病院の放射線技師を知ろう!

はじめまして。この度メディッコに新しく加入させてもらいました、放射線技師のクラークです。

今までメディッコに放射線技師がいなかったため、放射線技師がなにをやっているのか。よく知らない方も、まだまだぼんやりしている方も多いのではないでしょうか。今回はざっくりと、放射線技師ってこんな仕事だよ!というのをお伝えできればと思います。

基本の仕事=撮影と放射線管理

放射線技師はさまざまな場で活躍していますが、多くは病院で働いています。基本の仕事は、さまざまな機器を使用した撮影と放射線の管理です。

撮影とは、一般撮影(いわゆるレントゲン)に始まり、病棟ポータブル撮影、手術場のポータブル撮影、骨密度測定、マンモグラフィ、透視検査、CT、MRI、核医学(SPECT, PET)、血管撮影(IVR)などがあげられます。患者さんの状態に合わせて装置へ臥床させ、医師からの指示に合わせて撮影し、安全を確認して終了することが主な流れです。

IVRなどの検査では、安全に手技が終わるよう撮影・被ばくの管理を行いながら、適切に放射線画像が活用されているかを確認・調整します。撮影よりも局所に多くの放射線を照射することで治療する方法もあります。こちらは医師の治療計画に合わせて行うものです。

撮影や治療と合わせて、放射線管理、医療情報管理などの管理も私たちの大切な仕事です。放射線管理とは、検査や治療に用いられる放射線が、適切な量で照射されているかを常にチェックすることです。法令への適応だけでなく、患者さんへの不安に適切に応えられるよう準備・対応しています。

それに付随して、放射線が設定通りに出力されるよう放射線装置の機器管理も行います。日常点検や定期点検ではメーカーと不具合箇所についてやり取りをしたり、故障によって日常診療に大きな穴を空けないように小さな異変を拾っています。

院内の画像に関連する医療情報管理も行なっているところが多いかと思います。たとえば、医用画像を移すモニターが劣化すると、見えるはずの所見が見えなくなることがあるので、点検と調整を行なうことでモニター不備による誤診を防ぐ必要があります。その他にも、医用画像に関するトラブル対応に応えることもしばしばです。

他の職種との関わり

私たち放射線技師は、他職種の皆さんが触ることの少ない「写真の撮影」に関わっていますが、もちろん私たちだけで仕事はできません。(検査に関連する静脈穿刺については法案審議中)

病棟にポータブル撮影に行った際は、患者さんの背景要因がわからないため、起こしてもいいのか、側臥位にしてもいいのかなど情報を共有してもらったり、体位変換を一緒に手伝ってもらったりと力を借ります。検査に来る患者さんは具合が悪かったり、痛みを抱える方が大半なので、苦痛を少なく検査を行なってもらうために、他の職種との連携が必要です。

一方で、私たちが力になれることもあります。私たち放射線技師は、厚生労働省からの通知により「読影の補助」をするよう望まれています。緊急を要する画像所見や、外来での問診ではっきりしなかったケースでも、腰椎のMRI検査で腹部大動脈瘤を発見できたり、胸部写真の撮影で鎖骨の骨折を発見したりすることがあります。検査で予想外の所見が初めてわかり医師などへ伝えたり、有効な画像の追加を提案することで診断が正確になることもあるのです。これらが患者さんへの対応に先手がうてたり、不利益を回避することにつながります。また、患者さんの病態や手術方針を聞きながら、手術がやりやすくなるような「手術支援画像」という、3D表示の画像を作成することでも力になることができます。

砦になるために

患者さんにとって検査は、病気と闘うために敵を知る手段となり得ますが、全ての検査が適応になるわけではありません。「今、しっかりとこの検査ができなければ、病気の判明が非常に難解となる。」ということもあります。いわば「最後の砦」状態です。

そのために、さまざまな職種に協力を得ながら検査を進めますが、放射線が出る検査を行う場合、患部がしっかりと映るように患者さんの体を他職種に抑えてもらうこともあります。その場合、チームプレイではあるのですが、体をはってもらった他職種へ被曝による健康に影響がないように管理・啓発することも重要であり、我々の責務といえます。

責務が故に少々口酸っぱくなることもあるかもしれません。「技師さん、いつもうるさいな。」と思うこともあるかもしれません。ですが、その先にはそれぞれがベストを尽くした結果として、患者さんの検査が診断につながり、患者さんが病気との闘いをスタートさせることができるのです。いわば「最後の砦」が、本物の砦となるのです。

おわりに

お話ししきれないことが多々あって、どう納めて良いのか悩みますが、これから少しずつ放射線技師のことをお伝えしていきたいと思います!そしてそれが、より良い多職種連携のピースに成り得ると思っています。みなさん、よろしくお願い致します!

執筆者
クラーク(放射線技師:RT) 

総合病院で働く放射線技師。Ai認定技師を取得し、院内体制の整備に関わっています。