと、感染対策のレベルは格段に上がったようです。

福地(Ns)

あずまっち(Ns)

ふむふむ。やはり皆さん、それぞれで変化が出ているようですね。皆さん、他に変化はありましたか?

あとは、毎朝のステーション内の除菌掃除や自己体調管理シートの記入をしていますね。

福地(Ns)

そうですね、私の勤務先も毎日の検温は欠かさないし、倦怠感や熱発などコロナと関係ないと思われても、お休みを長く取るなどの対応をしています。

みややん(ST)

あずまっち(Ns)

なるほど。私は、今までは必要最低限の物品でケアをするようにというのがステーションの方針でしたが、コロナ流行により、常時マスクや手袋の着用のほか、必要な物品を十分に使用してよくなり、感染対策への意識がより一層高まったと感じています。皆さんは、訪問時にどのような対策をされていますか?

おぬ(Ns)

 自分自身はもちろん、訪問時には利用者さんの目の前でアルコール消毒を行っています。また、非接触型体温計を利用し体温測定を行っています。

うんうん、フェイスシールドの徹底や訪問時に利用者宅での手洗いなど、厳しくなったようですね。

福地(Ns)

あずまっち(Ns)

なるほど。私はマスク、手袋、ゴーグルに加えて、ガウンの着用もステーションで義務付けられています。みややんさんはどう?

私もほとんど同様ですが、特にSTは口腔内への接触が多かったり、飛沫を受けやすい環境が多いです。私は濃厚接触判定された経験があって、保健所の指導を受けてからはさらにリハ内容の検討(患者さんとの距離、こちらが口腔を見せるような内容はイラストや事前に写真を撮るなどして実際にはマスクを外さないなど)を更に行いました。

みややん(ST)

利用者さんやご家族の変化、ワクチンに関する質問が多い!

あずまっち(Ns)

利用者さんやご家族の変化は何かありましたか?

おぬ(Ns)

 僕は、ワクチン接種についての質問を多く受けるようになりました。接種会場の場所や予約の取り方など、ご家族からも聞かれることは多いですね。

僕も、今はコロナワクチンに対する心配が強いように感じます。皆さん、withコロナの生活には慣れてきて、利用者さん自身の感染対策は確立されつつあるようです。ワクチンは医療者が先に接種したことから、副反応がどうだったのか実際の声を聞きたいという様子が伺えますね。僕は、個人個人で反応が違うということをお話ししています。

福地(Ns)

あずまっち(Ns)

やっぱり、ニュースでも連日やっているように、利用者さんもワクチン接種に関心が強いんですね。みややんさんは、どうですか?

私もワクチンについて聞かれることが多いですね。利用者さん同士でもよく話題になっていて、「みんなもう打った?」「うちは〇日よ」など情報交換をしているようです。あとは、当初からマスクの着用はお願いしていましたが、今ではお声掛けしなくても患者さんは気を付けてくださっています。また、少し体調がいつもと違う場合は事前にお電話をくださいます。

みややん(ST)

あずまっち(Ns)

私の勤務先でも、一時期、感染の懸念からデイサービスや訪問看護の利用を控える方もおられました。今ではお互いに対策がわかるようになってきて、落ち着いていますね。

外部サービスや行政などとの連携での変化

あずまっち(Ns)

外部サービスや行政などとの連携で何か変化はありましたか?

退院調整会議や地域ケア会議などは、オンラインで行う場面が増えてきました。連携という面で大きな変わりはないですね。

みややん(ST)

あずまっち(Ns)

私の所属先は、近隣の訪問看護ステーションと今まで以上に密に連携し、それぞれのステーションがどのような対策をしているか常々情報交換をしていますね。おぬさんはどうですか?

おぬ(Ns)

 介護認定調査などで、調査員が濃厚接触者判定され、延期になるということはありました。感染対策に関しては情報交換をしていると思いますが、大きな変化は感じていませんね。ふくっちさんは?

非常勤ということもあり、あまり関わることがないのが正直なところです。担当者会議や研修がオンラインに変化していると感じました。

福地(Ns)

あずまっち(Ns)

やはり会議や認定調査など、複数人が一堂に集まるものに関しては、延期やオンラインでの対応が多いようですね。

変化した連携のカタチ、変化した汗のかきかた…

あずまっち(Ns)

コロナをきっかけに変わったことで、良かったことや、逆にやりにくくなったと思うことはありますか?

おぬ(Ns)

 オンライン会議が一般的になったので、わざわざ現地に足を運ばなくても良くなったのは良いことですね。

私も地域にSTがほとんどいないので、いろいろと声をかけていただきつつも、かつては参加できない会議も多くありました。今ではオンラインで出席しやすくなりましたね。

みややん(ST)

あずまっち(Ns)

私は、勤務スタイルが直行直帰に変わり、時間通りに退勤できるので体力的にも気持ち的にも余裕が出ています。

そういうのもありますね。僕は、コロナ後に勤務しだしたのでなんとも言えませんが、感染意識が医療者と利用者さんの両方で高まった気がしています。

福地(Ns)

たしかに、利用者さんとも感染対策について話すことが増えましたね。「僕たち(利用者さん)が感染すると、スタッフさんにもうつしてしまうから、みんなで気をつけようね」など、思いやる心は強まったと感じます。

みややん(ST)

そうですね。ただ、マスクをしてフェイスシールドをしていると、くもって見えづらいのがちょっと困りますね。入浴介助など、湿度の高い援助場面では、マスクが苦しくて仕方ないので、汗っかきな自分が恨めしくなります。

福地(Ns)

おぬ(Ns)

 わかる! 僕も、訪問看護のやりにくさを感じることはあまりありませんが、自転車で訪問しているので、マスクをしながらの自転車は苦しいですね(笑)。

車移動でも暑いのに、自転車移動なんて大変ですね…汗

みややん(ST)

まとめ
コロナ禍において、訪問現場では会議などのオンライン化が進み、訪問時は手洗い・手指消毒の徹底に加え、ゴーグル、フェイスシールド着用などの感染対策が徹底されていました。最近では、皆さんワクチン接種に関心が高まっているようですね。感染対策はしばらく続きますが、マスクの下は笑顔で!体調管理に気をつけながら、進んでいきましょう!